表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七鍵~姫と七つの鍵~  作者: 夕闇 夜桜
第一章:一学年一学期・桜庭鍵奈とゆかいな仲間たち
18/116

第十七話:夏期球技大会 in 林間・臨海学校


 さて、荷物を置いた後は、全員体操着に着替えて、体育館のような場所に集合である。

 球技大会というぐらいだから、気になるその種目だが、それも出発前に決めてあり、女子はバレーボールとテニスの二種類、男子はバスケットボールとサッカーの二種類で計四種類。

 私と朝日はバレーだけど、真衣と霞はテニスを選んでおり、今はコートの方にいるはずだ。


「そろそろ真衣ちゃんたちの方に行く?」

「そうだね」


 トーナメント式なバレーだけど、私たちの試合はまだだし、時間的に真衣たちの試合が始まりそうなので、応援に行くことにした。


「あ、ちょうど始まるみたい」

「先攻は相手の子か」


 コートに着けば、相手の子がサーブを打ち、試合が始まった。

 さて、試合は順調に進んでいるのだが、そんな中で思うのが、二年生は修学旅行前なのに体力使っていいのか、という疑問だが、どうやら問題ないらしく、隣のコートで二年生らしき先輩方が楽しんでいた。

 あと、途中途中で聞こえてくる黄色い歓声は聞こえない振りをして、真衣が勝つように応援しようか。


   ☆★☆   


 真衣たちの試合が終わりそうになるも、私たちの試合が始まる時間が近いので、場所を移る。


「あーあ、最後まで見たかったなぁ」

「仕方ないよ。私たちがいなかったら、試合できないし」


 とは言うものの、「分かってる。分かってるけど……」と、やはり朝日はご不満らしい。


「それなら、互いの勝利報告のために、頑張ろうよ」

「そうだね」


 さあ、今度は私たちの番だ。






「ねぇ、一回確認するけど、一セット何点先取で勝利だっけ?」


 互いに試合に集中しすぎたせいで、どう見ても何点かオーバーしている点数表。

 おかげで地味に注目を集めていた。

 くそっ、デュースが適用されてるせいで、また二点差を付けなくてはいけなくなったし……。


「と、とにもかくにも、あと一点だ」


 頷くチームメイトたち。


「次のサーブ、誰? ……って、私か」


 皆さん、その「なん、だと……」と言いたげな顔は何でしょう。

 普通にローテーションから行けば、次にサーブを打つのは私だって、見てれば分かるよね?


「げっ、サーブ打つの桜庭か」

「うわぁ……」


 おい、そこの男子生徒(クラスメイト)、聞こえてるぞ。

 というか、私の打つボールに、どんなイメージを持ってるんだ。


「きーちゃん、ノー剛速球ね」


 朝日がそう言ってくるけど、もちろん分かってますよ。

 軽く息を吐き、一度ボールをバウンドさせて、サーブを打てば、ボールはネットを越えて、相手チームへと向かっていく。


 そこからラリーは何度続いたのだろう。


「負けちゃったね」

「でも、あれは仕方ないから、誰も責められない」


 何とも微妙な位置にボールが落ち掛け、結局誰も拾えず、相手チームに加点という判定が下った。


「まさか、あの後負けるなんて思わないよね。普通」

「で、でも二点差だから」


 朝日が必死にフォローしたり、慰めたりしてくれたので、何とか立ち直ったけど、やはり負けるっていうのは悔しい。

 なお、相手チームこと三年生の先輩方は、この後決勝戦に出るのだが、この時の私たちまだ知らない。


   ☆★☆   


 さて、昼食製作第二ラウンドである。

 しかも献立は、みんな大好きカレーライスとバーベキューである。


「げっ、飯が微妙に減った」

「マジか」

「何やってんだよー」


 何てこったい。昼食がカレーライスな上に、ライスの量が微妙に足りないのか。


「カレーはー?」

「あと少し煮込めば完成ー」


 しかも、カレーライスのカレーは完成間近。


「……何これ」

「きーちゃん、現実逃避してないでヘルプぅぅ!!」


 引っくり返しても引っくり返しても、食べる奴らが多すぎて、追いつかないらしい。


「ん、りょーかい」


 と思っていたら、京と御剣先輩もいた。

 いる理由を聞けば、大変そうな所を手伝えという、担任からのお達しが出て、そこで見て回っていれば、朝日と京がバーベキュー相手に四苦八苦しているのを見つけた、ということらしい。


「何というか、ご苦労様です」


 とりあえず、労っておく。


「あと、ご飯の一部が駄目になったらしいから」

「はぁっ!?」


 ご飯の件を伝えれば、そう返される。

 うん、その反応が普通だよね。


「だから、うちのクラスのご飯は微妙に少なめ。あ、真衣と霞、木戸君たちは、少なくなったご飯の穴埋めのために、カレー側を手伝ってるから」

「木下たちはともかく、何それ、理不尽じゃね?」


 京の気持ちは分からないでもないが、こればかりは仕方ない。


「その代わり、私がこっちを手伝うから、機嫌直す」


 それを聞いた京が「俺は子供じゃねーよ」と言ってきたので、「はいはい、分かってますよー」と適当に返せば、疑いの眼差しを向けられた。


「それじゃ、きーちゃんも来たことだし、焼けるだけ焼いちゃいますか」


 朝日がトングをカチリ、と鳴らしてそう告げた。


 カレーの匂いと肉の焼ける匂いが、その場を漂う。

 私たちの林間及び臨海学校はまだ終わらない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ