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SevenSevenceOnline  作者: あんじゅ
第二章:剣士(ヒーラー)は恐怖の館で何を思う
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CHAPTER,31

はい、今日は晴天! 僕は大きく伸びをして、それから短くため息をついた。

今日は、っていうか今日も、なんだよな……。 僕たちがこの世界に来てから、こちらではまだ悪天候という悪天候になっていない。それが良い事なのか悪い事なのかは僕には判断がつかないけど、そういうところでまた、ここがやはり作り物の世界(ゲームの中)なのだと実感するのだ。


「さて、そろそろ行くかな……」


ぶらぶらと歩きながら待ち合わせ場所を目指す。待ち合わせ場所ははじまりの街の例の噴水の広場。各街が噴水で繋がっていて、一度入った事のある街へは噴水さえあればテレポート出来る、というしくみは本当に素晴らしいと思うよ。いやぁ、だって歩くのめんどいんだもん。


時間があったらナイトやマルと一緒にメルティのところに行ってみよう。ニールとかに会うのは別に久しぶりって程でもないけど、面子としては初めてだもんな。メルティも結構ナイトの事好きみたいだし、マルだって良い防具があったら嬉しいだろうし、デメリットも……僕の思う限りではなさそうだし。あ、後みんなで喫茶店『TSUBASA』にも行きたいなぁ!マスターにも会いたいし……。

そんな事を考えていると、だんだんと噴水が見えてくる。浮かれが歩調に出たのか、予定よりも早いな。おおっと? ……ここの噴水ははじまりの街のとデザインが一緒らしい。それって大丈夫なのか?……主に設定的に。



ーーテレポートする場所を選択(セレクト)してください。



「場所を選べ、って……まだ一ヶ所しか行けないのに……」


若干の不満を言いながら『はじまりの街』を選択(セレクト)する。

すると、足下に光が集まり始めた。最初は薄っすらとしていたそれは、あっという間に足下が見えない程の光になった。


眩しい……!





「よっ、タカ。直接会うのはボス戦以来だから、久しぶりだよな」


視界が戻ってきた頃、頭にぽんと音をたてて暖かいものが触れる。こいつは、本当にスキンシップが好きと言うかなんと言うか。子供扱いされているような気がして、その度に複雑な気持ちになっているこっちの身にもなって欲しい。


「ナイト」


若干ジト目で振り返ると案の定いつもの笑顔のナイトがいた。あんまりにも良い笑顔だったから、何だか馬鹿馬鹿しくなって軽く息を吐き出した。


「ナイトはさ、どこまで今日の事について知ってるの?」


「んー、マルちゃんに聞いたのは、ギルドの人でお前に会わせたい人がいるから此処で待ってろって事くらい。誰が来るのかは俺も知らないよ」


どうやらこの件に関してナイトが知っていて僕が知らない事はなさそうだ。また逆も然り、か……。


「あっ」


俯いて思考を巡らせていたナイトが突然弾かれたように顔を上げた。


「どうした? なんかわかったのか?」


「いや……誰かまではわかんないんだけど、そういえばマルちゃん、俺にその話をした時に凄く口元が緩んでたんだよ。それってマルちゃんの悪巧みとかイタズラを考えてる時の顔と同じなんだよな」


えっ、ちょっと待てや。なんでナイトがマルの事についてそんなに詳しいの? っていうか口元が見えてたって事はマルとナイトは直接会って話したって事だよな?? ナニソレズルイ。


僕の思考とはお構いなしにナイトの話は進んでいく。


「でもだいたいタカに対してイタズラを考えてる時は俺にも教えてくれるんだよ。まぁ、その方が効率がいいからな。

でも今回は教えてもらってない。つまり、今回のイタズラ(これ)の対象には俺も入ってるって事だ。と、なると……うーん、心当たりのあるような、ないような……」


首を傾げるナイト。色々ツッコミたい所はあったが、概ね僕の思っていた事と変わりない。確かにこいつ等はよく二人掛かりで僕にイタズラを仕掛けてくるし、イタズラを考えてる時のマルはいつも以上に良い笑顔だ。


それに……


「なんか引っかかる……なんか引っかかるんだよなぁ、何か忘れてるような気がするんだよ……」


そう、誰か忘れている(・・・・・・・)気がするのだ。思い出そうとして、思い出せない。懐かしいような、最近会ったことがあるような……。


「おねーちゃーんっ!!」


不意に後ろからの突撃を受け、よろめく。


「お姉ちゃん会いたかったよ!!」


いや、昨日も会ってたよね。


「そのお姉ちゃんの隣りにいる俺の存在は無視する気なんだね?」


ナイトの軽口にマルが噛み付く。


「ナイトさんは昨日も会ったじゃないですか! 」


いやだから僕たちも昨日も会ってるよねっていうか、


「お姉ちゃんって言うなってば!!!」


「うん!やだ!!」


あらやだこの子ったら凄く良い笑顔! じゃなくて!


「まぁ、もう……半分くらい諦めてるし、めんどくさいからいいけどな……」


思わず溜息とともに吐き出すと、ナイトに方を掴まれた。


「諦めたらそこで試合終了だぞ……!」


良い笑顔だった。畜生どつくぞそろそろ。


「ああもう……んで? 本題に入ろうよ。マルの言ってた人って?」


聞いた途端にマルの笑顔が輝かんばかりになりましたね、ホントわかりやすいって素晴らしいと思うよ。


「ふっふっふ。見て驚けっ! マスター! もういいよ〜」


マルが噴水の一番近くにあるお店の方へ声をかける。


お前は一体どこの悪役なんだ。その感じでいくと確実に三下だぞそれ。

というか、マルの言ってた人ってギルマスさんの事だったのか……じゃあますます会わないわけにはいかないなぁ。妹がお世話になってるんだし。


それにしてもマルは本当に良い笑顔である。さっき輝かんばかりと言ったけど、真面目にそろそろ発光するんじゃないだろうか。「ギルマス……?」という呟きが聞こえ、ナイトが首をひねっているのがわかる。


だんだんと近づいてくる一つの人影。あれがギルマスさんなんだろう。


…………ん? あれ、やっぱりこの人何処かで……。


「やっほ〜、(ヨル)君、騎士(ナイト)、私の事と覚えてる〜?」


その声を聞いて、その顔を見て、愕然とする。なんで僕はこいつを忘れてたんだろう。


「さゆ姉!!?」


そう、さゆ姉こと白百合(さゆり)。僕が気をおけない数少ない友人の一人であり、幼馴染、そしてーー


「姉ちゃん……」


僕の隣りでぽかんと口を開けているこの幼馴染の姉でもある彼女が、そこにはいたのだった。

久しぶりの一ヶ月二話投稿です!

お気に入り件数とか、ユーザーのが増えてて嬉しびっくりしました……一体、一体何が起きたというのです……!!


まぁゆるゆる更新はしていきますので、気長にお付き合いいただけたら光栄です。

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