episode3
ラクは第二の街の広場にある喫茶店の前に立っていた。
あたりを見回すと、昨日以上にプレイヤーが広場に集まっていた。
重装備の者、忍者っぽい格好の者、どこかの民族衣装みたいなものを着ている者。
みんな新イベントのために集まったのだ。
ラクは昨日決めた待ち合わせの場所であるベンチに向かって歩いて行った。
「おい、あのこって・・・・」
「ん?ああ、あのこか。かわいいよなぁ。」
「違う!西の草原でのことを知らないのか!?」
歩いていると遠くから男性二人がひそひそと話しているのが聞こえた。
しかもよく耳を澄ませると、それに似たような会話がそこらじゅうでされており、ラクはすこしいやな気分になってローブについているフードを深くかぶってベンチにこじんまり座った。
「なんでみんな私のこと話してるんだろう・・・・・わたしなにかした?」
「まぁしたっていえばしたかな。結構すごいこと。」
突然聞こえた声にびくっと肩を揺らして驚き、声に聞こえた前を向いた。
するとそこにはカデンがいつの間にか立っていた。
「よう。まああまり気にするなよ。」
「そういわれても・・・・ねぇ、知ってるなら教えてよ。私何かした?」
「それはあとで。もう始まるからPT申請するぞ。」
カデンはウィンドウを操作し、PT申請をラクにした。
申請を受諾したラクは立ち上がり、二人で転移柱の近くまで歩いて行った。
「おい、あのこと一緒にいるのって『旋風団』の連撃のカデンじゃないか?」
「うわ!ほんとだ。俺近くで見たの初めてだわ。」
「でもなんであのこと一緒にいるんだ?」
「きっと彼女なんだろ。リア充め。」
「違う!」
「何やってるんだ?ラク。」
つい近くで話していた別のPTの会話に突っ込みを入れてしまったラクだった。
「な、なんでもない。」
「そうか。お、始まるぞ。」
カデンはそういうと、転移柱の上空に目を向けた。
ラクもカデンに合わせて見上げると、光の粒子が集まって何かが形成されていった。
厚さはそこまで厚くない六角形の箱、そこに一つ小さな穴が開いており、土台から伸びる支柱の先端に固定され、グリップのようなものが付いた茶色いもの。
「・・・・・これって・・・・ガラガラだよね。」
「・・・・・ああ、ガラガラだな。商店街の福引で使われる。でも・・・・サイズおかしくね?」
逸れの大きさは直径1メートルはあろう代物だった。
宙に浮く巨大ガラガラにプレイヤー全員の注目が集まっていると、そのガラガラの横に一人の男性が現れた。
その男性は白いシルクハット、白いタキシード着て赤いネクタイをしたすごく、すごく見覚えのある男性だった。
「・・・・・まさか・・・・」
『お待たせしましたぁぁぁぁ!』
無駄にテンションが高い。
『こういうこと諸々担当のプロデューサーの高木だ!ただいまより新イベント!抽選クエストを開始しまーす!!!』
お父さん・・・・何やってんの・・・・・それにテンション・・・・
こうしてなんだかよくわからない抽選会が始まろうとしていた。
『さて!今回のこのイベント内容を説明しよう!これを見てくれ!!』
そういった高木Pの下、転移柱の真上に大きなウィンドウが表示された。
【抽選クエスト概要】
この抽選は計5回開催される。
開催場所は順を追って公開。
毎回異なるクエスト内容になっている。
このクエストに参加できるのは抽選で選ばれたプレイヤー、PT計5組
第一回目のこのクエストの内容は敵MOB一体の討伐。
ここから専用のマップに転移してそこで戦う。
一組ずつ挑戦し、一組でもクリアできたら全当選者に報酬を寄与する。
なお報酬は5回とも同じである。
武器、アイテムの制限はなし。
一度HPが0になったら再起不能。
『これが抽選クエストだぁ!』
その内容に、あたりにいたプレイヤーはざわついていた。
クエスト内容が一体の討伐ということはかなり強力に数値が設定されており、それを自分たちのPTだけで倒す。
ここだけ聞けば鬼畜なクエスト以外の何物でもなかった。
それだけに、最前線で戦うギルド、『旋風団』のカデンは注目されていた。
そのカデンはというと、プレイヤーたちの目線はどうってことなさそうだった。
『さあ!それでは抽選を始めよう!今から5分間抽選の参加受付をする!時間までにPTを組むか、ソロで挑むか決めてリーダーがメニューから参加申請を送ってくれ。それでははじめ!』
それと同時に、概要が書かれたウィンドウの上に【5:00】から徐々に減っていくウィンドウが現れた。
「ラク、俺が申請していいか?」
カデンは早速、少し急ぎ気味でラクに聞いた。
「うん。いいよ。」
それを聞いてカデンが登録をしようとしたとき、それを阻むようにカデンに多くのプレイヤーが話しかけてきた。
「カデンさん!ぜひ私とPTを!」
「いや、俺とだ!」
「お願い!私と組んで!」
そのほかにも数えきれないほどのプレイヤーが押し寄せてきた。
「いや、おれは・・・・・・」
ラクはその人だかりから何とか抜け出し、さっき座っていたベンチにちょこんと座って人だかりを見つめていた。
徐々に減っていくカウントダウン。
そしてそのカウントは2分を切った。
いまだに人だかりから出てこないカデンと、一向に参加者リストに表示されないない二人の名前。
そろそろ助けに行こうかな。
ラクは立ち上がり、人だかりの前に歩いて行くと、【身体強化:スピード】を掛けて押しに押されて転移柱のそばまで行ったカデンめがけて飛んだ。
そしてカデンの前に、勧誘をするプレイヤーとの間にラクは着地し、カデンに歩み寄った。
「カデンまだ申請してないの?早くしないと終わっちゃうよ?」
「あ、ああ。」
カデンは突然ラクの肩を掴んでくるっと180度回し、勧誘するプレイヤーのほうを向かせた。
「というわけで、誘ってくれるのはうれしいけど俺今日はこいつと組むからまた機会があったらな。」
というと、素早く登録をした。
「何だあの白ローブ?」
「さあ、でもまあ組む人決めてたなら仕方ないよね。」
カデンと組むことを諦めたプレイヤーはお互いにPTを組んだりしてなんとか時間までに申請した。
『時間だね。それじゃあさっそく抽選を始めよう!』
時間になって受付を締め切った高木Pは申請リストを見てうれしそうにニヤっと口をゆがませてガラガラの回す部分を掴んだ。
『総申請数130組、計213名の中から最初に選ばれたのはこのプレイヤーだぁ!』
勢いよくガラガラが回され、番号の書かれた白い球が一つでできた。
『21番!おめでとう!最初に選ばれたのは21番のPTだ!』
どうやら申請と同時に番号が当てられるようで、その番号は本人しか知らないようになっているようだった。
それから残りの四組が発表された。
46番
101番
3番
57番
「ねぇ、カデン。私たちって何番なの?」
番号を知らないラクはカデンに聞いた。
「俺たちか?それは・・・・・」
カデンは腕を上げ前のウィンドウに表示されているある番号を指さした。
「俺たちは101番。頑張ろうぜ!」
「う、うん。がんばろう。」
まさか当たるなんて思ってなかった・・・・・
『それでは当選した5組の諸君、専用のフィールドに招待しよう!』
それと同時に、目の前にウィンドウが表示され、そこには行き先が書かれていた。
【クエスト情報】
抽選クエストを受諾しました。
これより専用フィールド『闘技場』に転移します。
こうしてラクとカデン、それと残りの4組のプレイヤーは光の粒子に包まれ、その場から姿を消した。
その後、
『あ、そうそう、惜しくも外れてしまった諸君にはお詫びにこれをプレゼントしよう。ではまたいつか会おう!』
そういって高木Pは消え、代わりに外れた全プレイヤーに【高効薬草×10】がプレゼントされた。
それから数分間、その広場は転移柱のあるのんびりとした広場から、高木Pへのいろいろな声が聞こえる広場に変貌したそうだ。
まぁなんとなく予想していたと思いますが・・・ラクたちも無事当選しましたね。
次回、闘技場で戦うMOBとは!?
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それではまた次回!!




