CHAPTER,29
うわあああああ久しぶりの更新ですもし待っててくださってる方がいればごめんなさいいいい((((;゜Д゜)))))))
ナイトさんがいないと話の進むのが難しい(作者が)ことが発覚!!←どうでもいい
「取り敢えず! お兄ちゃんは偵察も兼ねてまずは一の試練から行くべきだと思うよ!」
というマルの言葉に従い、一の試練の会場である書の間に来てみたのはいいのだが……。
「何……これ…………」
書の間はどうやら図書館のような所らしく、本がこれでもかという程あり…………、
「いや、これは多過ぎだろう……てかきたな……」
そう、現実ではあり得ないレベルの本が、あり得ないレベルの汚さで置いてあるのだ。
誰も掃除とかしないんだろうか。ゲームだからそんな事は気にしないのだろうか。いやぁ、気になるけどなぁ。
床にまで散らばった無数の書物を出来るだけ踏まないようにしながら、部屋の真ん中に置かれた机まで進む。
机の上には張り紙がしてあって、どうやらそれに試練の内容が書いてあるらしかった。
「えーっと、どれどれ……『汝本読み解きて賢くならん』?どういうことだ?」
「えへへっ、一の試練はね、ここにある本の中から一冊選んでそれを翻訳しなさい、っていう試練なの!」
笑顔のマル。
「なんという無茶ぶり!!!」
僕は頭を抱えてうずくまってしまった。
「因みに解読用のスキルは向こうの売店に売ってるよー」
向こうの売店って何処だよなんでそんなに準備いいんだよてかなんでマルはそんな事知ってんの?!!
心の中で叫んでいたらマルがにこにこしたまま連れて行ってくれました。……ナイトといいマルといい、僕の心が読めるのか……? それとも僕はそんなに心の中の声が出てるのか……? ううむ。
解読用のスキル、【語学理解】は5000Jした。うーん、高いような……あぁ、今度またメルティのところに寄って素材売らなきゃなぁ。
「マルは……ううん、この本にしよっと」
そう言ってマルが選んだのは一冊の絵本。成る程、そういうのもありなのか。
「そういえばマルはさっき【語学理解】を買ってなかったけどもう持ってるのか?」
ふと思い出して聞くと、マルは少し恥ずかしそうに笑った。
「あはは、マルね、β版の時はこの試練で引っかかって先に進めなかったからね〜。実は最初の選択の時に選択してちょいちょいレベル上げてたんだぁ」
別に試練を達成しなくても一応先には進めるし、そもそもこの試練を選ばなきゃいいだけの話なんだけどね……、と呟く声を聞くにこの試練達は基本達成出来なくてもストーリー自体には関係がない仕様になっているらしい。だから結構めんどくさい試練になってるのか。納得納得。
「負けず嫌いは悪いことじゃないと思うぞ…………っと、僕はこれにしようかな」
手にとったのはこれまた絵本で。キラキラと星を散らしてある表紙が気に入ってとったのだが、マルのものと比較するとどうも此方の方が分厚く見える。
「お姉ちゃんの方が負けず嫌いなんじゃないの?」
にや、とマルが笑う。僕の好きな、花が咲いたような笑みではなかったけど、悪戯っ子のような笑顔はマルによく似合う。これはこれでアリなんだよなぁ。美少女ってズルい……と、これだと僕がまるでシスコンじゃないか。否定はしないけど。
「まぁ他の試練もさ、出来なかったら放置しちゃっても大丈夫だから。気ままにやればいいんだよ」
と、今度は僕の好きな花が咲いたような笑顔。うん、やっぱりこっちの方が好きだな。
「で、どうする? 様子見は終わったけど……他の試練も見に行くのか?」
マルに気を使う半分興味半分で聞いてみたのだが、マルは首を横に振った。
「今日は、久しぶりに邪魔も入らずお兄ちゃんと二人きりなんだもん。今日はここにいたい」
嬉しいような、でも何処となく毒を感じる一言である。
「いや、あの邪魔って……」
「騎士さんに決まってるじゃない」
即答かい。誰、って聞く前に答えがきちゃったよ。
「ええー、さっきの話の時も思ったけどマルってそんなに騎士のこと嫌いだったっけ?」
現実世界において、僕が珍しく好きだと思う二人なのに、その二人が嫌い合うというのはなんとも悲しいものである。最も、幼馴染においては妹を嫌っているという風は見受けられないのだけれど。
マルは唇を尖らせて少し視線を逸らした。
「だって、だってさ、マルだってお兄ちゃんとずっと一緒にいたいのにさ、学年だって違うしさ、それなのに騎士さんはさ、お兄ちゃんとずっと一緒にいるんだよ? 男の子だから、幼馴染だから、同い年だから。ズルいよ。マルだって、もっともっと一緒にいたいもん」
マルがまさかそんな事を思っていたなんて。お兄ちゃん子だとは思ってたけどこれはマルも相当のブラコンだなぁ、なんて考えながらマルの顔を覗き込むと、よく熟れたトマトのように真っ赤になっていた。
それにしても何とも可愛い事を言ってくれる。いいよね、可愛いよね!これ可愛いって思っても別に僕シスコンじゃないよね!!?
嬉しくてニヤニヤしていると、恥ずかしさのあまり黙り込んでしまったマルに思いっきりタックルという名の抱擁をくらい、思わず頬が緩むのを感じた。




