1・プロローグ?、そんなの飾りです
ある日俺は不慮の事故で死んだ。と思いきや、流行りの真っ白空間で神(ジジイ)と対面する事となった。
ぶっちゃけ展開早すぎかとは思うが、みんなちゃんと付いて来れてるだろうか?。
よし、それじゃあもっと飛ばすぜ!w。
そして俺は、神からモンスターテイムの能力を貰った。
どうやら良くある神のミスが発生したらしく(使えねえ神だぜ)、その落ち度に付け込んで一番チート感MAXなスキルを要求したらこれだったのだ。
正直言って、モンスターテイムって今いち良いのか悪いのか分からなかったが、ただ選べる中で一番レアって言うんだからそうなんだろう。ユニークスキルだって言ってたし。
よーし、ユニークスキルゲットぉ~!。死んでさっそくユニークスキルを手に入れるとは幸先がいい!。
って…。
あ、いや、良く考えたらそうでもないか。本当に運のいい奴なら突然死んだりはしねえわなw。
とか思ってたら、神ジジイは早くも嫌そうな顔で俺を異世界に送ろうとしやがったのだった。
「早く転生を…」
そう急かすなよ…、ってちょっと待て!。
何だって?、転生?!。転移じゃなくて転生なのか?。
あ~、「転生」はちょっと面倒いな。
つーか今から転生なんてそんなの成長するまで待ってられねえよ、みんなもそう思うだろ?。
それにだいたい0〜6才くらいまでのエピソードって普通は速攻ですっ飛ばされるもんじゃん?。
なので特例として、17、8才くらいまで若返っての特殊転生を要求した。
そしたら通ったw。
でかしたぜ俺!。よし、来世ではなるべく頭皮を大切にしよっと。
ちなみに俺の元の年齢は秘密だ。人生に軽く絶望するお年頃、とだけ付け加えておこう…。
え〜、さて。リアルの悲哀が少し滲み出た所で、ここからはファンタジー色全開で行こう。
すると前置きなしで速攻転移させられた俺は、あっちゅー間に異世界へ到着。
おっと、何もない草原パターンか?。
俺はとりあえずテンプレ的にステータスを唱えてみた。
黒潮 則夫(クロシオ ノリオ)17才
クラス、モンスターテイマー
レベル1
HP13
MP25
攻撃力、微妙
防御力、紙
体力、最低
知力、今一
器用、不器用
速さ、人並み
運、13
称号、異世界バカ
スキル、鑑定 異世界言語 モンスターテイムex
くっそ、何だこの雑なステータス。絶対にものの1、2分で完成させただろ。しかも何気に煽って来てやがるし…。
つーかこんなのデータとしての価値無いじゃんか。ケッ、こんなの二度と使うかよバカヤロウ。
俺は吐き捨てるようにステータスを消し、怒りに任せて草原を歩き出した。
ま、ステータスが異世界の全てじゃない。ステータスはあくまで異世界の一部、むしろこれから起こるイベントに期待しようジャマイカ!。
するとモンスターが現れた。よしキタ〜!。
しかし、なんとそのモンスターはグリフォンでした。(※グリフォンはたぶん上半身鷲で下半身ライオンのでっかいモンスターです)
―えっ?、ちょ、ちょっと待って!?。普通はゴブリンとかスライムとかじゃねーのか?!。
『はあ?、馬鹿を言え。ゲームじゃあるまいしそんな都合良く弱い順から遭遇する訳ないじゃろーが。テメエなんぞは転移直後に死ねばいいのじゃ、グファハハハハ!』by神(※あくまでも想像です)。
クッ、なんかスンゲェ嫌な気配を感じるが、そんな事言ってる場合じゃない。
俺は空から襲い掛かって来たグリフォンの攻撃を横っ飛びで回避した。グリフォン超デケー!。
ゴロゴロ、ドテッ!、と言うブサイクな音を立てて転がる俺。目が回って前後不覚に陥る。
「ハッ!?」
俺は何故か気になって、そっとステータスを開けてみた。(さっそく見るんかい!)
HP12
ぐわーーー!、HP1減ってる、マジかっ?!。
つー事は俺あと12回転がったら死ぬの?、そんなバカな!。
だが悠長に12回も転がってる暇はない。グリフォンなんかに襲われたらほぼ一撃で死ぬって!。
すると空振って地面に降り立ったグリフォンが、再度ジャンプして襲い掛かって来た。
「ギャアアアアッ、ちょっと待ってくれっ、タンマタンマァァァ!!!」
俺はなりふり構わず大声で叫びまくった。身振り手振りも交えて必死にちょっと待ったコールを連呼。
だって、これどうやったって勝てる訳ないんだもん!。
すると流石のグリフォンもそのただならぬ雰囲気に何か感じ取ったのだろうか、不思議と俺のすぐ目の前で動きを止めたのだった。
『なんかタチの悪い病気でも発症したと思われたんじゃねーの?。お前の顔マジでマズそうじゃし(神)』
うっ、ぐぐ…。
ちくしょー、何とでも言いやがれ。て言うか本当にこれ想像の産物か?、それにしてはかなりリアリティ溢れる悪口だよな?!。
何にせよ、理由は分からないがとりあえずグリフォンは動きを止めてくれた。ただ俺の目の前でスンゲー威嚇してますけどね?。
「お、おちつけ慌てんな、いったいなんで俺を襲おうとする?。てゆうか安心しろ、お前に敵は居ない、お前に敵は居ないんだ!」
猛るグリフォンをさながらナウシカの様になだめる俺。すると彼奴は、徐々に攻撃色を薄めてブルーになっていった。(←なんかパクりまくりだな)
ただ気のせいだろうか?、グリフォンが可哀想なモノを見る目付きなのはおそらく俺の恐怖心が醸し出す幻想、そうに違いない…。
「うんうん、とりあえず落ち着こうぜ。そんな事よりもしかしてお前腹減ってるのか?、そうだとしたら俺はムチャクチャマズいぞ、だって俺の主食の約8割はコンビニで出来ているからな」
マズさにはかなり自信があるのです!(←何を言ってるのか、自分でも良くわかりません)。
だが俺がそう言うと、グリフォンは顔を近付けてクンクン匂いを嗅いで来た。
―およ?。
そして一つ可愛いくしゃみをすると、あっと言う間に羽ばたいて去って行ったのだった。
えっ、どっか行っちゃうんだ?。
あれ、テイムは?。あー、もしかしてレベル差とかあるのか?。(鑑定し忘れた…)
う〜ん、ゲームとかだったらテイムしますか?的なコマンドとか出ると思うんだが、俺のスキルってどうなってんだろ?。
つか、もしかしてこのスキル、リアルな対話方式だったりしないよな?。もしもそうだったらなんか嫌だな、メンドいし。違うよね?
―どうなってんだろ、ねえ神様?。
……………………。
―ま、まさか?。
『この番号は現在使われておりません、もう一度お確かめの上……、以下略』
くっそ、おいっ!。さっきまで好き勝手にペラペラ口出しして来やがったくせに、ふざけんなよっ!。←あくまでも想像です。
―はぁぁ、マ、マジかよ…。
神にも見放され、しばらく呆然としてた俺はとりあえず歩き出す事にした。だってそれしか他に選択肢は無かったし。
ただ幸いな事に太陽はまだ真上に近い。日が暮れるにはまだまだ時間はあった、時間的な余裕はまだ残されている。
一見した所、周辺は一面丈の短い草原一色。そこはかとなくファンタジー感漂う不思議な場所だが、だからと言って何もないこんな所で一人寂しく夜を迎える気は全く無かった。
だって、ファンタジーであるが故に何が起きてもおかしくないからだ。
―言っとくけど、そんなに楽天的な主人公じゃないからな俺は。←ほんとか?
恐る恐るではあるものの、俺は仕方なく歩き出す事にした。出来るなら早く人のいる町や村を見つけたい。
とは言え、俺のスキルはモンスターテイマーだ。気持ち的にはモンスターとは遭遇したくないが、スキル的には出会わずにはいられないだろう。
いや、むしろ出会わなければ話が始まらないんだよなこれが。
―うう…、なんて嫌なスキル取っちまったんだよ俺ぇ。こんな無防備な状態でモンスターと遭遇しなきゃならないなんて…。
一応言っとくと、ちょっと歩いただけだが相変わらず辺り一面は本当にただの草原、他には何も無い。そんな道なき道をとりあえず俺はただひたすらがむしゃらに突き進んだ。
すると、当然の事ながらだんだんと疲れが出て来る。
そしてそれまであった心の焦りはあっさり擦り切れて、危険に対する警戒感とかもどうでも良くなる。
そしてついに俺は…。
―えーかげん歩くの嫌になった、あぁ、もうムリ…。
俺は疲れ果て、突然その場に倒れ込んだ。
『おい?!、まだ30分しか歩いとらんがの…』(※想像上の神のツッコミ)
俺は大の字になって仰向けに転がった。
「あーーしんどっ!」
ついでになんか眠たくなっちゃったので、このまま少しお昼寝するわ。←ええ根性しとるなこいつ…。
―あー、そんな訳で少し寝たら気分はかなりマシになった。うん、人間無理はいかんよね。
『つーか、30分歩いて1時間寝るとはコイツかなりのクズじゃ、放っておいたら確実にエタるぞ…』が
と、その時。ふと俺は、空の彼方に小さな点を発見した。
そしてそれは徐々に大きくなってこちらに向かって来る?。
―な、なんだろう、モンスターか…?。