episode6
「ほ、ほんとうに分かったのか?」
「あくまで推測に過ぎないけどね。聞いてくれる?」
「あ、ああ。」
それからラクはカデンに聖騎士の違和感の正体、攻略方法を説明した。
「・・・・・・・というわけ。」
その意見を聞いてカデンはあきれていた。
「うそだろ・・・・・。じゃあもし、もしその推測があっているとしたら・・・・」
「うん。一番勝率が高かったのは二番目のあの槍使いの人ってことになるね。」
「それは最前線のやつらでも倒せないわけだわ。これからどうする?」
「それも考えがあるの。」
それからカデンにこれからの作戦を説明した。
「・・わかった。それでいこう。タイミングは任せるぞ。」
そういうと、カデンは剣を鞘に納め、聖騎士の投げた両手剣のところまで行くと、そのばに座り込んだ。
「おい、どういうつもりだ?まさかあの女プレイヤー一人で戦わせるつもりか?」
ちかくにいた五番目のPTの一人がカデンにきいた。
「これが一番勝てる確率が高いんだとさ。まあみればわかるさ。」
そういった家電の目線の先には聖騎士と対峙するラクの姿があった。
聖騎士と対峙したラクは、短剣を構え。聖騎士は二本の片手剣を構えていた。
最初に動いたのはラクだった。
【身体強化:スピード】を発動し、聖騎士との距離を詰めたラクは、振り下ろされる剣を避け、腹部に一撃入れて背後立った。
そしてその場所からもう一度距離を詰めて背中に一閃。
しかし聖騎士はそれをかわすと、離脱しようとするラクとの距離を詰めて剣を振り下ろし、その一撃はラクの背中に直撃した。
「ぐうぅ・・・・まだまだぁ!」
地面にたたきつけられたラクはとっさに横に転がって追撃を避けると、立ち上がって距離をとった。
これだけは慣れれば十分かな・・・・・
壁沿いに座っているカデンと聖騎士の距離を確認したラクは、聖騎士のHPを確信した。
【伝承に伝わるかつての聖騎士】
HP:747/1000
まだまだHPがあるが一撃で50以上削ったことが確認できたラクは、再び距離を詰めた。
そこからは激しい打ち合いが始まった。
迫ってくるラクに聖騎士は勢いよく右手の剣を振り下ろした。
その一撃を避けてカウンターとばかりに腕に「一式」を使おうとした。
しかし一度食らったパターン、聖騎士は空いている左手で三本目の剣を持ち抜刀、ラクの腹部を一閃した。
「う、あ・・・」
痛覚はかなり制限されているものの、多少の痛みは感じる。
ラクはその場に崩れ落ちるように座り込んだが、聖騎士をにらむと腹部めがけてスキルを使った。
「一式!颯!!」
不意を突く形で放たれたその一撃は、聖騎士のHPを大幅に削った。
さらにラクは、間をあけることなく【身体強化:アタック】に切り替えて攻撃を仕掛けた。
「やああぁぁ!二式:連歌!」
聖騎士の伸ばしたままの腕の先から反対側の肩を沿うように一閃した。
さらに落としたままの聖騎士の剣を拾い上げると、それを重さに任せて振り下ろした。
声にならない悲鳴を上げてよろめく聖騎士。
しかしそこでラクの連続攻撃は終わった。
よろめいた聖騎士は左手に持った剣をラクに振り下ろした。
「ぐうぅ。おっも・・・」
聖騎士の振り回す剣で聖騎士の攻撃を受け止めたラクは、剣を手放して距離をとった。
「ハァ・ハァ・・・・・」
ラクは聖騎士のHPを確認した。
【伝承に伝わるかつての聖騎士】
HP:419/1000
先ほどの連続攻撃で半分以下にすることができた。
これなら・・・・・
そう思ったラクはカデンに合図を出そうとした。
しかし、それよりも早く、カデンが叫んだ。
「パターン変わるぞ!気をつけろ!!!!」
「え?」
その瞬間ラクの目の前に聖騎士が一瞬で移動し青く輝きだした剣を振り下ろした。
「ラク。大丈夫か?」
目を開けると、カデンがラクを抱き上げてシャンデリアの上に立っていた。
「え?な、なにこれ?どういうこと?」
「ラク。ここまでだ。ここからは二人で戦おう。敵のパターンが変わった。たぶん今までの戦法は通用しない。」
それは最前線で戦っているカデンだからこそわかったことだ。
ダンジョンや北にいる大型MOBはHPが一定以下になると攻撃パターンが変わり、攻略方法も変化する。
カデンはそれを知っていたのでとっさに助けに入ったのだ。
「・・・というわけだ。わかったか?」
カデンはそのことをラクに説明した。
「うん。それより早く下して・・・・恥ずかしい。」
「おっと、悪い。」
シャンデリアから降りてラクを下すと、カデンは剣を抜いた。
「俺が時間稼ぐからその間に剣とってきてくれ。あれじゃないととどめをさせない。」
カデンが指さしたのは、あの聖騎士の投げた両手剣だった。
「ラクの推測通りでパターンだけ変わるならあれが必要になると思う。早く!」
「わ、分かった。」
そういうと、ラクは両手剣に向かって走っていった。
「さて、聖騎士様。再戦と行こうぜ!」
そして再び二人がぶつかった。
ゴオオォォン・・・・・ガキィィン
聖騎士の剣から放たれる衝撃波の音と、剣同士のぶつかる音を背後にラクは両手剣のもとに走っていった。
「カデン!」
「わかった!シャンデリアの上にいてくれ!」
聖騎士の剣から放たれる衝撃波を回避しながら剣で撃ち合うカデンはそう叫び、シャンデリアに向かって徐々に聖騎士を誘導していった。
その隙にラクは【身体強化:アタック・スピード】を発動し、一気にシャンデリアの上まで跳んだ。
「っと、いつでもいいよー!」
「少し待ってくれ!」
「わかった。」
ラクは気が付かれないよにしゃがんむと、カデンの合図を待った。
その合図がこの戦いを終わらせる宣言。
あてれば勝ち、はずせば負けの一発勝負。
ラクの心臓はバクバクと鼓動を鳴らし、両手剣を握る手がだんだんと強く握っていった。
それからもカデンと聖騎士の激しい攻防戦は続いたがシャンデリアの真下まであと少しっというところまでやってきていた。
「ラク!ここでも大丈夫か!?」
真下まであと少し、というところでカデンが叫んだ。
「大丈夫!ここから跳べば届く!」
「わかった!」
そういうと、カデンは聖騎士の剣を受け止めた。
「いまだ!!」
「やあぁぁぁぁぁぁ!!」
その合図とともにラクは両手剣を振りかざした状態で聖騎士に向かって飛び降りた。
ラクの存在に気が付いた聖騎士はとっさにその場からどこうとした。
「おっと。行かせねーぜ。」
カデンは剣で受け止めるのをやめると、すかさず聖騎士の腕に突き刺して注意を引き付けた。
その瞬間に勝負はついた。
ラクの振り下ろした両手剣が肩から股にかけて胴体を半分に両断した。
その後、聖騎士は力が抜けたようにその場に崩れ落ち、光の粒子になって消えていった。
「・・・・・・おわった。」
「ああ、おわったな。・・・・・」
安堵したのか、剣が手から零れ落ち、二人はそれを見て苦笑いをした。
その時だった。
『おめでとうーーーーーーー!!!!!!』
壮大な音楽とともに発せられた大きな声はフィールドにいた全プレイヤーを驚かせた。
またか・・・・・・・
ラクの予想していた通りの人物が、フィールド奥の玉座の前に現れた。
高木Pだ。
『【伝承に伝わるかつての聖騎士】の討伐おめでとう!これによって五組の全プレイヤーに報酬が配られることが決定した!受け取ってくれ!』
それが合図になったのか、らくたちのまえに一つのウィンドウが現れた。
【イベントクエスト情報】
おめでとうございます。
イベントクエスト『抽選クエスト1【伝承に伝わるかつての聖騎士】』をクリアしました。
報酬をお受け取りください。
【報酬】
100000R
高効薬草×10
ルデル鉱石×5
伝承の書かれた古い本
「まじかよ!ルデル鉱石あるじゃん!」
「ルデル鉱石って?」
「今発見してる中でも一番装備に加工するのが向いている鉱石だよ。あまり手に入らないから結構貴重なんだ。」
「へーそうなんだ。それよりこの本ってなに?」
「わからん。なにか生産にかかわることでも書かれてるんじゃないか?そういう本多いし。」
「ふーん。」
周りでもいつの間にか戻ってきていた前の三組と五組目も報酬について話していた。
『私のことを忘れないでくれーーーー!』
「あ、そういえばいたな。」
『だれか今なんか言ったような気がするが・・・・・まあいい!101番の二人よ!よくぞあの聖騎士を倒した!なにかプレゼントしたいが・・・・・・あれでいいか。』
そういうと高木Pは二人のもとに歩いて行き、聖騎士の使っていた片手剣一本と両手剣を二人に渡した。
「え・・・・いいの?」
『もちろん!専用アイテムになるから売れないが、きっと役に立つはずだ。』
「・・・・・・そういうことなら。ありがとうございます。」
「あ、ありがとうございます。」
ふたりが剣を受け取ると、高木Pはまた玉座の前に戻った。
『それでは諸君を第一の街まで転送しよう。第二の街は人が多くて転移できないからね。』
そういうと、プレイヤー全員の体から光の粒子が出始めた。
『それでは諸君。またどこかで会おう!!ハーハッハッハッハッハ!!!』
何とも言えない笑い声を聞きながら、プレイヤーたちは光の粒子になって消えていった。
【間章:第二の街と抽選クエスト】完
次回
【第三章:その文字の示す先】
無事、間章:第二の街と抽選クエストを終えることができました。
まだ聖騎士に関しての説明がないとはお思いでしょうが、これについては三章の最初のほうで説明がありますのでご安心ください。
さて、これからどんな場所に行くのか!?三章では何をするのか!?
うっかり親に行ってしまったラクは、宿梨はどうなるのか!?
お楽しみに!
それではまた次回!!




