第二話:遭遇
さて、昼休みです。
昼食の時間です。
ついさっきまでストーカー化しそうな先輩から朝日を守ろうとしていたのだが、腹が減っては戦はできぬ、ということで昼食です(二回目)。
現在、私は学食兼購買に来ている。
実は、入学してから数日後ぐらいに学食兼購買に一度来ているのだが、その時と変わらず、購買戦争は繰り広げられていた。
学食では好きなメニューを選べ、食べることができる。弁当を持ってきた人は、教室か学食などや飲食禁止されてない場所で食べることができる。
ちなみに、私はいつもなら弁当派なのだが、忘れたので購買に買いに来たというわけでーー
「行きたくねぇ……」
はっきり言って、あの中に突っ込んでいけるのは、勇者だと思う。
だが、私もあの中へ行かなければ、午後の授業を昼食抜きで過ごすことになる。
それだけは阻止しないといけない。
「よし!」
そして、覚悟を決めた私は購買戦争の中へと突入した。
「おぉ……」
何とか、購買戦争から脱出し、パンと飲み物を確保した。
「はぁ、疲れた」
そう言いながら軽く溜め息を吐き、学食兼購買を出て、早く教室に戻ろうと、再び歩き出す。
それにしてもーー
「最初は何から調べようか」
先輩の可能性、茶髪、突然のナイフ。
朝日に聞いた情報から調べる順番を考える。
先に言うのなら、ナイフについてはある程度予想できているから後回しでもいい。
「うーん……」
その時だった。
目の前から走ってきた男子生徒とぶつかったのは。
「あ、ごめん。大丈夫?」
「はい」
雰囲気から察するに、男子生徒は上級生なのだろう。
それに、肩同士がぶつかっただけなので、大怪我をしたわけでもないし、持っていたパンなどを落としもしなかった。
「こちらこそ、すみませんでした。少し考え事をしていたので気づかなくて……」
「いや、それでも、こっちのミスだから」
こちらも謝れば、少し申し訳なさそうにしながら、それじゃあ、と男子生徒は学食兼購買に入っていった。
「あの様子じゃ、もう無いかもなぁ」
学食ならまだしも、飲食系に関しては購買側はすでに無いだろう。
そして、時計に目を向けて、残り時間を確認すると、慌てて教室に向かうのだがーー……
「まさか、ね」
振り返り、そう呟くも、止まった足を再び動かし、私は歩き出した。
先程、ぶつかった男子生徒が茶髪だった、という事実を記憶の片隅に残しながらーー