CHAPTER,9
随分と更新できなくて、読んでくださっている方には本当に申し訳ないです。
何せ高校生になって間もないもので……少なくとも一か月に一話は必ず更新していこうと思っていますので今後ともよろしくお願いします。
奥へ進んで行くと、広い広場に、噴水が見えてきた。
一見雑な造りにも見えるが、よく見てみると細部にいたるまで細かい細工が施してある。
…………。ホントに細かいよな……ここのスタッフ……。
「この噴水は、この町で一生を終えた芸術家、オーラムがその生を終える前に作った最後の作品で、町の住民たちは記念としてここに噴水の広場を作ったんだそうだ」
噴水を見ていたらナイトが細かい説明をしてくれた。
相変わらずお前は僕の心を読むよな……。
ジトッとした目でナイトを睨むとアハッと笑って誤魔化された。
「あっ!タカ!ほらっマルちゃんいるぞっ!」
「えっ?」
ナイトが指差した方を見てみると、確かにそこには女の子がいた。
金色の髪を耳の上で二つ結びに結い上げ、白く輝く鎧を身に着けた、青い目の美少女である。
「え?あれが?マル??」
衝撃で思わず口をパクパクさせてしまった僕を見て、ナイトがくくくっと笑った。
「おーいっ!マルちゃーん!」
ナイトの良く通る声が広場に響く。
声が聞こえたのかこちらに気付く美少女もといマル。
表情が一気に明るくなって、僕の方を見た瞬間一気に下がった。暗い表情と言ってもいいくらいだ。というか、怒ってる?
「ナイトさん!遅かったですね」
マルがナイトに微笑みかける。その笑みはまるで天使か何かのよう……ってこれじゃあ僕がシスコンみたいじゃないか。否定はしないが。
で、お兄ちゃんは無視ですか?
「あぁ、ちょっと変なのに絡まれたというか、絡んだというか……まぁそんな感じだ」
「どんな感じですかソレ……」
ナイトと他愛のない話をした後、マルはこちらを向いた。
あぁ、やっとお兄ちゃんに気付いてくれたのか?でもその割にはこっちを見る目がとても怖いね。何故だろう。
そして、マルは僕を指さして言った。
「ねぇナイトさん。この人誰ですか?」
泣くよ?
「えっマルちゃんそれマジで言ってる?」
ナイトの声が若干焦っているように聞こえる。
お前も僕だってわからなかったじゃないか。 それを言ったら僕だって一瞬わからなくなったけどさ、兎に角。
「泣くよ?」
「もしかして新しい彼女さんですか?随分とお兄ちゃんに似た感じの可愛らしい人なんですね。前の人とはどうなったんですか?別れたんですか?何でですか?」
妹に「この人誰」発言をされてショックを受けている頭の中に、マルの嫌味っぽい声が聞こえた。
マルもこういう話し方をするんだなぁ。お兄ちゃん、初めて知ったよ。
「妙な言い方はやめてくれよ、マルちゃん。
あの人は違うんだって何度も言ったろ?ただのクラスメイトだよ。
それに」
と言って僕を指さした。人を指さしたらダメだって習わなかったのか?僕は幼馴染として悲しいぞ?
「こいつは君のお兄ちゃんだよ」
「は?」
マルはもう一度僕を見て、首を傾げた。
「え?だって、この人は……だって。
確かにお兄ちゃんに似てるけど、どう見ても…………」
ふぅ、と溜息をつく。
「マル、本当に僕が分からないのか?お前のお兄ちゃんが」
「お兄ちゃん…………?本当にお兄ちゃんなの?」
こくりとうなずくと、その瞬間抱きしめられた。
く、苦しい。
「お兄ちゃん!!お兄ちゃんなのね!あーん、でもこんなに可愛いお兄ちゃんがお兄ちゃんなわけない!あなたはお姉ちゃんだわ!そうでしょ?お姉ちゃん!!」
「いや、お兄ちゃんだから」
とっさに否定をしたが、
「もうっわかってるってばぁ。お姉ちゃん♪」
ふむ、どうやらわかっていないらしい。
ナイトがぷっと吹き出した。先程から噛み殺していた笑いが堪えられなくなったらしい。
僕達と一緒にいるときのナイトはいつもこうだ。
僕とマルもつられて笑い出した。
何が可笑しいのかはよくわからなかったが笑いが止まらなかった、電子音―――このゲームのクエストメールのお知らせの音楽らしい―――が流れてくるまでは。
内容に変化はないですが、多少文体を直しました。