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episode14

時は少しさかのぼり、【ベイリーツ古城:三階テラススペース】


「おいおいおいおい・・・・・・本当にあんなのに勝てるのかよ・・・・?」


ところどころ壊れたテラスの手すりに両手を乗せ、ラクとハルはさっきとは打って変わって動き回っている【蛇龍ハアラシ】を見て唖然としていた。


いままで二人がそれぞれ戦ってきた、見てきたものとは明らかにレベルの違うMOB。



一撃でも食らえば終わりの戦場。



そんな光景が目の前に広がる中、ラクはあることを聞いた。


「ねえハルさん。あれ・・・・こっちに来ないよね?」

「うーん。わからない。カデンが言うには【ナツハ】はベース拠点には来なかったらしいけど・・・・・ここでもそう言えるかは・・・・・・うん。わからん!」


途中までは普通に話していたが、最後の一言はやけに自信満々だった。


「そこを自信満々に言われても・・・・・・」

「いやだって、私【ナツハ】と戦ってないし・・・・・けど・・・・・」


ハルはその続きをいうのを最初はためらっていたが、結局話した。


「けど、もしここに来たときは試しに戦ってみてもいいかもな!」

「は、ハハハ、ソウダネ・・・・・」


そうはいったが、ラクは心の中でこっちに絶対来るな!と願っていたのだった。


それから少しして、テ【ハアラシ】の周りだけでなく、なんだか城の前も騒がしくなってきた。

やられたプレイヤーがこの城のなかにある仮スポーン地点から蘇生し始めたのだ。

その光景を見たラクは、テラスの手すりから身を乗り出し、ゼラ達の姿を探し始めた。

そしてカデンの姿だけが見当たらないことに気が付くと、慌ててチャットコールをした。






ラクからの突然のチャットコール。


こんな状況で何か用でもあるのだろうか。


カデンは通話ボタンをそっと押した。


「・・・・もしもし?」

『つながった!カデンいったい何が起きたの?急にギンヨウさんたちが城の中から出てきたんだけど。』

「ギンヨウたちが?・・・・・ああ、それ仮スポーン地点で復活したんだよ。【ハアラシ】が急に攻撃し始めてやられたんだよ。」


『そういうことなんだ・・・・・でカデンは大丈夫なの?』

「まだ・・・な。正直あと何人残っているかわからない・・・・・し・・・・・」


ドサァ


カデンの体から急に力が抜け、その場にあおむけの状態で崩れ落ちた。


「なん・・・・だ・・・・?」

今の短い間に何が起きたのかわからなかった。


【ハアラシ】はその場から動いてはいないし、あたりの状況もあれから変化していない。

しいて言うならいまだにキラキラと輝く土煙が立ち込めている程度だった。


『ちょっとカデン?どうしたの?なんか音が聞こえたような気がするんだけど?』


どうやらウィンドウ越しにも崩れたときの音が聞こえたようで、心配そうな声が聞こえた。


「わから・・・ない・・・・急に力が抜けて・・・うごけない・・・んだ。」


周囲にいたプレイヤーも同じことが起きているようで、地面に崩れ落ち、立ち上がろうとしても立ち上がれないようだった。

そんな中、カデンは一度深呼吸をして落ち着き、冷静な観察ができるようになってからあたりを、視界内にある情報から原因を探ろうとした。




そして見つけた。




HPバーの表示の下に。


【状態異常:麻痺 残り8分43秒】


「・・・・・なるほど・・・何かしらの方法で俺たちを麻痺状態にしたのか・・・・でもどうやって・・・・」


カデンは考えられる原因を考えた。


初回攻撃時、【ハアラシ】の攻撃時、それとも・・・・・

突然カデンのあたりがすっと暗くなり、大きな影で包まれた。

そして視界の端からゆっくりとおおきな蛇の頭が現れた。

この距離だからこそ感じる大きさ。


「こんなの・・・・・・どうやって倒すんだよ・・・・・」


カデンは戦意を喪失し、ラクが自分の名前を呼ぶ声がウィンドウ越しに聞こえる中、ゆっくりと目を閉じた。

何から何まで『泳龍ナツハ』の比にならない。


硬さも、強さも、大きさも。


・・・・・さぁ、作戦の練り直しだ。


真っ暗な視界の中、何かに包まれるような感覚とともに痛みが走り、左上にあったHPバーが一気に減った。


【HP:0/1047】


再び何とも言いようがない浮遊感に包まれ、カデンは光の粒子になって消えていった。





【HP:1047/1047】


HPバーの数値が元に戻っている。


「あ!カデンが来たよ!」


アキレアの明るい声に反応し、カデンはゆっくりと目を開けた。

目の前にあるのは天井からぶら下がる壊れかけのシャンデリア。

いつ落ちてきてもおかしくはないが、なぜか落ちてくる気配のないそれを見てゆっくりと起き上がった。


「おはよ、カデン。やっぱやられちゃったかー」


起き上がると、カデンの正面にアキレアが立っていた。

そしてその後ろではギンヨウやトウジ、ゼラやヒナツといったいつものメンツとそのほかのプレイヤーが何が起きたかわからないといった様子で立っていた。


「やられた・・・・ってことはここは【ベイリーツ古城】か。」


ヒビの入ったタイル、ボロボロになってところどころなくなっているカラフルな絨毯。

ところどころ崩れ落ちている階段。

ここは【ハアラシ】との戦闘の前に仮スポーン地点があるか確認した【ベイリーツ古城】の玄関ホールだ。


「・・・・で、みんなやられてここにいるのか?」

「そうだよ。【ハアラシ】がそこらじゅうを這いずり回ったときに食べられちゃったの。カデンは?」

「俺はその少し後。麻痺の状態異常になってから食べられた。」


それを聞いたアキレアはカデンに手を差し伸べた。


「いまから第二波の作戦会議が始まるよ。立てる?」


カデンはその手を掴み、立ち上がるとギンヨウたちのもとまで歩いて行った。



「ギンヨウさん!」

「ん?おお、カデン殿。おぬしも。」

「ええ、あっさりやられてしまいました。・・・・・・それで、まだあの場所にいるプレイヤーは?」

「・・・・・・・全滅だ。おぬしが最後だったのだ。」


その言葉でその場の空気は一気に重くなり、静寂に包まれた。


上級プレイヤーが30人集まっても瞬く間に全滅した。


ギンヨウも、カデンも、ゼラも、アオイ、アキレアも。


その事実と、攻略手段という二つの重みが全員の背中にのしかかったようだった。

そんな中、ふとアオイが口を開いた。


「問題はいろいろあるけど・・・・・優先すべきはあの猛攻撃よね。あれをしのがない限り勝ち目はないと思うわ。」


それに反論したのはカデンだった。


「いや、それもあるが【ハアラシ】は状態異常攻撃をしてきた。しかもかなりの広範囲だ。もし猛攻撃をしのいでも次に絶対それが来るとなると、確殺コンボということになるんだが。」

「状態異常攻撃?私たちがやられた後そんな攻撃してきたの?」

「ああ。けどいつ使ったのかは土煙のせいで確認できなかった。」

「時間はどのくらい?」

「俺がHPの下に表示されているのを確認したのが大体9分。でもそれ以上前になっていたと考えると10分ぐらいだと思う。」

「うむ・・・・してカデン殿。状態異常の種類は何だったのだ。」

「麻痺だ。」

「ぬうぅ。猛攻撃に10分の麻痺。最悪の組み合わせであるな・・・・・」


ギンヨウは腕を組み、眉間にしわを寄せてそういった。


そこに、【ハアラシ】も様子を見に行っていたヒナツが城門を越えて戻ってきた。


「あ、ヒナツが戻ってきた!ねぇねぇどうだった?」


ヒナツはカデン達のもとまで歩いてくると、見てきたことを報告していった。


「追ってくる気配はない。ここをまっすぐ行ったところでとぐろ巻いてる。」

「なるほど・・・・・ならこのままヒナツに偵察してもらってもいいか?カデン。」

「ヒナツがいいならそれでいいが・・・・・」

「構わない。」

「だそうだ。ゼラはどうする?」

「俺は・・・・・いや、俺も行こう。何かあったら一人であれを対処するのは難しいと思うから。」

「あ、なら私も行こうかな。私とゼラが組めば多少は粘れると思うし。」

「ならヒナツ殿、ゼラ、アオイ頼むでござる。」

「わかった。」

「了解。」

「任せて。」


そういうと三人は外に出て、城門を越えて【ハアラシ】の様子を見に行った。


「・・・・・・さて、問題の対策であるが・・・・・」

「それなら俺に考えがある。」

「ほう・・・・カデン。聞かせてくれぬか?」


それからカデンは考えを説明し、それから二回目のアタックをしに【ハアラシ】のもとに向かった。


第一回目のアタックは惨敗。

【蛇龍ハアラシ】の強さに打ちのめされたプレイヤーたちですが、第二回はどのような作戦で行くのか!?

それではまた次回!!

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