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七鍵~姫と七つの鍵~  作者: 夕闇 夜桜
第二章:一学年二学期・生徒会との接触
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第六十九話:新年の準備


 クリスマスが終わり、早二日。

 イルミネーションで照らされていた街は、今やスーパーやホームセンターなどを主として、すでに新年を迎えるための準備に大忙しである。

 そして、そんな私も今年度ラストのバイトが終われば、そのうちの一人になるわけで。


「えーっと、しめ縄に鏡餅……」


 特に我が家の場合、両親・姉不在ということで、実質的に準備などは全て私一人でやらなくてはいけない。

 だがもちろん、そんなの無理なわけで。


「鍵奈。しめ縄、どれにするんだ? 三社? 五社? 大中小と数は?」

「一度に聞くな。あーでも、どれにしよう……」


 家も近い京が手伝いに来てくれてます。

 本人曰く、京のお母さんに、


『家のことを手伝わないなら、鍵奈ちゃんの方を手伝いに行きなさい。男手が必要なこともあるんだから』


 と、手伝ってくるように言われたらしいのだが。

 私の家の忙しさなど、実家が神社である朝日たちとは比べものにはならないだろう。


「つか、正月用品は良いが、掃除系はどうなんだよ」

「何言ってんの。私は他にも食料品とかの買い出しもしないといけないのに、掃除する暇あると思う? それに、纏めてしなくてもいいように、ちゃんとこまめにやってますから大丈夫です」


 というか、今は掃除する時間を買い物をする時間に回している状態ではあるのだが。


「まあ、お前のことだから、そんなに心配してはいないんだけどな」

「そりゃそうよね。京が心配するのは朝日ぐらいよねー」

「僻むなよ。つか、俺の胃が痛くなる大半の原因は、お前だからな?」


 なるほど。私って、京のストレスだったのか。

 いや、実際は私の行動が、なのだろうが。


「あれ、桜庭さんに南條君?」

「え? あ……」


 呼ばれた気がして、周囲に目を向けてみれば、知り合いがいました。


「二人は一緒に買い物? 仲良いんだね」

「そういう仁科さんも、二人と一緒なんだね」


 そう、声を掛けてきたのは仁科さんである。

 そして、その後ろには、生徒会役員である獅子堂君と双葉瀬先輩。


「えっと、二人とは途中で会ったの」

「仁科の言う通りだから、邪推するなよ?」


 そう言われてもなぁ。普段が普段だし、京も疑いの眼差しだし。


「そういう二人も一緒なんて、誤解されそうだよね」

「ご心配なく。知り合いに会っても、勘違いはされませんから」


 だって、良いとこの令息令嬢も通う千錠の生徒が、普通こんな場所に来るとは思わないだろう。

 仮に来ていたとしても、私と京の関係を知ってるのはクラスメイトとその友人、私たちの顔見知りだけである。

 そのうち、京が朝日を好きだということを知ってるのは、もっと減って、ごく(わず)か。

 だから、私たちが『幼馴染』という関係を知っているクラスメイトたちがからかいはしても、勘違いする確率は低いと思うのだ。

 まぁ、何か海外で過ごす的なこと言ってた奴ら(庶民の敵とも言う)も居たし、新学期初日から変な噂が広まるなんてことは無いだろうが、気にしておいてもいいはずだ。


「では、私たちはまだ買う物があるんで、そろそろ失礼します」

「あ、うん」


 そのまま、仁科さんたちと別れる。


「ああ、そうだ。京んとこに御神酒(おみき)、頼んでいい? 年齢確認があるから、私だけだと買えないんだよね」


 誤魔化すにしても、そのための細工もしてないし、余裕もない。


「うちの余りで良いなら、分けてやるが?」

「……いや、それマズいでしょ」


 (ばち)が当たりそうで怖いんですけど。


「ちゃんと、お金払うんで、買ってもらってください」

「分かったよ。けど、母さんのことだから、お前から受け取ろうとはしないぞ?」

「これからの出費と、休みの度のご協力を思えば、渡せるはず!」

「いや、それでもなぁ……」


 これでも渋るか。それならーー


「だったら、請求書はうちの両親に出しといて、って伝えてよ。休みの度に迷惑掛けてるんだから、こういうときの請求書ぐらい受け取ってもらわないと」

「千いくらの請求書をか?」

「何かあったら連絡してこい、って言ってたし」


 「多分それ、そういう意味じゃない」と言いたいのは分かる。私も分かってて言ったし。

 けど、基本的に問題ないからなぁ。鍵依姉(と時折、保険医)と話せば、何とかなることの方が多いし。


「ほらほら、行くよ。時間、無いんだから」

「はいはい」


 そうは言いながらも、買い出しを終え、新年を迎えるための準備は、次の日にも続くことになった。




今回で第二章は終了です


次回から第三章を開始します



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