episode7
結局一人で戦うことになったラクは背中に背負った両手剣を抜刀し、【古石板の岩巨人】になるがれきに近づいて行った。
今まで散々倒してきた敵なので何の問題もないのだが、ラクは不満を抱いていた。
「どうせなら誰か手伝ってくれればいいのに・・・・・・・」
そう、理由は何であれ、アキレア、アオイ、ゼラの三人の内、誰一人手伝ってくれなさそうなのだ。
しかもたちが悪いことに岩巨人が動き出すときに同時にせりあがる岩壁の範囲外まで移動しているのだ。
完全に手を出すつもりはないらしい。
「まぁ・・・・・・いっか。終わったらかけらを思いっきり投げつけてやろっと。」
そういうとラクは岩巨人の柵的範囲内に足を踏み入れた。
コトッ・・・・・ガチャ・・・・ガチャガチャガチャガチャ・・・
範囲内にプレイヤーが侵入したことを確認すると、がれきが宙に浮き、足、腰、胴体、両腕、頭と順番に組み上げられて行った。
それと同時に巨人の背後から円を描くように分厚い岩壁がせりあがり、逃げることの難しい円形の戦場が完成した。
「さて、さっさと終わらせそうかな。」
そういうと【身体強化:スピード・アタック】を発動し、巨人の左腕の上空めがけて高く跳んだ。
空中で体をひねり、地面とほぼ垂直の状態に持っていくと、両手で剣を振り上げ、落下の勢いを追加した振り下ろして左肩を切断した。
ガアアアァァァンン!
轟音と土煙を立てて落ちる元左手のがれきを蹴っていったん距離をとったラクは、休むことなく今度は壁に向かって走り出した。
十分な助走を経て壁に着くと、そのスピードのまま壁を走って巨人の右足の裏に回った。
「ええええええい!」
壁を思いっきり蹴り、右足めがけて跳んだラクは、体をひねって回転し、その遠心力を乗せた一撃で右足も切断した。
再び轟音と土煙を立てて崩れ落ちる足とともに、巨人はバランスを崩してあおむけの状態で地面に倒れた。
右足を切断したラクは、前回のリベンジと言わんばかりに体勢を整えてズザァっという砂利をする音とともに少し滑り、数歩歩いて静止した。
「わ、っとと。今度は成功した。」
今度はうまく地面に着地できたことに喜んでいると、突然アキレアからボイスチャットのコールが来た。
「もしもし?どうしたの?」
『何やってんの!?腕とっちゃだめだよ!』
もしかしたら取ってしまった左手で方向を示すかもしれない。
アキレアはそう考えていた。
今回は『再炎』の効果を試すためではなく、城を探すために巨人の示す先を確認するために来たことを。
そのことをラクはすっかり忘れていた。
「・・・・・・あ・・・・・ごめん。」
すこし小さな声でしょんぼりとしてラクが答えると、アキレアが慌ててフォローしようとしてきた。
『あ、べ、別にお姉ちゃんのせいじゃないよ?私が最初に行っていればよかったし、それか私も戦えばよかったし・・・・・』
「ならなんで来てくれないの?・・・・」
『う・・・・・それは・・・・・・お姉ちゃんの実力が見たかったから・・・・・』
チャットウィンドウ越しではあるが、アキレアがいますこし申し訳なさそうな顔をしていることはなんとなく想像できたラクは、フフっと笑うといつもの調子に戻った。
「まぁ今回はいいよ。もし左腕だったらもう一度倒せばいいし。ゼラたちが。」
『おい。なんでいま俺たちを巻き込んだ。無関係だよな?』
「手伝いに来てくれない時点で同罪でしょ?今度夕飯の当番の時、棒棒鶏(バンバンジー)にでもしようと思ったけど・・・・・・焼き魚に変えておくね。」
その一見何の関係もなさそうな会話は、ある人物に大きなショックを与えた。
それと同時に、
ドゴオオオオオォォォン!
というすさまじい轟音と土煙、そして突風がラクたちを襲った。
「ラクちゃん!私無罪だから棒棒鶏作ってくれるよね?」
土煙がはれると、光の粒子を放ちながら消えかけている巨人の胸元に、赤い龍の鱗と川で装飾のされた両手剣を深々と突き刺し、平然と胸の上で大声で叫んでいるアオイ|(お母さん)がいた。
ご想像の通り、この作戦は棒棒鶏が大好きなアオイを動かすためのものだった。
『・・・・・まぁ・・・私たちは別の物でもいいから・・・アオイには作ってあげてね。』
ハハハハっと苦笑しながらアキレアいった。
「そうする。ってそれよりアキレア巨人!どっち指してる?」
いろいろ起きたが目的はそれだ。
一体巨人はどっちを指していたのか。
『あ・・・・えっと・・・・・どの方向もさしてないね・・・ゼラはどう?』
『おれも同じ意見だ。どの方向もさしてない。ただ・・・・・・』
『あら?ゼラ。どうしたの?』
『いや、光の粒子がな。・・・・・風のせいか?確かめるためにもう一度倒す必要がありそうだ。』
そうこう話していると、巨人は完全に消滅し、岩壁も徐々に透けていって完全に消滅した。
足場を失ったゼラとアキレアはスタッと静かに着地してラクのもとに歩いてきた。
「お姉ちゃんお疲れー。結構強くなっててびっくりしたよー。」
タッタッタっと軽快な足取りでやってくると、ラクに抱き着いてきた。
「わ!ちょっと。いきなりどうしたの?」
「えへへー。お姉ちゃんが久々に生き生きとしているの見たからつい。」
「どういう理由よ。ほら、離れなさい。」
そういってアキレアの肩をもってはがそうとしたが、そうはいかなかった。
「無駄だよー。ここじゃぁ私のほうが強いからお姉ちゃんの力じゃ絶対に離せないよ!」
「なら今度お母さんには棒棒鶏作ることにしてたけどアキレアには嫌いなゴーヤチャンプルでも作るかな~。」
「な!お姉ちゃん!それは卑怯だよ。」
強気では言っているものの、どうやら体は正直なようですぐにラクから離れてそこまで嫌いだったのかというほどプルプル震えていた。
その姿を見て、ラクは思わずアキレアの頭の上に手をポンッと置いてなで始めた。
「うう・・・・・・・。」
少し離れていたところからその光景を眺めていたゼラとアオイは、二人はまだまだ子供だぁと思っていたのだった。
それから二体目の巨人は名誉挽回と言わんばかりにアキレアが張り切り、何とか腕を壊さずに倒した。
『ふぅ、どう?どっち指してるかわかる?』
ラクは壁の上から巨人を見下ろした。
しかし巨人はどこかを指している様子はなく、ただ倒れているだけのように見えた。
「どこの方向もさしてないと思う。アオイとゼラは?」
すると二人はもうわかっているようで、岩巨人を見ずに座ってのんびりしていた。
「・・・・・・・なにやってんの?」
「ん?なにって・・・・娘の行動を観察してるのよ。」
「いや、わけわかんないよ。」
「ところでラクもアキレアももうギブアップでいいのか?」
『うん。わかんない。』
「私も。」
「なら下に降りてから説明するか。」
その瞬間、岩壁は消滅し、三人は地面に向かって落ちて行った。
今回も静かに着地した二人だったが、ラクはダン!っという音を立て両足で踏ん張るような体勢で着地した。
「っつ~~~!!」
今の衝撃で足がピリピリとしびれるような感覚の襲われた。
ラクが足のしびれを我慢している間にアキレアは駆けてきて、四人はいったん巨人の柵的範囲外に移動した。
「それじゃあ説明をするが・・・・面倒だから結論だけ言うぞ。あっちだ。」
そういってゼラが指さしたのは、最初に向かった巨人の背後から巨人のがれきを軸に右に45度傾けさせた方向だった。
「・・・・・あっち?」
「ああ。あっちだ。」
ラクとアキレアは互いに理由がわからないようで、不思議そうな顔をしていた。
するとアオイが補足説明をしてくれた。
「ゼラが言いたいことをもっと詳しく言うとね、MOBが消えるときにでる光の粒子のことを言っているのよ。あの粒子って風には影響されない仕様なんだけど巨人の粒子はゼラのさした方向に飛んで行った。それが理由よ。これで分かった?」
「まぁ・・・・・言いたいことは。」
「そんなの普通わかるわけないじゃん!」
「まぁまぁ。とりあえず納得してくれたようだから早く行こうぜ。夕飯の支度の時間になっちゃうぞ。」
そうして四人はゼラの示した方向に歩いて行った。
アオイの好きな料理は棒棒鶏、アキレアの嫌いな料理はゴーヤチャンプル。
みなさんはどんな料理が好きで、どんな料理が嫌いでしょうか?
ちなみに私は好きな料理はスパゲッティ|(特にペペロンチーノ)、嫌いな料理はグリーンカレーです。
・・・・・・どうでもいいですねW
それではまた次回!!
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