CHAPTER,15
ホーンラビットを切り捨てる。最後の一匹(この際匹で統一する事に決めた)が光の粒子になって消えていくのを見ながら、僕は溜息をついた。
「はぁ……」
あれから三日が経った。このエリアに引き籠っていたお陰か、どのスキルも初日とは比べ物にならない程レベルが上がっている。因みに只今僕はUSに振り回されないようにする為に特訓中である。
まぁそんな事はおいといて、兎に角またエンカウントする前にさっさとこの場所を離れなければ。流石にもう三郡は無理だ。
僕の体力的にも(多分HPが半分きってる気がする)、周りからの視線的にも。
何を隠そう、僕はさっきからずっと他のプレイヤー(流石に三日も経てば少なくない人がこのエリアにも来ていた)に見られている。僕の容姿の所為なのか、はたまた僕の近くにポップするホーンラビットの数の所為なのか。
本当はそんな視線が嫌で、ホーンラビットなんて放り出して逃げたかったのだが、US【魅了】の所為でいくら逃げても追いかけてくる。
……僕そろそろ死に戻りすると思うんだ。
僕はもう一度周りを見渡して、それから今日何度目かわからない溜息をついて、走りだした。
あの後なんやかんやで結局群れが四つにまで増えていたホーンラビットはナイトとマルによって討伐された。
何、僕?逃げてただけだよ?何か問題あります?
「お前ずっと逃げてたけど、スキルのレベル上がったのか?」
問題あったっぽいです。
「えっ……と、少しは、上がった、かな?」
そう言って画面を見せる。
一番上がったスキルで【刀】の3。他は2が多い。
「…………。普通は、あれだけ戦えば平均7ぐらいまでいくんだけどな……」
ナイトが溜息をつく。
いやいや普通は絶対死に戻るのが先だろそれ。
因みにこのゲームのスキルレベルの上がり方は、その人がどのようにそのスキルを使ったのかが関わってくるらしい。
つまりは寄生が出来ないってことだな。
取り敢えず「てへっ」と笑ってみた。ら、ナイトにど突かれた。
……マルに「これをやれば絶対に誤魔化せる」って言われたのになぁ。
「と・こ・ろ・で!お姉ちゃん!!
実はマルとナイトさん、その、ギルドに入ってて、チムメンにそろそろ集まれって呼ばれてるんだよね……で、その、お姉ちゃんはどうする?」
所々どもりながら首を傾げるマル。
「お前が嫌じゃなければ、俺のところは歓迎する」
にこり、と笑うナイト。
さて、ギルドかー。もうそろそろ言われるかな、とは思ってたよ。
このゲームには一般的なRPGやMMOに違わず、【ギルド】というシステムがあり、街の一角の土地を買い取り(又は借りる)、そこにギルドホームを建てる事もできる。
憧れるよなー。ギルド!まんまRPGだもんなー。
さて、そんな僕の答えは……。
「だが断る!」
ん、当たり前だよな。元々僕はマルとナイト以外の人とは極力関わりたくないし。
二人とも僕の答えを予想していたようで、驚きはしない。
「気が変わったら何時でも連絡してくれよ」
「絶対!ぜーったいにマルにも声かけてよね!!」
そう言って僕は二人と別れてーーーー。
突如聞こえた子供の悲鳴で我に返る。
「えっ、何だ?!」
声の方角を見ると何やら赤い光が見える。
もしかしたら僕が気づかなかっただけかもしれないが、この三日間朝昼晩とだいたいこのエリアにいたけどあんな光は見た事がない。
何かのイベントだろうか。興味あるなー。……でも人の声聞こえたんだよなぁ……。関わりたくないなぁ、でも気になるなぁ。どうしようか。
結局僕は、好奇心に負けた。
活動報告にてセブオンの小話『とある七月二日のお昼休みの事』を投稿いたしました。
リアルのお話なので、嫌いな方は見ない方がいいかもしれません。
「見てやんよ」という方がいらっしゃったら僕が喜びます。




