episode1
ダリアと別れた後、ラクはどうしたかというと・・・・・・・
湖で30分かけて【ビーズフィッシュ】を一匹釣り、中効薬草とイエローフルーツを必要数拾い、第二の街を目指してゆっくりと歩いて行った。
別にアデンの家に急いでいく必要はないし、セロシアの依頼品は明日第二の街から転移して渡しに行けばいい。
特に急ぐ用事はないので、MOBを倒してアイテムを集めながら進んでいた。
そして、ついに第二の街に着いた。
「ここが第二の街かぁ・・・・・」
第二の街は、温暖な気候と海に面しているので、建物は青い屋根と白い壁のさわやかな雰囲気で、水棲MOBのドロップアイテムや海にあるアイテムを販売している店が多く、まるでリゾート地のようだった。
街の奥、海に面しているところまで石畳の道を歩いて行くと大きな砂浜があり、その横に港があった。
「せっかくだし、柱は後にしてこの街の観光でもしようかな。」
そういうとラクは海沿いに伸びている道を歩いていった。
街の中にあるにぎやかな商業区画にやってきたラクは、いろんな店を見て回った。
アクセサリー店、支援アイテムの販売店、鍛冶屋、料理を売っている屋台、などなど多種多様な店があった。
それで、今はある店の前に立っていた。
「・・・・・・足りない・・・・」
ラクは服店のショーケースに飾られている一枚の白いローブと、値段の書かれているウィンドウを見つめていた。
ローブの名前は【旅人のローブ(白)】値段は50000R。
そして今のラクの所持金は3200Rだ。
ちなみにRとはこの世界の通貨でローレルと読む。
「この服に似合いそうだけど全然足りない・・・・・・うう、貯めて次来る時まで残ってるかなぁ・・・・・」
果たして残り46800R貯まるまでこのローブは残っているだろうか・・・・・
「・・・・・・ないよね。きっと」
そういってラクはその場を去ろうとした。
が、
「お、ラクじゃん。ここにいるってことはあの森林を抜けてきたんだな。」
聞き覚えのある声にラクは声の聞こえた後ろを向いた。
するとそこには黒っぽい装備を着た茶髪の男、カデンが立っていた。
「あれ、カデン。どうしてここに?」
「ん?ああ、ちょっと明日この街でイベントがあるから待ちきれなくてな。」
「イベント?なんかあったっけ?」
それを聞いたカデンは「しまった。」っと小声で言ってごまかすように頬をかいた。
「あれ、なんだっけなー、忘れちゃったよ。」
「カデン?そんなに私に知られたくないイベントなの?」
「いやー、忘れちゃったなー」
どうにかごまかそうとするカデンは、あたりを見回して突破口を探しはじめた。
そしてあのラクが気になっていたローブが目に入った。
「あれ、これ・・・・・」
「どうしたの?ってああこれ?私も気になったんだけどお金が足りなくてね。あきらめた。」
それを聞いてカデンは「ふーん」というと、店にラクの手を引いて入っていった。
「え?ちょっと!いきなりなに!?」
店内に入って二人はふくよかな肉付きの店主のNPCのもとに歩いて行った。
「いらっしゃい。何をご所望だい?」
「あの店先に飾ってあるローブを一つ頼みたい。」
「あいよ。ちょっと待ってな。」
店主はそういうとローブを店の奥に取りに行った。
「ちょっと、私お金足りないわよ?」
「俺からの第二の街到達祝いだ。」
「でも、さすがにそこまで面倒をかけるわけには・・・・・」
「いいから。俺が、おれ自身がラクに似合いそうだなと思って買ったんだ。何が何でも受け取ってもらうぞ。」
カデンの粘り強さは知っている。
いくら言っても引かないことも。
ラクはしばらく考え、観念したのか、
「じゃあお言葉に甘えて・・・・・・ありがとう。」
と少し顔を赤くし、最後のほうは小さな声で言った。
「・・・お、おう。」
その時、雰囲気を壊すようにローブをもって店主が戻ってきた。
「お待たせ。サイズの調整をするからお嬢さんこっちに来てくれ。」
店主はラクを作業スペースの横に手招きした。
「あ、はい。」
その場所に行くと、身長、肩幅を測られ、ローブの長さ、肩幅を調節してくれた。
その調整はすぐに終わり、ローブをたたんでカデンに手渡した。
「会計は50000Rだ。」
「あいよ。」
「まいどあり、それはあんたから渡してやりな。」
どうやら店主は二人がカップルで、これは彼氏から彼女へのプレゼントだと勘違いしていた。
ラクはすこし顔を赤くして否定しようとしたが、カデンのほうが先に動いた。
「ありがとう。」
カデンは何の否定もしないでそのローブを受け取り、その場でラクに渡した。
「じゃあ改めて。ラク受け取ってくれ。」
「あ、ありがとう。早速着てみてもいい?」
「暑くないか?この街気温高いぞ?」
「それなら安心しな。そのローブは耐熱、耐寒仕様でどんな場所でも使うことができるぞ。」
「な!値段の割にかなり優秀な品じゃねーか。なんで50000Rで売ってるんだ?」
「見た目でここでは暑くて着れないと思ってみんな買わないんだよ。」
そういった店主は苦笑いした。
「そ、そうなんだ。なら説明にその仕様のこと書けばいいんじゃないの?」
「おお!それだ!兄さんありがとな!」
「ど、どういたしまして。」
「あの・・・・カデン・・・・」
「あ、ああ、着てみたらいいんじゃないか?」
そういって店主のほうを向いていたカデンはラクのほうを向いた。
「もう着てるんだけど・・・どうかな。」
すでにラクは羽織っており、服は隠れてしまったものの、白いローブがさわやかでかつ清らかな雰囲気を漂わせていた。
「いいんじゃないか?似合ってるぞ。」
「そ、そう・・・・よかった。それよりそろそろ行こ!」
というとラクは店主に軽く頭を下げ、カデンとともにその店を後にした。
なんかすごく調子狂う・・・・カデンといるせいかなぁ・・・・
「おい、ラク?どうした?」
「え?な、なんでもない。それより、これ、ありがとう。買ってくれて。」
「おう。じゃあ俺はもう行くよ。」
「待って。まだイベントのこと聞いてないけど?」
カデンはこれで話を終わらせて立ち去ろうとしたがそうはさせない。
イベントの内容を聞くまでラクはカデンを逃がすつもりはなかった。
ラクがカデンがいつもペースを乱すのをよく理解しているのに対し、カデンはラクの粘り強さをよく理解していた。
そのため、カデンは観念したのか、ラクに話すことにした。
「・・・わかった。教えるよ。・・・・・、それと少し移動しないか?立ち話もなんだし。」
「そうね。それならどこか近くに喫茶店にでも入る?」
「それならおすすめの場所があるんだ。ついてきてくれ。」
「あ、ちょっと!置いてかないで。」
慌ててラクは歩いて行くカデンに追い付くと、横に並んで商業区画の中を歩いて行った。
無事に第二話が終了し、三章の準備が整うまで、間章をこれから投稿していきます。
それとお知らせです。
誠に勝手ではありますが、今回の間章の投稿時間を朝6時から深夜0時に試験的に変更いたします。
あくまで試験的ではありますので、様子を見つつ、どうするか決めたいと思います。
それではよろしくお願いいたします。
ではまた次回!




