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SevenSevenceOnline  作者: あんじゅ
第一章:黒髪の女(?)剣士(ヒーラー)とはじまりの街
6/38

CHAPTER,6

「――――――――っ!!」


耳元が何やら騒がしい。


「お兄ちゃんっ!!」


「うぅ…………」


どうやら耳元で騒いでいたのはマルだったらしい。

耳元で大声を出しているマルを無視して目を固く閉じたまま絶対に起きまいと抵抗する。


「こらっお兄ちゃん起きてっ!!」


「っ!」


ガバッと布団を引きはがされる。

暖かい太陽の日差しがいきなり目に飛び込んでくる。

おぉう、失明しそうだ……。

これが属に言う、「目が……目がぁ…………!!!」というやつなのだろうか。


「お兄ちゃん!!」


「ああもう、うるさいな!!!」


思わず怒鳴ってしまった。


「うるさいだなんてひっどーい。

マルはお兄ちゃんが開始時間に寝坊しないように起こしに来てあげただけなのに!」


心底心外だ、という顔をされてしまった。


「あ、ありがとう?」


一応お礼を言っておく。

ム〇カ状態にされた恨みは忘れないけど、起こしてくれるためだったんなら仕方ない……のか?

そしてふと目覚まし時計を見ると…………。


「って今朝の五時じゃないか!!!開始時間は午前九時だろ?!

マルお前、自分が朝早く起きすぎたからって僕を巻き込むのやめろよな!!」


思いっきり突っ込んでやった。みんなが甘やかすからこの自己中()はつけあがるんだ!!

誰かがキッパリと言ってやらないと!


「テヘペロ☆ごめんちゃい」


ご丁寧に小首を傾げて舌まで出している。

………………可愛いから許す!





あの後僕は結局寝れなかった。

あそこでもう一回寝たら今度こそ寝坊する気がするからな。


「マルー!トースト焼けたぞー」


焼きたてのトーストをくわえたまま二階の自分の部屋で着替えていたマルに向かって叫ぶ。

お行儀が悪いとかは言わない方向で。

すると間もなく。


「はーい!」


どたどたと騒がしくマルが階段を下りてきた。

因みにマルはお気に入りの水色のワンピースを着ており、白い四肢と覗く鎖骨がまぶしい。

僕?僕は黒い半袖シャツにカーゴパンツ姿である。さり気無くこれが僕の夏の定番スタイルだったりする。


「はふぅ。

ねぇお兄ちゃん。お兄ちゃんの化身(アバター)ってどんな奴にした?」


マルがトーストにバターを塗りながら聞いてくる。

残念ながら相容れない。僕はトーストは焼いたままそのまま食べるのが一番好きだ。

そのまま食べることにより、あの、焼き立てのトースト本来のサクサク感が一切失われない。

っていうかトーストはあの表面のサクサク感と、中のふわふわ感という相容れない二つの食感が楽しめてこそじゃないか!!それをわざわざバターやジャムを塗ってサクサク感を台無しにするなど……もっての外!!


「…………お兄ちゃん?!ちょっと聞いてる?!!」


「うおっ!!!」


気が付いたらマルの顔がすぐ近くにあった。 これなんてギャルゲー?


「じゃなくて!……なんだよ?マル」


「だから!お兄ちゃんの化身(アバター)ってどんなのにしたの?って聞いてるの!」


なんだ、そんなことか。

どうやら僕は一人トーストの事で熱くなりすぎて異世界へトリップしていたらしい。


「っていうか、なんで化身(アバター)の事を聞くんだよ?

お前、いじるなって言ってただろ?」


「えぇっ?!!

お兄ちゃんホントに化身(アバター)いじってないの?!

ホントのホントのホントに?」


「あぁ」


っていうか逆にいじっても良かったのか?いじっとけばよかった……。

でもまぁ、マルが「わーいっ!」とか言いながら小躍りしてて面白いからいいか。

ついでなので、化身(アバター)作成の時に気になったことをマルに聞いてみる。


「なぁマル。化身(アバター)作成の時にさ、色々と細かい所まで設定出来るだろ?

それなのになんで髪の毛の長さは設定出来ないんだ?」


そうなのだ。これこそが化身(アバター)作成の時にやたらと時間がかかる所以である。

例えば手。指一本一本の長さや太さはもちろん、爪の形や長さの微調整まで設定出来るらしい。

それなのに髪の毛の長さだけは、現実の長さの設定を受け継ぐほかないのだ。

勿論、それ以外の所をここまで詳しく設定できるこのゲームがおかしいと言ってしまえばそれまでなのだが、何となく、気になるというものである。


「あぁ、それはね、お兄ちゃん!」


マルが小躍りをやめてこっちを向いた。


「なんとこのゲームでは……………………髪の毛が伸びるのよ!!!」


「あ、そう」


「えぇ?!お兄ちゃん反応薄い!!」


どちらかというと溜めのウザさの方が勝ったな、今のは。

それにしてもこのゲームは本当によくわからないところがやたら細かい。

公式サイトによると、痛覚や味覚などの五感なども八割ほど再現されているらしいし。

ってことはゲームの中で実際に食事が出来たり、髪の毛が伸びたりするのだろうか。

それはちょっと楽しみだな。





なんだかんだで退屈することもなく、僕たちは無事(?)開始時間の午前九時を迎えた。


「じゃあ、『セブオン』の世界でまた会おうね!

待ち合わせ場所は、ポップした町の奥にある噴水の前だから!白い鎧を着た女の子がいたら、それがマルだからね!

騎士(ナイト)さんもそこで待ってるって!!」


「了解。でも白い鎧ったって初期装備はみんな同じだろ?」


因みに『セブオン』とは『SevenSevenceOnline』の略称である。


「β版のプレイヤーは、β版をプレイした時のデータをある程度引き継げるの。スキルのレベル、装備以外の持ち物は引き継げないけどね。勿論引き継いだデータも変更できるけど」


スキルのレベル、装備以外の持ち物は引き継げないということは、逆に所持金や、レベルの高い装備や、US(ユニークスキル)を引き継げるということだ。US(ユニークスキル)を引き継げるのは大きい。それを基準にしてスキルを選択(セレクト)し直すことも出来るからだ。

成程、β版テストプレイヤーの特権って奴か。


「了解。じゃあな」


マルと別れ、それぞれ自分の部屋に入っていく。

『MUSEI』のスイッチを入れ、ログインする。

すると目の前が真っ白になって――――――――。

感想にて指摘がありましたので、一部内容を書き換えさせていただきました。

確かに、引き継げないのに引き継げる?なんてなんのこっちゃですよね……。

ご指摘ありがとうございます。

他の人も感想やご指摘をくださると、あんじゅが喜びます。

内容に変化はないですが、多少文体を直しました。

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