第5話の1
「ユカ、ユカ起きて」
柔らかな風が頬をなでる。優しげな女性の声が眠っている私を呼んでいる。
「うん…あともう少し寝かせて」
それにユカじゃなくって今はステラなんだってば。
「ユカ遊んでよ」
違う声が聞こえる。
今度は子供の声。
「ユカ起きぬのなら、どうなるかわからないぞ」
今度は渋い男性の声。
「そうそう、起きないなら襲っちゃうかもね」
チャラい言い方だけど、なんだか聞き捨てならないセリフが聞こえた。これも男性だ。
4人の声には聞き覚えがある。目を開けようと思うけど、まだまだ眠くてたまらない。幼児なんだからね睡眠時間は大切だよ。
どうにかこうにか重い瞼を開こうとこすりこすり目を開けると、そこには見知った4人が私をとり囲むように覗きこんでた。
4人と表現したけれど厳密に言えば彼らは人ではない。
精霊である。私が召喚された時に契約した風、火、土、水の4大精霊王である。
「ピーちゃんとクロちゃんは?」
不在のあと2人についてたずねる。
すると唯一の女性のフウちゃんが返事してくれた。
「ピーとクロはトリドート様の所へ言ってますわ」
「久しぶりだね皆。元気だった?」
4人を見渡しながら言う。
「ところでツッチーにスーさんなんか聞き捨てならなあこと言ってたよね?」
少し怒りを滲ませた低めね声で言ってみるが、いかんせん3歳児では迫力がない。
「ユカ、かなりかわゆくなったなぁ」
スーさんにグリグリと頭を撫でられて只でさえ寝起きで跳ねてる髪をぐしゃぐしゃにされてしまう。
「もう止めてよ。それに今はステラ。ステラ=エスペランサだよ」
いつの間にかカー君が隣に潜り込んでた。カー君は外見上は一番今の私の年に近いかもしれない。
なんとなく名前でどの精霊王なのかわかると思う。もちろんつけたのは私。作家してたときも登場人物の名前つけるのに苦労してたもん。凄く苦手。まぁノンフィクションだったから本名を少し捩ったりしてた。
改めて、風の精霊王フウちゃんは緑の長い髪の20代半ばくらいの綺麗なオネイサン。
火の精霊王カー君は赤よりのオレンジ色の短髪の10歳くらいの腕白そうな男の子。
土の精霊王ツッチーは茶色の肩までかかるくらいの髪をした。30歳くらいの大人の男性って感じ。
水の精霊王のスーさんはブルーの長髪の一見クールな感じなんだけど、さっき話した通りチャラい残念な20代前半。