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SevenSevenceOnline  作者: あんじゅ
第二章:剣士(ヒーラー)は恐怖の館で何を思う
28/38

CHAPTER,27

「何で?! 何でドアを閉めるの?!!」


もう一度ドアを開けてみると、そこにはやっぱりマルがいた。


「あれ、おかしいな。今僕の事を"お姉ちゃん"って呼ぶ女の子がいた気がしたんだけど…………ハッ、もしかして……幽霊」


「お姉ちゃんマルそろそろ泣くよっ?!」


ドアの影から遊んでいたら怒られてしまった。マルの顔を見ると、眉間にシワを寄せて目を潤ませている。本当に泣きそうだ。あぁ、そういえばマルは幽霊とか大嫌いだったっけ。

泣かれては困るので遊ぶのをやめて部屋の中に入る。


「もうっ!」


軽く睨まれるんだけど、僕としては、さ。


「マルだって僕の事お姉ちゃんって呼ぶんだからおあいこだろ?」


そう言うとマルは「うっ」と詰まったような顔をした。


「だって、だってさ、憧れてたんだもん。お姉ちゃんって呼ぶのに」


決まり悪そうな顔で俯いてボソリ、と呟くマル。


「あいつじゃダメなのか?」


「あいつって……白百合(さゆり)さんの事?」


「うん」


思わず主語を抜かしてしまうが流石妹、僕の言いたい事が伝わったらしい。


白百合(さゆり)さんは、お姉ちゃんっていうより、友達っていうか……」


「おいおい、さゆ姉はお前の四つ上だぞ。

……それより、マルも精神的力を選択したんだな」


多少飽きれつつ話を戻す。

てっきり僕はマルが物理的力を選択してると思ってたんだよな。ほら、マルって脳筋の戦闘狂(バトルジャンキー)だし。


と、僕は結構失礼な事を考えながら聞いたのだが、等のマル本人はというと、何故が少し顔を赤らめ、怒った様な顔をした。


「だって、物理的力を選択したらナイトさんと被っちゃうじゃん!!」


「お前……そんなにナイトの事嫌いだったっけ?」


あんまりにもな理由だったので少し驚いて聞き返す。


「いや、ナイトさんが嫌なんじゃないっていうか、えっと、だから……あ、ほら、だってナイトさんと一緒になったら、もれなくあのハーレムメンバーとまで一緒になるんだよ?!!」


前半は早口でまくし立てていたので何を言っているのかわからなかったんだが……ってハーレムってなんだよ?


「もしかして、知らないの?

【円卓の騎士団】のギルドメンバーの女の人って殆どが三騎士目当ての人なんだよ?」


思わず顔に出ていたのだろうか、マルが説明してくれる。


「っていうか三騎士ってなんだ」


「そっから?!!

……えっとね、三騎士っていうのは、【円卓の騎士団】の創立メンバーである、ナイトさん、バートさん、ナルシスさんの三人の事だよ。

武器の扱いに長けたナルシスに力体力自慢のバート、それから三人のリーダーでありギルドマスターでもある守りの硬さが売りのナイト、ってね」


何だそりゃ。なんか知らない内に三銃士みたいになってるぞ、あいつら。まぁ、三銃士とは全然違うと言えば違うんだけど……円卓の騎士はアーサー王の物語だし……なんかごっちゃごちゃだなぁ。


「それで、何でマルがナイトが何を選択するのか知ってるんだ?」


「そうそう!ちょっと聞いてよ!!!」


問うと、マルがいきなり怒りだした。怖い。


「な、何だよ……どうしたんだ?」


「この街に着く前、ナイトさん達を前の街で偶然見つけたのね。そしたら……そしたらね、ナイトさんは両腕にいっっっっぱい女の人を侍らせて何やら楽しそうに話してんの!!!わかる?!!こぉーーーーーーーんなにたっくさんの女の人だよ?!!!」


こぉーーーーーーーんなに、と言いながらマルが両手を使って大きな丸を描く。うんうん、つまりその円に入り切らないくらいの人がいたって言いたいんだな。わかるわかる。


「それでね、道の邪魔だったし視界の邪魔だったからマル文句言ってやろうと思って!ナイトさん達の方に行ったの!!

で、近くに行ったらまぁ話が聞こえてきちゃってさ、その場で立ち止まって木の影に隠れて話を聞いちゃったんだよね。

丁度この街の事話しててさ、まぁ折角だからナイトさんが何を選択するのか聞いちゃおー、ぐらいの軽ーい気持ちで立ち聞きをしてたんだよ?!

ナイトさんがね、『俺は……そうだなぁ、やっぱり物理的力かなぁ…………』って言ったのね、そしたらそれを聞いた女の人達が何て言ったと思う?!!!」


急に話を降られて肩がびくりと上がる。


うぇー……?わかんないよ……今はただただびっくりしてたよ……。


わからない、と首を横に振るとまたマルが喋り出した。


「『えー?だったらぁー、私もぉ、物理的力にしよっかなぁー』って言ったんだよ?!!!

それを聞いた他の女の人達もさ、『えーっずるぅい!私も私もぉ』とか、『私はぁ、最初っからナイト様と同じのにするって決めてましたからぁ』とか挙げ句の果てには『お兄ちゃんがそれにするなら私もそれにするぅー♪』とか言い出すんだよ?!!!

誰がお兄ちゃんだ!ナイトさんはお姉ちゃんのだし自主性の欠片もない人は嫌いだしそもそもナイトさんは末っ子だってぇの!!!!」


怒りのまま振り上げた右手をそこら辺にあった棚に振り下ろす。


ゴスッ


マルって声真似上手いんだなぁ。七変化だよお兄ちゃんびっくりしちゃった。…………はい、ツッコミませんよ?何でか知らないけど壊れてしまったらしい棚が目の前に転がってきたけど、お兄ちゃんは妹が怖いのでツッコミません。

っていうかナイトお前僕の知らない内になんか大変な事になってるぞ……大丈夫か……?


何故かナイトの未来に不安を抱いた僕でした、まる。

第二章はマルちゃんの章(になる予定)です。

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