表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/209

episode6 

修正点:矛盾のある一文を削除しました。

2017/5/16 文章修正

2017/5/19 全体修正

 【猛進牛】との戦闘の後、ラクとセロシアは草原エリアの奥にある森林エリアの入り口まで歩いてきていた。

途中、今度こそ【突進牛】との戦闘をして、ラクはある程度ではあるがこのゲームの戦闘に慣れてきていた。


「さて、ここまでは【戦闘スキル】と【支援スキル】について説明してきたけど、ここからは【生産スキル】と【加工スキル】について説明していくよ。っていってもラクは戦闘系プレイヤーだからあまり役には立たないか。」

「けど後々役に立つかもしれませんよ?」

「うーん。それもそうか……。よし、ならラクの役に立ちそうなものだけ教えることにするよ」

「そうしてくれると助かります」

「決まりだな。じゃあ行こうか」


というとラクとセロシアは【森林エリア】に足を踏み入れた。



 西の【森林エリア】の特徴は初心者のみならず、中級者、上級者の使用するアイテムのベースになる基本アイテムが豊富なことである。薬草、果実、きのこなど、多種多様な植物がある。

ここにいるモンスターは【グリーンオーク】【ゴブリン】の敵対半人種族でこの【森林エリア】は彼らの住処となっている。

またエリアボスが存在し、倒すことで良質な素材アイテムを入手することができる。


「……まあざっくりした【森林エリア】の説明は以上だよ。私たちの間ではここを自然のアイテム貯蔵庫って呼んでるほど重宝する場所だね。まあ生産系プレイヤーのほとんどは自ら取りに行かずに戦闘系プレイヤーに収集を依頼しているからあまり来ないけどね」


ラクはセロシアから森林エリアの特徴を聞きながら二人で様々なアイテムを収集していった。

これでなにが作れるか、どんな効果があるかをセロシアは丁寧に教えてくれた。


一時間程様々なものを収集をして、二人は森林エリアの中にあるセーフティゾーンまでやってきた。


「ここでいいかな。じゃあラク、これからは【調合】と【加工】について教えるからさっき集めた薬草出して」


ラクはこくりと頷くと、言われた通りインベントリから先ほど集めた10本の薬草を取り出した。

【薬草】はこのまま食べるとHPを5回復することができるが苦くてそのまま食べる人は少ない。

【薬草】を受け取ったセロシアはあぐらをかいてその場に座ると、説明をし始めた。


「二日目に【突進牛】との戦闘の最中にラクは食べてるからわかると思うけど、これこのままだと苦くて食べれたもんじゃない。じゃあこれをどうするのかだが、それは【調合】を使うのさ」

「調合?」

「そう。【調合】を使って薬草から【回復ポーション】を作ることができるんだ。回復量を増やしたり、追加効果を付けたりするするにはよりレア度の高いアイテムが必要だけど、味を良くするだけなら薬草と少しのアイテムで十分なんだ。ちょっと見てて」


というとセロシアは束から薬草を一つ抜き取り、自分のインベントリから鍋、すり鉢、まな板、包丁、小瓶、目の粗い布、それと何かの木の実を取り出した。

そしてそれらを地面に置いて作業をし始めた。

薬草を鍋でゆで、木の実を細かく切り、ゆで上がった薬草をすり鉢でペースト状にした後、目の粗い布で越して液体を抽出したら再び鍋に入れ、刻んだ木の実と一緒に煮詰め、もう一回布で越してでた緑色の液体を小瓶に入れ、栓をした。

これで【回復ポーション】の出来上がり。


「こんな感じで道具と少しの素材があれば【回復ポーション】は簡単に作ることができるんだ。味も自分好みの木の実を使えばそれなりに好きなものになるはずだからいろいろ試しているといいよ」

「なんだか料理をみたいですね」

「確かに。道具はあとで『アマドコロ』にある余ってるやつでいいなら譲るけどどうする?」

「ぜひお願いします。まだお金とか後々不足しそうだからためておきたいですし」

「わかった、あとで取りに来て。さあ次は【加工】だ。今回はこのそこら中に落ちてる【木の枝】でも使うかな。何を作ってるか当ててみて」


セロシアは小型のナイフで木の枝を少しづつ削っていった。

余分な枝を切り落とし、インベントリから取り出した糸を先端に巻き付けるようにつけ、糸のもう一方の端にJの形をした針を付けて完成。


「もしかして釣り竿?」

「正解。【加工】はアイテムの形を変えたり、別のものをつけたりすることができるようになるんだ。同じレア度のアイテム同士ならどんな組み合わせでも使うことができる便利なスキルさ。ただし違うレア度同士のアイテムを使おうとすると一定確率失敗してなくなってしまうから気を付けて。」

「なるほど…。なら例えば【木の枝】【油】【布切れ】から【松明】とかもできるんですか?」

「できるぞ。だけど【油】はこの辺りじゃ手に入らないからから作れないけどね」

「そうなんですか。じゃあ【調薬】と【加工】を取ります。その二つってどうやったら取れるんですか?」

「簡単さ。専用の道具を使って簡単なものをいくつか作れば習得できるよ。【調薬】ならさっきの【調薬道具一式】、【加工】ならこの【加工ナイフ】を使って作ればいいんだ。そうだ【加工ナイフ】も余ってるからそれもあげるよ。処分するより気が楽だし」

「ありがとうございます」

「よし、じゃあ最後にある場所に行って街に帰ろう」


セロシアは広げた道具をささっと片付けてから立ち上がると、ラクを引き連れて森の奥に進んでいった。

鮮やかな緑色の森林の奥に進むにつれて【ゴブリン】や【グリーンオーク】を見かけるようになったが、襲ってくるMOBは二人で倒しながら進んでいった。


それから5分ぐらいたった時、ラクがセロシアに、


「ねえセロシアさん。そろそろある場所ってやつがどこなのか教えてほしいのですが」

「それはついてからのお楽しみ。じゃないと意味がないからね」

「そういうものですか?」

「そういうもの。って言ってたらついたな。目つむって」


ラクは言われた通りに目をつむると、セロシアがラクの背中を押してどこかに向かっていった。

数歩歩いた後、セロシアは立ち止まり、ラクに目を開けるように言った。

そうしてゆっくりと目を開けたラクの目に映ったのは……


「なに……これ……」

「私のお気に入りの場所なんだ。綺麗だろ?」


そこには色とりどりの花の咲いた広大な花畑、その奥には決して大きいとは言えないが、10メートルほどの滝があった。

ドウドウと湖底に落ちる水から上がる水しぶきが周囲の花を彩り、そのあたり一帯がまるで宝石の広場のようだった。

その光景を見たラクにはその滝がこの先、このゲームで進む道を示してくれたように感じた。


「少し前に採取に来た時にたまたま見つけた場所なんだ。どうだ」

「……ねぇセロシアさん」

「なんだ?」

「この世界にはこんな光景がまだまだたくさんあるんですか?」

「どうだろうな。この世界はまだまだ未発見のものがたくさんあるって聞いたことがあるから、ひょっとしたらあるかもしれないぞ?」


ラクは、ある決心をした。


「決めた。せっかくまた思いっきり動けるようになったんだし、この世界を探検してまだ未発見の場所を探すことにします」


そういったラクの目は輝いていた。

現実で走れなくなってから数か月、ここまでわくわくするようなことはなかった。

感動するようなことはなかった。

そしてまた自分の足で思いっきり走れるようになった。

ラクがこのゲーム「クレマチス・オンライン」をプレイし続けるのに十分な理由だった。


「なんだか満足してくれたみたいでよかったよ。」

「今日はありがとうございました。楽しかったです」

「私も。……なぁラク。一つ聞いてほしいことがあるんだ。」

「なんですか?」

「その……なんだ。うちの、『アマドコロ』からの納品依頼、受けてくれないか?」

「……というと?」

「さっきも言ったけどうちの店も少し前まで戦闘系プレイヤーに納品を依頼してたんだが、高難易度ダンジョンに集中したいって理由で依頼を受けてくれなくなったんだ。

それで今日は教えるついでにアイテム収集しに来たんだけど、せっかくだから聞いてみたってわけ。でどうかな?」

「いいですよ」

「だよねーやっぱダメ……え?いいの?」


想像していたよりもあっさり受けてくれたことにセロシアは驚いた。これまでも何人かに

同じ依頼をしたが、全員に断られているため、今回もダメかと思っていたのだ。


「ほんとうにいいの?」

「構いませんよ。いろんなとこ行くついでってのもありますけど、漠然と探していくよりもちょっとした目的があるほうがおもしろそうだし」

「あ……ありがとう!!助かるよ」

「ちょ、ちょっと、いきなり抱き着いてこないでください」

「ごめんごめん。ほとんどあきらめてたようなものだからうれしくってさ」


それからは2人は『アマドコロ』の戻り、持ってきてほしいアイテムのリスト、【調薬道具一式】、【加工ナイフ】をラクは受け取った。

それらをインベントリにしまうと、ログアウトする時間になっていることにラクは気が付いた。


「そろそろログアウトしないと。セロシア、今日はありがとうございました」

「それはこっちのセリフだよ。依頼受けてくれるとは言ってたけど、まさか全部やるとは思わなかった」

「最初は西で手に入るものしか納品できないけど、少しづつほかの方向にも行くつもりだから、手に入り次第どんどん納品していくよ。」

「わかった。また時間があるときにうちによってほしいな。紹介したいフレンドが数人いるんだ」

「わかりました。じゃあ次ログインしたときでいいですか?」

「構わないがいつだ?」

「明後日。明日の夜は来れないです」

「わかった。じゃあまた明後日。今日はお疲れ」

「お疲れさまです」


笑顔でそう言ったラクはログアウトしていった。




目標が決まったラク。次はどこに行くのか?何をするのか?まだまだ始まったばかり!

これで終わりじゃないですよ?一章はまだ続きます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ