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episode23

【ベイリーツ古城】前


ギンヨウたち『タイラント』の生存者13名、『旋風団』のカデンは最後のアタックを【ハアラシ】に仕掛けた。

ここにいるのはすでに二回死んでいるプレイヤー。

これ以上は死ぬことができないという崖っぷちの状態だった。

それでも臆することなく、ゼラたち近接戦闘型のプレイヤーは前へ、弓兵であるギンヨウは後ろに走っていった。


「さて、最後の猛攻と行くか。アオイ!」

「ええ。あれをやりましょう!」


しかし二人は走り出すことなくその場で大きく息を吸った。


そして叫んだ。


「「修羅血鬼しゅらけっき!」」


そういうと二人の周りに赤いオーラのようなものが漂い始めた。

それは徐々に全身を包み込んでいき、最終的に二人の額に鬼の角のような形を作り上げた。


修羅血鬼しゅらけっき

これはわずかな時間の間、あらゆるスキルが使用不能になる代わりに攻撃力とスピードを異常なほど上昇させるスキルだ。

しかしその代償はスキル使用不可だけではない。

一秒ごとに100ずつHPが減っていく。

その間はあらゆる回復をすることができず、このスキルが解除されるときは敵を倒した時か、自身のHPが0になった時だけ。

つまり敵が自分、どちらかが倒れるまで決して攻撃をやめることができないという危険なスキルだ。


【修羅血鬼】を発動した二人は、大幅に強化されたスピードで走るカデンを抜かし、【ハアラシ】に突進した。


「どんどんいくぜえぇ!!」

「フフフフ…さぁ!行きますよ!」


二人は休むことなく動き回り、【ハアラシ】の全身を攻撃していった。

その動きは決して両手剣を振り回しているとは思えないほど速い。

だがなんだか性格まで変わっているかのようだった。

普段はもう少し落ち着いているゼラは鬼の形相で笑っており、アオイに関してはどこか不気味な笑みをしていた。

だが徐々に減っていくHP。

二人の顔には少しづつではあるが焦りの表情が見受けられるようになってきた。


「くそ!…このままでは……」

「あきらめるのはまだ早いぜぇ!!」


そこに『タイラント』のメンバーが合流し、四方からの攻撃を開始した。

そして後方からはギンヨウが休むことなく弓の攻撃スキルを放ち続けていた。


矢が風を切る音、ゼラたちが剣を地面にぶつける音、【ハアラシ】が抵抗し暴れまわって攻撃している音、プレイヤーの声。

攻撃しているプレイヤーの人数は最初の半分以下になってしまったが、そうは感じれないほど攻撃をし、ダメージを与えていった。

だがそれは【ハアラシ】も同じ。

ここまでトータルで120万ほど削られたのにもかかわらず、攻撃の手は休むことなく、その上徐々に威力が上がってきていた。


「ぐあああああ!!」


猛攻を受けてなお攻撃の手が止まることのない【ハアラシ】はゆっくりではあるが確実にプレイヤーの人数を減らしていった。


一人、また一人と。


時には腹部ですりつぶし、噛み殺し、絞殺す。

そしてついに残りのプレイヤーはカデン、ゼラ、アオイ、ギンヨウだけになった。

そしてギンヨウは武器を 弓から片手剣|(刀)に持ち替え、【ハアラシ】に向かって走っていった。


「もう少しだ!あと5万!絶対に削り切るぞ!!」

「当たり前だ!!だがこっちのHPもそろそろ限界だ!ギンヨウ、大技を頼む!!」


叫ぶギンヨウの声に反応し、【修羅血鬼】を発動中のゼラが返すように叫んだ。


「心得た!!皆の者!あれを使う!退避せよ!」

そのギンヨウの合図で中央を開けるように移動したプレイヤーたちはそのまま攻撃を続けた。

退避したことを確認したギンヨウはバックステップをしてある程度距離をとると、再び弓に持ち替えて身を低くして矢を引いた。

その矢の先が徐々に青く輝きだし、最終的に鋭利な光の矢じりへと変貌した。


「受けてみよ!電光!!」


ギンヨウの手を離れた光の矢じりの矢はゴウッっという風を切り裂く音を鳴らしてまっすぐと【ハアラシ】に飛んで行った。

しかし、


ズガアアアァァァァァン


命中したのは【ハアラシ】の後ろ、【ベイリーツ古城】の壁だった。


【電光】の一撃を受けた壁は崩落し、そのがれきが【ハアラシ】とプレイヤー数人に直撃した。


「「「ギルマス―!!!」」」


数人のプレイヤーが叫びながらがれきに潰され、光の粒子となって消えていった。

そして当のギンヨウはというと、【雷光】を放った衝撃で後方に飛ばされていた。


「グぅ……すまない…しばしの間動けん…」


【雷光】を放った代償として【状態異常:麻痺】にかかってしまっていた。

しかしそんなギンヨウのことを一瞥するだけで、プレイヤーたちは【ハアラシ】への攻撃を再開した。

残り人数は寝ているギンヨウを含めて6人。

そして【ハアラシ】のHPは約3万。

早々に決着がつくところまで来ていた。


「あと少しだ!!アオイ!カデン!仕掛けるぞ!!」

「了解!!」

「わかったわ!!」


ゼラの合図とともに二人は、いやギンヨウを除いたすべてのプレイヤーが各々が使える一番ダメージの多い攻撃スキルの構えをとった。

そして…

放とうとした。


「ブリ…ッツ…な!?」

急に力が抜け、ゼラたちは地面に倒れ込んでしまった。

そしてあたりにはきらきらと輝く、プライヤーの光の粒子とは少し色合いの違う光の粒子が漂っていた。

カデン達はいきなり自分たちの身に起こったことが理解できなかった。

一体何をされたのか。

奴は何をしたのか。


しかしそれはすぐにわかった。

視界に映るHPバーのした。


【状態異常:麻痺 9分21秒】


そう、あの問題の確殺コンボの一部であり、ラクが踊り場で倒れ込んだ原因だ。


そしてその正体は宙を漂う光の粒子。

最初のアタックの時は土煙とプレイヤーの光の粒子で分からなかったが今はわかる。

確実にこの光の粒子が【状態異常:麻痺】を引き起こしていたということが。

だがカデンやゼラ、アオイ達がそのことに気が付くのが遅かった。


「カデン…あとは…頼む!」

「お願い……勝ってね」


ゼラとアオイは【修羅血鬼】のHP食らいのせいでHPが0になり、光の粒子となって消えていった。

そしてそれとほぼ同時に、カデン、ギンヨウを含めたラク以外のすべてのプレイヤーが【ハアラシ】によって食い殺された。



がれきの影からその光景を目の当たりにしたラクは目を丸くして【ハアラシ】を眺めていた。


「あれでも…勝てないんだ…」


ラクは身を潜め、これからのことを考え始めようとした。


「……え?」


しかしなぜか操作していないのに勝手にウィンドウが開き、短い文章と選択肢が表示された。


『スキル【再炎】の発動条件を満たしました。使用しますか?YES/NO』

それは今まで、岩巨人戦で全く分からなかった【バスターヒリカム】の付属スキル【再炎】の発動を聞くものだった。


「なんで…いまでたの?……でも!」

『発動を確認しました。それでは一定数のプレイヤーをランダムに選択します。』


ラクは迷うことなく【YES】を押した。

そんな内容のスキルなのかはわからない。

だがなにも判明していないスキル。

もしかしたらこの戦況をひっくり返すことができるかもしれない。

そう判断してラクは押したのだ。

それから数秒ほど経ったとき、ラクは急に全身に痛みを感じ始めた。


「うぐ……あああああぁぁぁぁ…!!」


じわじわと痛みがひどくなっていき、HPが減り始めた。

ラクは両手で自身の腕をつかみ、うずくまりながら痛みに耐えた。

原因の分からない痛み、特に【ハアラシ】から攻撃を受けたわけでもない。

そしてその痛みは全身をめぐり、次第に視界がぼやけ始めた。

そしてHPが0になった。


「う……ぁ…」


ラクの視界は徐々に暗くなっていき、程なくして光の粒子となって消えていった。


さて、忘れていた方もいるかもしれない【再炎】がついに発動しました。

しかし謎の激痛とともにHPは0に。



それではまた次回!


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