CHAPTER,33
あぁ、そうだ。思い出した。今回のイベントについてだった。
「えっ、マルちゃん今回のイベントはタカ君と一緒に参加したいの〜?」
「うん。駄目、かなぁ?」
マルが少し申し訳なさそうに片眉を上げる。やっぱり勢いで言ったことではあるし、引け目があるんだろうなぁ。
「ううん、大丈夫よ〜。
いいなぁ〜私も今回のイベント個人参加にしようかしら〜?」
にこにことユリ姉がOKを出す。ってかユリ姉それは駄目だろ……。
「ギルマスの自覚あんのかよ、お前……」
案の定ユリ姉はナイトに軽く睨まれている。ぎゃー、ナイトさんこわーい。ただでさえ目つき悪いんだから睨んだら謎の迫力が出てきてるよ……。何でこんなに目つき悪い癖にモテるんだろうこいつ……女の子はわからんなぁ。
「お前、じゃないでしょ〜? ちゃぁんとユリ姉って呼びなさい〜。
もう…………あ、そうだ! ねぇナイト、一緒に参加しない〜?」
一行に気にしてないよユリ姉強ええええええ。
「だから話聞いてたのかよ!!
ギルマスの自覚あんのかよって聞いてんの!!」
ナイトが怒鳴る。……随分イライラしてるなぁ。
「…………」
「………………」
何だこの沈黙は……。ユリ姉は相変わらずにこにこしたまま何か怖いし、ナイトはイライラしてるし、マルは…………あれ、マルいねぇ。
「…………何か言えよ……」
ナイトが唸るように言う。
「お姉ちゃん、は?」
ユリ姉の表情は動かない。……って、えっ?
「えっ?」
思わぬ返事にナイトの口から間抜けな声が漏れる。
「お姉ちゃん、は??」
そして尚も笑顔で繰り返すユリ姉。
「えっ、あ、うん……お、お姉ちゃん」
パァンッ
「うわぁっ!!!!」
突然の後ろからの爆音に思わず大きな声をあげてしまう。
「さて! 話はまとまりましたか〜?」
振り向くと満面の笑みを浮かべたマル。してやった顔してんじゃねぇえええ!! お兄ちゃん心臓止まるかと思ったよ?!
「そうね〜、マルちゃんのタカ君とのペア参加を認めます。ついでに私とナイトもペア参加を…………あらやだ冗談よ〜睨まなくても良いのに〜。次回のイベントでのペア参加で手を打ってあげるわ〜」
「…………しゃあねぇなぁ」
まとめに入ったユリ姉はちゃっかりナイトとの次の約束を仕入れていた。ずるい。
「と言うことで! お話も終わりましたし、ここは二人と別れてお兄ちゃんはマルと一緒に……」
「そうだ。僕ちょっとみんなで行きたい所があるんだけど、いいかな?」
そう問いかけるとナイトとユリ姉が快く了承してくれる。マルが後ろでorzしてるのは何でなんだろうね! いやぁ、検討もつかないな!
「タカ……お前ちょっと黒いぞ……?」
気の所為だよ!
喫茶店TSUBASAへ休憩がてらマスターにみんなを紹介しに行った後(ナイトはここのコーヒーをいたく気に入ったようだった)、今度はそのままの足でメルティの工房へ向かうことになった。
「さ、魔王の加工場……? 」
「お、面白い名前の工房だねお姉ちゃん……」
「おーい、メルティ! ニール! いるのかー?」
工房の名前に若干引いているみんなを尻目に扉を叩く。
突然来ちゃったけどそういえば絶対ここにいるとは限らないんだよなぁ……ここにいるといいなぁ。
などと考えていたら扉が開いた。よかった、中にいたみたいだな。
「はーい。…………あっ、タカさんでしたか! ししょーっ、タカさん来ましたよー!!」
僕の顔を見て速攻で扉の内側にむかって叫ぶニール。……あいつ、こんなにテンション高かったっけ?
中からはバタバタと音がする。
ガタンッ
あっ、今何かひっくり返したな。
「もーっ、何やってるんですかししょーったら……。タカさん……とお連れの方は取り敢えず応接間へどうぞ。タカさんは何度か来てるのでわかると思いますが応接間はこの扉を入ってすぐの角を左に曲がったところにあるお部屋ですよ」
「うん、ありがとう」
ぷりぷりと肩を怒らせながらメルティのいる方へ向かうニールにお礼を言うと、僕はみんなを連れ立って応接間へ向かった。
辿り着いた応接間はこの工房にある部屋の中で二番目に大きい。一番目は作業部屋なので、実際生活に使う部屋の中では一番大きいことになる。と言っても、僕もここと作業部屋しか入ったことないんだけどな。
「あーびっくりした〜! お姉ちゃんったらいつの間に友達出来てたの?」
「タカって俺ら以外にもちゃんと知り合いいたんだな」
部屋に入ってソファーに座ると、二人がとても心外なことを言い始めた。「いや〜よかった、よかった」「そうですね! マル、安心しちゃいました!」って……そろそろ僕も怒るぞ。
「もぅ〜、二人ともやめなさいって。タカ君に失礼よ」
おおお、やっぱりユリ姉はちゃんとわかっt
「私はタカ君なら友達くらいすぐ作れるって信じてたわ〜」
ちょっと待って地味にユリ姉のが一番心にくるよ??!!
そんな事を話しながら騒いで待っていたら、近くでバタバタと音がしてドアが勢いよく開いた。
「おっまたせー、たーくん! やぁやぁお友達さんも一緒かな?? ややっ、お嬢さん方可愛いねっうちのモデルにならなーい? おっ、そっちのお兄さんは………………えっ、もしかして『猫好き』さんかい……?」
「そ、そうですけど…………?」
いきなりのハイテンションに引き気味のナイトが恐る恐る答えると、
バッターン
メルティが、倒れた。
「ええええええええええええええええええ!!??」
人騒がせな奴だなぁ。
大変遅くなりましたが……まだまだ続きます




