episode5
【蛇龍ハアラシ】との戦闘をした翌週の土曜日。
宿梨は近くの巨大ショッピングモールに来ていた。
今日は黒地のホットパンツをはき、黒を基調としたシャツの上に灰色の薄いパーカーを羽織ったボーイッシュな服装だった。
そして今、横には白を基調としたノンスリーブのワンピース、その上に薄い青色のカーディガンを羽織っており、そこの少し高いヒールを履いた陽優がいた。
そんな遠目から見ればカップルに見えそうな二人は、モール内の中央広場内周の待ち合わせ場所に向かって歩いていた。
ところでどうして二人が今日モールに来ているかというと……。それは先週の日曜の夜までさかのぼる……。
先週の日曜の夜
家族と食事を済ませ、のんびりとお風呂に入ってきた宿梨は、まだ少し濡れている髪をタオルで拭きながら自室に戻ってきた。
「ふぅ~。さっぱりした」
パタパタとスリッパを鳴らし、ベットのわきに腰かけた宿梨は、タオルを首にかけ、いつもお風呂上りにしているストレッチを始めた。
足を壊してから、運動ができないならせめて少しでも体を動かしたい。
そんな気持ちでやり始めたストレッチのメニューを軽々とこなしていった。
「よし、これで終わりっと」
ストレッチを終えるころには濡れていた髪はほとんど乾いており、宿梨は後頭部から倒れ込むようにベットに寝転がった。
それから今日の出来事を振り返る。
といっても午前は課題や家事の手伝い、午後は『クレマチス・オンライン』をやっていただけだった。
だが、【ベイリーツ古城】で【ハアラシ】との戦闘、『サフィニア喫茶店』で打ち上げ、古城地下空間の探検と、かなり内容の濃いものだった。
そんなことをぼんやりと天井を眺めながら考えていると、勉強机の上に置いてあったスマホから、バイブレーションとともにメッセージの着信音が鳴った。
「だれだろう?こんな時間に……よっと」
ベットから身を乗り出して机の上のスマホをとると、壁にもたれながらメッセージを確認した。
するとそのメッセージの送る主は陽二だった。
だが……
「四通って……送りすぎじゃない?」
一通目はいいとしよう。
だが二通目以降は『早く返事くれ』や『まだかー?』といった感じの適当な内容だった。
そんなメッセージは無視し、本題と思われる一通目のメッセージを表示した。
するとそこには次のように書かれていた。
『よう!今日はお疲れ様。けどいつの間にか抜け出すなんて……俺も誘えよ!――って違う違う。来週の土曜、陽優ちゃんも一緒にショッピングモールに行かないか?返信よろ!!』
と書かれていた。
一体なにをしに行くのだろうか。しかも陽優も一緒に。
だがこれといって来週の土曜日は予定はない。
宿梨はこれから動くのが面倒になり、陽優あてにSNSアプリで土曜の予定を聞いた。
するとすぐに返信が書いて来た。
『行く!』
これだけが返ってきた。
それを確認した宿梨は、すぐに陽二に返信をした。
『陽優はOKだって。当然私もOK。それで集合時間とかはどうする?』
『午前10時半にモール内の中央広場にあるベンチの近く。そこに集合しよう。それじゃまた明日!』
その内容を確認し、スマホ内のカレンダーにこのことを記入すると、スマホをベッドのわきにある台の上に乗せ、横たわるようにベットに身を預けた。
それからは照明を操作できるリモコンで電気を消し、布団をかぶった。
ふわふわとした感触の枕に頬を押し付け、お気に入りのイヌのぬいぐるみを抱いて、ゆっくりと目を閉じて意識を手放した。
そして時間は翌週の土曜日に戻る。
宿梨と陽優はあたりを見回し、どこかにいるであろう陽二の姿を探した。
すると陽優が発見した。
「あ!いた!おーい!!」
陽優は視線の先で柱にもたれかかってスマホをいじっている陽二のもとに走っていった。
そして宿梨はそのあとからゆっくりと歩いていった。
「やっほー!陽二さん!」
「お!陽優ちゃん。それにラクも。今日はありがとな」
「別にいいわよ。それより今日は何しに来たの?」
宿梨は陽二を見てなぜかはしゃいでいる陽優をあきれ顔で見つめながら陽二に聞いた。
すると陽二はスマホの画面からカレンダーを表示し、5月16日を指で指した。
「この日。実はあのゲームのリリースからちょうど一周年なんだ。だから日頃の感謝の意を込めて何かプレゼントしようぜ」
その言葉に宿梨は意外そうな顔をした。
それからスマホの場面と陽二のを交互に見た。
「陽二がそんなこと考えてるなんて思わなかった……」
「おい。俺を何だと思ってるんだ?」
「私を振り回す迷惑な幼馴染?」
「おい。聞き捨てならないんだが……」
「それよりプレゼントをするって言っても何を渡すの?」
「それなんだよなぁ…。何かいい案ないか?」
「はいはいはい!それなら私から提案がある!」
「なに?言ってみて」
「おそろいのマグカップとかどう?」
「確かにいいと思うけど……それ去年の結婚記念日の時にあげなかったっけ?」
「あ、そうだった……」
それからもいろんな意見が出たが、結局どれも過去にあげたものですべて却下になった。
最終的には、モールの中を回って何を渡すのかを決めることにして、三人は歩き出した。
まずやってきたのは小さな雑貨を多く取り揃えている全国的にも有名な雑貨屋だ。
機能性を重視した生活用品から、独特なデザインの雑貨まで、探せばなんでも出てきそうなほどたくさんの商品があった。
だがこれといって惹かれるものはなく、その店を後にした。
次にやってきたのはアクセサリー屋。
ここでも独特なデザインのものが多くあったが、予算オーバーで断念。
以降も一階の様々な店を回ったのだが、いいものは何一つなく、三人は一度休憩をするために二階にあるフードコートに行くことにした。
一体何をプレゼントに選ぶのか!?
実は初めての現実回
あと数パート続きます。
それではまた次回!
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