episode14
導火線を伝って火が玉に近づいている中、ラクは自身の先にある道をじっと見ていた。
この場所から見えるのは等間隔に設置された松明とまっすぐと伸びる道だけ。
この先がどうなっているのかは全く分からない。
もしかしたらアスレチックになっているかもしれないし、もしかしたら迷路になっているかもしれない。
正直、ラクは今回で勝てるとはみじんも思っていない。
内部構造が一切わからず、そんなラクに対して二人は完全に把握している可能性があるからだ。
しかしそんな圧倒的不利な状況でも、ラクは全力で取り組もうとしている。
【身体強化:スピード】をいつでも発動できるように準備し、クラウチングスタートの態勢でまっすぐと前を見ている。
装備を解除して極力動きやすく、かつ身軽にしている。
ジリジリと導火線を焼いて行く音が聞こえる中、集中するラクにクリュが話しかけた。
「絶対に負けないからね! 」
いつ玉が破裂してもおかしくはないので表情を見ることはできないが、その声は真剣な面を持っていたが、どこか楽しそうだった。
「何度負けても私は絶対あなたたちに勝つ!覚悟しててね」
「フフ。お手柔らかに」
ハリュが笑みを浮かべながらそういったのであろうその時、突然じりじりという音が止んだ。
一時の静寂。
その数秒後、わずかな選考とともに、その空間に破裂音が響き渡った。
パアアァァァァァァン!!!
鼓膜を破るのではないかという音と、それが反響して若干耳が痛いことに驚きながらも、ラクは二人に後れを取ることなく【身体強化:スピード】を発動。
まっすぐと目の前から伸びる通路へ足を踏み入れた。
タンタンタンタンという靴底が洞窟の地面をたたく音が響き渡っている。
スタートしてから3分ほど走っているが、いまだにまっすぐとした通路が続いている。
特に分岐経路というものもないし、トラップやアスレチックといった類のものも確認できない。
本当に何もない一直線の通路だ。
しかし言い方を変えると、全く代わり映えのしない退屈な道。
これなら……
ラクは様子見のためにキープするのをやめ、一気に加速。
今出せる最速でその道を進んでいった。
だが全くゴールが見えない。
いつまでも続く全く同じ光景に、ラクは気味悪くなりながらも、速度を落とすことなく進んでいる。
耳元では自身の呼吸、風の音、そして足音が聞こえている。
走っているせいで火照った体を、洞窟内で冷やされた空気が包み込み、風となって吹き付け、ラクの体が冷やされている。
ずっと走っているせいで呼吸は乱れ始め、手足からは段々と感覚がなくなりつつあった。
口の中には血と唾液が混じったような広がっている。
苦しい。
でもこれがいい!これをずっと味わいたかった!
苦しさよりも楽しさが勝り、ニィっと歯を見せるように笑い、ラクは夢中になってその道を走り続けた。
それからさらに数分が経っただろうか。
ここにきてようやく景色に変化が起こり始めた。
等間隔に置かれていた松明は大理石でできた150㎝ほどの純白の燭台に代わり、ともる炎も赤から青へと変化していた。
身体で受けていたひんやりとした風はだんだん生暖かくなっていき、わずかに森林のなかにいるような香りが洞窟内に蔓延しているようだ。
先を見るとわずかに明かりのようなものが見え、ラクはさらにスピードを上げていった。
この先には何があるんだろうう。
二人はもう着いたのかな。
報酬ってなんなんだろう。
あれ?私何しに来たんだっけ?
ラクは脳内で次々に浮かぶ疑問質問をかき消しながら、確実に一歩一歩ゴールであろう光の先へと進んでいった。
そしてついに出口と思われる光が数十メートル先、数メートル先と近づいて行き、ラクはその場所、【俊走回廊】の1つの道を通り抜けた。
さて、果たして結果はいかに!!?
画面上部よりブックマーク、、感想、レビュー。
最新話下部より評価をお願いします!




