episode3
一周年記念イベント。
そのイベントの詳細はどんなものなのかは明かされていない。
だが、それを明かす人物がたった今現れた。ショートヘアーの女性プレイヤーを引きずって。
その人物はステージの前まで歩いて行くと、女性を放りなげ、広場の設置された特設ステージを登っていった。
ステージには小さな腰をほどの高さの赤い台と、ステージ後ろに大型モニター、そして一周年を祝う文字が書かれた銀色に輝くオブジェクトが設置されていた。
華やかなそのステージには、吹き付ける風を受けてマントをはためかせる装飾の豪華な騎士装備を着た高木Pと、今さっき引きずってきた人物の正体を知ってため息をついているラクがいた。
「――で、なんで私をここに連れてきたの?」
あきれたそうな表情を浮かべ、片手を腰に当てて聞いた。
すると、高木Pは笑顔でウィンドウからチャット画面を操作し、ラクに送信した。
『もう少し待ってくれ』
これだけだった。
高木Pはそれだけ言うと、再び正面を向いて誰かを探し始めた。
いまこの広場にいるプレイヤーはざっと100人程度、またはそれ以上がいた。
イベントを、出店を楽しんでいるようで、口にソースをつけながら串焼きを食べているプレイヤーや、戦闘準備万端!といったオーラを放っているプレイヤーの集団。
なかでも目を疑ったのは、一体どこでそんなものを手に入れたのか、ゴブリンやオーガの着ぐるみを着た集団だった。
「何あれ……あんなものまであるの?」
『当たり前だ。あんな面白そうなものをいれないわけにはないだろ?』
「あとなんでしゃべらないの?」
『イベント前に司会者がしゃべってちゃだめだろ?』
「じゃあもう一度聞くけどなんで私を連れてきたの?」
『もうすぐわかる。お、、来たぞ』
「来た?なに――」
「放してよー!!もうなんなの!?」
突然背後から聞こえた叫び声に驚いてびくっと肩を動かしたラクはとっさに背後を振り向いた。
すると、高木Pと同じデザインの装備を着た女性が、アキレアを担いで壇上に上がってきていた。
そして女性はアキレアを振り向いたまま固まっているラクの横にそっと置いた。
「あれ?お姉ちゃんなんでここにいるの?」
「はぁ……。それは私が聞きたいよ」
ラクはそういうともう一度ため息をついた。
「お待たせしましたー!!!」
突然高木Pがマイクをもってしゃべり始めた。
「これより一周年記念イベントを開始しまーす!!!」
ワァァァァァァァ!!!
高木Pの挨拶と同時に会場は歓声に包まれた。
壮大な音楽が流れ始め、宙にはカメラを持った妖精が漂い始めた。
妖精は赤や黄色といったカラフルな服を着て、同じ色の羽をもった15センチほどの大きさのMOBだった。
しかしその見た目とは反して同じ大きさのカメラを持ち、宙を自由自在に飛んでプレイヤーを映し出していた。
その映像はステージの後ろに設置されたモニターにも表示されていた。
「なおこのイベントは動画サイトOコ〇コ動画でリアルタイム配信を行っています!プレイしていない方も、プレイできない環境にいる方も!この放送を見てともに楽しんでください!」
さらに歓声は大きくなり、その盛り上がりはあたりを揺らしかねないというほどにまでなっていた。
ラクはその盛り上がりに若干動揺していた。
まだそんなにプレイしていないのでよくわからないが、ここまで盛り上がるということはラクの想像以上の人気があるということになる。
が……
「う…うるさい……」
ラクは耳を必死にふさいで鼓膜が破れかねないその盛り上がりに必死に耐えていた。
しかしこれはまだ始まりに過ぎない。
ラクはこれから始まることをまだ知らない。
それがこれまでのプレイ時間のなかで、一番ホラーで、めちゃくちゃで、楽しいことに……
まずはお知らせ。
昨日投稿したepisode10の最後の場面を修正いたしました。
なのでもう一度そちらを読み返すことをお勧めします。
さて、実はいま、最新作の準備を着々と進めております。
予定として5月中旬かた下旬の間に投稿開始していく予定ですので、そのさいはその作品の登録もお願いいたします!
それではまた次回!
画面上部よりブックマーク、最新話下部より評価をお願いします!




