第二十話:夏休みの予定
運命の日こと期末試験の試験当日とされていた五日間が終わった。
各学年の上位三十位までは張り出されるが、それはあくまで合計であり、各教科での点数や順位は纏められ、プリントとして本人に手渡される。
ちなみに、私たちは安定の七十番台(三年まで含む、一年生だけだと三十番台)。何だか微妙である。
「ねえ、鍵奈たちは夏休みどうするの?」
試験終了早々に、真衣が聞いてくる。
終業式が終われば、待ちに待った夏休みである。
「うーん……無いわけじゃないんだけど……」
私の場合、両親の実家に顔を出して(距離の影響で、夏休みか冬休みぐらいにしか顔を出せない)、海外の支部を転々としているだろう両親の帰国に、持ち帰ってくるのと送ってくるだろう土産の山の対処するための場所の確保、そして、夏休みの宿題ぐらいだろう。
「朝日と京には、悪いけど来てもらわないといけないし……」
「え、何。何かあるの?」
呟きが聞こえたのか、真衣が目を輝かせる。
だが無視だ。
「お兄ちゃん、連れてった方が……良いよねぇ」
「こっちも兄貴を……呼ぶことになるよな」
二人揃って肩を落とす朝日と京。
夜空さんや鍵理さんを呼ばなきゃ、あれはどうしようもできないからね。
「はっはっは、毎年のことだから諦めろ」
と言葉だけが笑っているだけで、目も口も笑えねぇよ。
「そう思ってんなら自重させろよ。両親だろ」
「言っとくけど、両親の実家に送っても、我が家が多く残るんだからしょうがないよ。それに、言っても聞かないから意味がない」
本当、何でも買ったり送ってくるのはやめてほしい。
これでも私は他家(といっても、主に親戚及びその会社関係者)に迷惑が掛からないように、量は自分たちの分よりも減らしている。
わけが分からない人形など、送られてきても使用方法が分からずに困るし、「全て食べ物で」と言えば、菓子類とか缶詰めとか送られてきたが、それでも、不安要素となった缶詰め以外、菓子類は全て朝日や京たち、実家や他家(主に親戚)に回した。
その後、我が家で缶詰め料理が何日か続いたのは言うまでもない。
「うん……きーちゃんは、私たちよりも地獄だもんね」
何だろう。同情が嬉しく感じる。
「鍵奈。今年はまだ来てないだろ」
「京。何であんたは上げられたのを落としに掛かるかな」
知るか、と返されたけど、京のは正論だから油断はできない。
「でも、今年は少し楽になるかも」
「?」
どういう意味、と朝日に目を向ければ、朝日は真衣、霞、木戸君の順に目を向けていく。
「……」
なるほど、犠牲者を増やせと。
朝日、黒いなぁ。今のは私よりも黒いよ。
「なぁ、木戸。お前夏休みの予定ってーー」
「真衣。霞も誘って、うちに遊びに来ない?」
察したらしい京が木戸君に声を掛けに行き、私は真衣に声を掛ける。
「え、いいの?」
「大丈夫大丈夫」
人手は合った方が良い、という私の裏を疑わない真衣に罪悪感はあるが、あの山が今年も大量にあるとすれば笑えない。
「どうせ宿題もやるんだし」
それを聞いた真衣が固まったのを、見なかったことにしてあげた。
その後、私は予定を立て、何とか真衣たちとの予定も組み込むことが出来たけど……
「何、このハードスケジュール」
本当、何も笑えないほどのハードスケジュールである。
とりあえず、私は夏休み前半に宿題を半分ぐらい終わらせておいた方がいいらしい。
そして、一週間後の終業式を終えた私たちは、長くて短い夏休みに突入したのである。
今回で第一章は終了です
次回からは第二章を開始します




