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七鍵~姫と七つの鍵~  作者: 夕闇 夜桜
第一章:一学年一学期・桜庭鍵奈とゆかいな仲間たち
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第十一話:海か山か


「桜庭鍵奈、復活しましたよ~ってね」


 そう言いながら席に着けば、


「桜庭さん、大丈夫!?」

「入院したって聞いたけど、もういいの?」


 教室へすでに来ていたクラスメイトたちに囲まれました。

 というか、情報操作したはずなのに、何故知っている。


「えっと……大丈夫です」

「良かった~」


 大丈夫だと告げれば、安堵したような息を吐いたり、そんな雰囲気を感じ、みんなが心配してくれていたのだと理解する。

 でも、クラスメイトたちが安心した理由はそれだけではないらしい。


「私が休んでる間、何かあったの?」

「あったも何も、林間学校と臨海学校、どちらにするかで、二組とケンカになったのよ」


 ああ、そういうこと。


「一組、三組、五組は林間学校派、二組、四組は臨海学校派なのよ」


 ちなみに、私たちは一組である。


「うん? なら、林間学校に決まりじゃないの?」


 多数決制なら林間学校に決まっていそうなのだが。


「それが、五組の女子が臨海学校が良いって言ってるみたいで、なかなか決まらないのよ」

「うわー、それは大変だ」


 つまり、五組の林間学校派は男子の意見、というわけか。


「それで、何で私たちは林間学校?」

「宮森さんが林間学校を勧めるから、理由を聞いたら、『きーちゃーーいや、桜庭さんのことも考えて!』って、言われてね」


 まさかの朝日の影響か!

 だが、これはマズい。


「いや、みんな海が良いなら、臨海学校にしなよ。その時までには絶対治ってるから」


 というか、ほぼ完治してるし、医者からも学校行っていいと言われたから来てるんだけど……どうしたものか。

 そう思っていれば、


「あっまーい!」


 そう言いながら、朝日が近づいてきた。


「あ、朝日?」

「病気やケガって、油断してるとぶり返すんだよ!?」


 戸惑ったようにその名を呼べば、正論を言われた。


「いや、でも、一ヶ月後でしょ。どっちかが」

「そうだけどさぁ」


 朝日が微妙に不服そうである。彼女の気持ちは分からなくはないが、今の状態でもほぼ完治しているのだ。

 まだ林間学校か臨海学校のどちらになるのかは分からないが、それまでに一ヶ月近くもあるのだから、その間はほとんど問題無いぐらい動き回れるはずだ。


「それでも、朝日の気持ちだけ受け取っておくよ。それにーー」

「それに?」


 感謝の気持ちを示しつつ、付け加えるようにして告げる。


「まずは夜空さんの説得、しないといけないでしょ」

「!?」


 笑顔で爆弾を投下してやった。


「忘れてたわね。その顔」

「ううっ……どうしよう、きーちゃん」


 私が指摘すれば、狼狽(うろた)えながらも朝日が尋ねてくるが、こればかりは難しい気がする。

 ちなみに、林間学校か臨海学校云々ではなく、私がケガをしたということについてである。

 ただ、今回の場合、夜空さんへの説得・説明などは私や京も関係者だから同席はするつもりではいる。


「いつものことでしょ。頑張りなさい」


 とはいえーー


『夜空が暴走しだしたら呼びなよ?』


 と鍵理さんに言われたので、その時は遠慮なく呼ばせてもらうつもりだ。

 そんな話をしていれば、朝のホームルームのチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってきた。

 近いうちに中間試験もあるし、何もなければいいんだけどなぁ。




【説得】

よく話して、相手に納得させること



今回の場合、鍵奈としては、『朝日が夜空に対し、鍵奈や京を巻き込んだ“織夜との出来事”を説明し、理解してもらう』という意味で使ったので、誤用・ミスではありません



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