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episode11

 ラクは草原を歩いている途中に東の街でカデンに買ってもらった白いローブを羽織り、それについているフードを深くかぶって集合場所であるその場所にやってきた。


【西:森林エリア入口 セーフティゾーン】


すでにもう何人か集まっており、武器も装備も様々なプレイヤーの会話で盛り上がっていた。

にぎやかなその場所の中から、少し離れた場所にいるゼラとアオイを見つけて歩いて行った。

二人に向かって歩いていると、突然何者かが後ろから飛びつき、のしかかってきた。


「お姉ちゃん発見~!!そして確保ー!!!」


そして耳元からは最近よくこの世界で聞く明るい声が聞こえた。

その明るい声の持ち主は、金髪ポニーテールで片手剣を背負っている少女、アキレアだった。


「わ!ちょっとアキレア!重い!」


いきなり飛びつかれたということもあり、ラクはバランスを崩してすこしよろめいたが、何とか持ちこたえた。


「重いはひどいんじゃない?というかそれは防具のせいだし!」


アキレアはすっとラクの背中から降り、頬を膨らませてラクの前に立った。


「ほら、こうしていつもより防具つけてるから重いだけだし!」


そういってその場でくるっとターンをして防具を見せつけてきた。

今回つけてきた防具は、以前装備していたほぼ防具のついていない服でスピード重視のものに対し、胸、、腕、脛に銀色に輝く防具パーツを付け、その下に着ている服は少し露出度の高い白い生地に黄色のラインが入った肋骨のあたりまでしかないベストと短いスカートで、肩や程よく鍛え上げられたお腹や足をさらしていた。


「どう?似合う?」

「・・・・・似合うどうこうのまえにそれ防具つける意味あるの?」

「アオイとゼラがちゃんと防具つけろってうるさいんだよ!本当はいつものやつでやりたいけど全身装備は着きたくないし・・・・だから妥協してこれにしたの!あ、ちなみにセロシアに頼んでお姉ちゃんと同じデザインにしてもらったよ。」


どうして全身防具から妥協したはずなのに・・・・・鎧と一緒に衣服まで少なくなっているのだろうか・・・・・


ラクは深くため息をついてから「すごく似合ってると思う。」と言い、アキレアの横を通ってゼラたちのもとに歩いて行った。


「お、ラクもう来たのか。」

「もう10分前だよ?さすが来てないと・・・・それよりカデン達が見当たらないんだけど・・・・・・」


今見える範囲にカデンどころか、アキレア以外の『旋風団』のメンバーがいなかった。

それが気になったラクはふとゼラに聞いてみた。


「ん?あいつらなら先に行ったぞ。聞いてないのか?」

「もう行った?なんで?」

「ほら、手前に壊れた城があっただろ?それが今回も使えるかどうかを確かめに行ってくれたんだ。」

「今回も?・・・・それって東の要塞?が使えたからってこと?」

「そういうこと。たぶん使えると思うが念のためな。」


東の激流島で『泳龍ナツハ』と戦った時、その場所にいた『旋風団』と『タイラント』のメンバーはその島にあった壊れかけの建造物【オレアンダー迎撃要塞】を拠点とした。

その要塞には、激流島で『ナツハ』と戦うためにと言わんばかりに仮スポーン地点が存在した。

それを踏まえ、今回の場合はあの城に仮スポーン地点があるのではないか。

とカデンが考え、確認もかねて『旋風団』のメンバーを連れて先に出発したのだ。


「でその要塞の中にあった仮スポーン地点がこっちにもあるか確認しに行ったんだ。」

「そうなんだ。でも仮スポーン地点があるなら死んじゃっても何回でもすぐに復帰できるね。」

「いや、そうでもないんだ。」

「というと?」

「あの仮スポーンには回数制限があって一人のプレイヤーに対して3回までしか復活できないんだ。だからどうせすぐに戻れるっていう楽観的な考えで死ぬことができないんだよ。」

「そうなんだ。」


そのあとも集合時間まで話していると、一人の男性プレイヤーがラクの後ろから歩いてきた。


「ゼラ、アオイ。待たせたな。」

その低い声のした後ろを見ると、そこに後ろで黒髪を縛った目つきの鋭い侍のような男性が立っていた。

黒い着物と袴を着て背中に大きな和をイメージした弓を背負い、腰には同じデザインの矢筒を携えていた。


「よう、来たか。」

「時間ぎりぎりじゃない。何やってたの?」

「すまない。少々道に迷ってな。・・・・それよりこの女子おなごは誰だ?うちにはこのようなものはいなかったはずだが・・・・」


男はラクを見下ろし、振り向いているラクの目をじ~っと見つめた。

ラクはすこし気味が悪くなり、ゼラとアオイの後ろに隠れるように移動した。


「誰この人?」


ラクはゼラの背中越しに、その男性に聞こえないようにひそひそと二人の聞いた。


「紹介するよ。こいつはギンヨウ。ギルド『タイラント』のギルドマスターで、侍みたいなプレイをしてるんだ。ちなみに俺らの現実での同期。で次はこっち。この子はラク。今回あれを見つけるきっかけとなったプレイヤーだ。」

「おいゼラ。なぜ現実でのことを言ったのだ?」

「それはアキレアと同じ理由だからだよ。」

「なんと!おぬしら二人もおったのか!」

「あれ?言ってなかったか?」

「いっておらぬ!」


そういうとギンヨウはずんずんとラクのもとまで歩いて来た。


「お初にお目にかかる。拙者は『タイラント』のギルドマスター、ギンヨウと申す。」

「は、はじめまして・・・・・ラクです。」


ギンヨウの見た目と口調に引き気味ではあったが、ラク軽い自己紹介をした。


「にしてもラク殿。得物はどうしたのだ。見た限りそれらしきものは持っておらぬようだが・・・・」

「このローブ羽織るときに邪魔になるのでしまっているだけです。」

「む、そうであったか。」


するとアオイがその場から会話に割り込んできた。


「ラクはあなたの探している両手剣使いよー。」

「それはまことか!?」

「アオイ違う!私は短剣使ってるの!両手剣はメインじゃない!」

「む?どういうことだ?」

「あら?そうなの?いままで使ってなかったじゃない。」

「あれは両手剣を使い慣れようとしたときに壊れてちょうど代えがなかったから使ってなかっただけ!」

「なるほど。そうであったか。って壊れた!?」

「でも本当は両手剣でしょ?かなり使ってたし。」

「違う!私は短剣を使ってるの!」

「どっちでござるか!!?」


アオイとラクの会話に反応しているギンヨウに表情がころころと変わっているところを見て、ゼラは口を押えて笑いをこらえていた。

するといったい今までどこに行ってたのか、アキレアがひょっこりと現れた。


「やっほーギンヨウさん!なんだかコントが始まっていたみたいだけど?」

「ん?おお、アキレア殿か、いや実はラク殿が主に使ってる得物の話をしていたのだが・・・結局両手剣と短剣。どっちなのだ?」


「ああ、そういうこと。お姉ちゃんは短剣使いだよ。でも両手剣使いでもあるの。メインは短剣だけど、相性が悪い時は両手剣使ってるんだよ。今は~・・・・短剣がないから使ってるだけだね。」


それを聞いて納得したようで、ギンヨウは腕を組んでうなずいていた。


「そういうことであったか。」


ギンヨウは改めてラクと向き合った。


「ラク殿。ぜひ我ら『タイラント』に入ってはくれぬだろうか。」

「えっと・・・・・・・考えておきます。」


ラクは苦笑して答えた。

正直今はまだギルドに入りたいとは思わない。

まだこの世界を自由に歩いてみてみたいし、それにそれほど実力があるわけでもないので、『タイラント』のようなトップギルドに入っても足を引っ張るだけだ。

だからいまはまだ入らない。


「私にもうすこし実力が付いたときに改めて検討させていただきますね。じゃあゼラ、アキレア、アオイ、ギンヨウさん。私も先に行ってますね。」


そういうとラクは足早に森林に入っていった。



それから岩巨人を気が付かれないように通過し、あの地面の陥没した場所までやってきた。

すると、すでにカデン達は下に降りているようで、崖の上であるこの場所には一人もいなかった。


「まさか・・・・この場所から下に降りた・・とかじゃないよね?」


崖下を慎重にのぞき、ふと口にしたラクだったが、突然横から返答が返ってきた。


「私はできる。けどみんなはここから少し行ったところにある坂を使って降りて行った。」


返答をした人物。


それは同じような体勢になっているヒナツだった。


いつの間に横にいたんだろう・・・・・・


驚くよりも先に疑問が浮かんだ。


「お姉ちゃんはどうする?ここで見る?それとも城から見る?」

「じゃあ・・・・城で見ようかな。なるべく近くで見たいですし。」

「わかった。」


そういうとヒナツはラクをお姫様抱っこで持ち上げると、少し後ろに下がった。


「・・・・ヒ、ヒナツさん?まさかとは思いますけど・・・・・・」


そのまま助走をして何の躊躇もなく崖を飛び降りた。


「うそでしょー!!」


ラクの絶叫とともにそのまま落下していくかと思いきや、ヒナツは落下している今の状態から崖を蹴り、眼下にある城に落下先を変更した。

ガシャア

ヒナツは両足で城の屋根のうちの一つに着地した。

その際、脆くなっていた城の屋根が陥没し、そのせいでバランスを崩しそうになったがとっさに跳躍、いくつもの城の屋根を伝って城の正面にある石畳の道に着地した。


「着いたよ。・・・・・・お姉ちゃん・・・・・大丈夫?」

「だい・・・・じょうぶ・・・・だと思う・・・」


その辺にあるテーマパークのジェットコースターやホラー映画よりはるかにレベルの高い恐怖体験をし、ラクは魂が抜けかけていた。

ヒナツの首に手を回し、しがみつくような体勢になっているが、ラクは魂が抜けかけているせいで気が付かず、ヒナツはすごく幸せそうな表情になっていた。


今度からヒナツさんに運ばれることだけは・・・・・避けるようにしないと・・・・・


視界の中で地面がグルグルと回っている中、ラクはヒナツに対する新しい教訓を得たのだった。



 【状態異常:気絶 残り4分48秒】



新キャラ「ギンヨウ」登場!

しゃべり方、恰好を見てもモチーフは侍です!

ただしゃべり方はどこか現代語と混ざっている・・・・という設定です。


画面上部よりブックマーク

最新話下部より評価、レビューをぜひお願いします!!


それではまた次回!!

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