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次代女神様の諸国漫遊記  作者: ラズベリル
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プロローグ

「久しぶりであるな、ユカ」



耳をくすぐる素敵なバリトン。心地良い、でも何度も聞いたことのある懐かしい声。その声に導かれるように私は目を開いた。


ゆっくり目を開けると真っ白な何もない空間。しばらく何もない白い空間を見つめていたが、声がした方へ向く。そこには破壊力抜群の凄いイケメンがいた。

緩やかなローブのような衣装を纏い、モデルが逃げ出すような高身長で贅肉のかけらもついてない身体。彼自らが金色の光を纏い輝いていた。


「お久しぶりです。トイドール様。」


私は数年ぶりになるその人に無表情で挨拶する。


「いつものようには呼んでくれぬのか?」



トイドール様は少し悲しそうな顔で聞いてきた。そんなに悲しそうな顔をしても、私は怒っているんですからね。今度会ったら文句を言わなきゃいけないって思ってたんだから。段々と色々思い出し、眉間にシワが寄っていき、目が半眼になっていくと、それに気づいたのかトイドール様は、ビクッと端から見ていてもわかるくらいに怯えだした。



「最後の召還が70歳すぎというのは、百歩譲って渋々ですが譲歩しましょう。でもそれが勇者ってなんですか?一番体力使うのに70すぎの老人に何させるんですか。」

私は一気にまくし立てた。


「だが…ユカは勇者、賢者、巫女など何度もこなしているから、神と言ってもよい力を持っている。余裕であると思ってだな…。」


トイドール様はボソボソとそう言い訳した。


まぁその辺の老人と一緒にしたら、他の人には気の毒ではあるけどね。トイドール様とは長い付き合いだし、そろそろ許してあげようかな?あんまりいじめるとすねちゃってなかなか浮上してくれないしね。ちょっと面倒くさい神様。


「もういいですよトイドール様。最後の召還もスムーズに終わらせられた方だったし…」


そう笑顔で言うと、トイドール様はパーッと光り輝く笑顔になった(文字通り笑顔になった瞬間一際輝いた。まぶしっ。)最高神の威厳ありませんよトイドール様。そうなのである。このイケメンは、この世界ガーネットラドの最高神トイドール様なのである。



とりあえず現状確認。私の名前は宮川由香。74歳。ここに居るということは、車にひかれそうになってた子供を助けて、ぶつかった記憶はあるから、あの時死んだんだな。

こちらでは規格外でも地球ではかなり力も落ちるし、最後の召還から帰ってきて間もなくだったから、ついこっちのつもりでやっちゃった。職業…勇者、賢者、巫女、聖女、魔王、神の親とかもあったな…。懐かしい。


もうここまでくれば薄々わかると思うけど、所謂異世界召還物である。複数回も喚ばれてるから、いろんなことを経験した。でそれをネタにネットに投稿したら、書籍化となりそこそこ売れたから、仕事にした。またいつ召還されるかわからないから会社勤めは難しかったし、学生の頃もなんとか高校卒業できたような状態だったからね。召還後半になれば時間軸をいじれるようになったけど、それまでは行方不明…戻ったから家出で片付けられたけど、回数が増えると家族には話して理解してもらったけど世間体もあってごまかしずらくなってくるからね。


死んだ後だけど、走馬灯のように思い出してたら、トイドール様の声が現実に引き戻した。



「それでは約束通り、ガーネットラドの新しい女神として転生してもらう。ユカも召還された国がユカが帰ってからどうなったか知りたいだろ?こちらの世界で普通の子供として過ごし女神として学んでもらおうと思う。良いか?」



私は頷いて

「そうですね。かなり気にはなっています。最後の召還の時調べた限りでは、かなり改善されてきていたようですが、まだまだ問題を抱えた国は多いと思います。出来ればこの世界を次代女神として見て回りたいと思っています。」


色々気がかりなまま帰っちゃったところもあるしな…。


あっ大事なこと言っとかなきゃ。


「前世の記憶は物心つくまで思い出さないようにしててくださいね。」


授乳とかオムツとか辛いって転生ものにあるし、そこは絶対。


「それでは5歳で記憶が戻るということにしよう。」


満面の笑顔でトイドール様が言った。なんかその前に目がキラキラと輝いたような…?


「それでは行くぞ」


私は目をつぶり皆の顔を思い出しながら「よろしくお願いします」と言った。



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