CHAPTER,7
「どこだ……?ここは…………」
目の前が真っ白になって、気が付くと中世ヨーロッパ風の見知らぬ町にいた。
「……。違うな。ここは『SevenSevenceOnline』の世界だ……」
なんだか雰囲気の良い所だ。
始まりの街ってところか。ポップしてくるプレイヤーの中に、ところどころNPCもいるのが分かる。
「とりあえず、待ち合わせ場所まで行かないとな……」
噴水は確かこの街の一番奥にある、とマルが言っていた。
一番奥かーめんどくさいなー。
NPCの開いているお店を見ながらのんびりと歩いていると、擦れ違う人々の中に鎧をつけた人がいた。
おそらく、マルや騎士と同じβ版のテスターだったのだろう。
正規版からのプレイヤーはみんな、素朴な半袖のTシャツにハーフパンツを着用している。
少々しょぼいが、街の雰囲気には合っていていいデザインだと僕は思う。でも、どの職業もみんな同じ装備っていうのはちょっとな……まぁ僕は別にいいけど。
奥に進むにつれて、初期装備のプレイヤーがどんどん減っていく。
β版のテスターたちはもしかしてみんな噴水の近くでβ版の時の仲間たちと待ち合わせとかしてるんだろうか。僕……ちゃんとマルや騎士と合流できるのかな……少し心配になって来たぞ……。
「っ!」
ゆらゆらと歩いていた僕の視界に鎧に反射して、ある一人の少女が映った。
炭のように真黒なさらさらとした髪は、女の子にしては少々短いかな、肩につかないくらいの長さである。
大きな目に、吸い込まれそうな黒い瞳は長い睫毛に縁どられている。
小さな唇は赤く色づき、その頬は雪のように白い肌に絵具を垂らしたかのようにほのかなピンク色だ。
…………。……ちょっと待て。
僕は周りを見渡す。
いない……よな。
そんな女の子は周りを見渡してもどこにもいない。
それどころか女の子は僕が頬に手を当てると、真似をするように頬に手を当てた。
ま さ か。
これは、僕か?
もう一度しっかり目を凝らして見てみる。僕に……似ている様な気がするけど……これは女の子にしか見えないよなぁ……。
確かに僕は、よく女の子に間違えられる。
勿論小さい頃の話だぜ?今は流石にそんなこと……そんなにない、ハズだ。
どこもいじらなかった人も、多少の補正はつくのかな?
いやぁ、ゲーム補正ってすごいな……。
でも違う所をもっと補正して欲しかった。
この折れてしまいそうなほど細い腕とか。現実ではもうちょっと筋肉がついてるハズなんだけど、今の僕の腕には全然といっていいほど筋肉が付いていないように見える。
筋肉が欲しい。
っていうかこのお……お、女顔を何とかして欲しかった。
畜生。もう二度とこの世界では鏡なんて見ないぞ。
そう決心して顔を上げた。
僕はさっき女の子(自分だったけど)を見たときからずっと立ち止まっていたので、随分と目立ってしまっている。
「ねえ、そこの可愛い君」
いや、目立ってたのはもしかしたら僕の顔のせいなのか……?僕も女の子と見間違えたからな、しょうがない。
「ちょっとそこの君!」
なんかもしかして僕話しかけられてるか?
念のため振り返って確認してみよう。
「あの?」
内容に変化はないですが、多少文体を直しました。