CHAPTER,14
「それじゃあまぁアレだ、折角だからお前の持ってるスキルの説明でもするか」
ニ羽(そういえばホーンラビットってモンスターな訳だけど"羽"って数えるのが正解なんだろうか、"匹"が正解なんだろうか)のホーンラビットを同時に屠りながら和かにナイトが言う。
ってちょっと待てぇぇぇぇええええええええ!!!!
何でそんなに余裕なの?!あ、いや見てればわかるよ?君達のPSがもうすでにここの適性レベルを軽ーく超えちゃってることぐらいな!!!だがしかしだよ!それでも三十ちょいぐらいの数のモンスターの群と戦ってる時に、「折角だからやっちゃうかー」みたいなノリで戦闘を疎かにするのは良くないと思うな!
「だいたい!始まりの街周辺のモンスターにしては数も多過ぎたしなんか強くないか?!」
まぁ僕にはオンラインの基準はわからないんだけど、と心の中で付け足しておく。
「えー?だってこのくらいの量ならマルちゃん一人で普通に行けるよなー?」
「もっちろんですよー!お姉ちゃんは私が守る!!」
「だ、そうだぞ?」
ナイトが振り返って首を傾げる。だ、そうだぞ?と言われても……。頼もしい限りの台詞だけど出来れば妹に守られるんじゃなくて守りたいかな!お兄ちゃん悲しくなってきた!!
「それに始まりの街の周辺では此処が一番強い所だけどその中で一番弱いホンラビ相手だしなー、あいつ等って数と素早さだけだし」
ん?今なんて言った?イマナンテイッタ?この辺りだと一番強い所?んー??
「なぁナイト。お前さっき僕を此処に連れてくる時なんて言った?
"あそこは弱いのしかいないから心配するな"っていったよな?」
そう、だから僕は他の人達がみんな西門の方に行くのを横目で見ながらも東門に来たのだ。
ナイトの「皆は向こうに行くのか……大変だなぁ」という言葉を信じて此処まで大して疑わずに来たというのに!!
僕が思いっきりナイトを睨むとナイトは悪びれもせずにフッと笑うと、
「お前……そろそろ人を疑う事も覚えたら?」
と言った。
…………ムッ。
「……別にいいだろ。他の人は全員疑ってるんだから」
ブスッとした表情で僕が拗ねた様に言うと、
「それはそれで問題なんだけど……まぁいいか」
と、今度は困った様な顔で笑われた。
因みにこんな会話をしている間もナイトとマルはちゃくちゃくとホーンラビットを屠っていく。
器用だなぁ、二人とも。
僕はもうすでに驚くという行為を諦めている。だって疲れるだけだもん。
「じゃあ説明始めるぞー。……プロフィール画面の上からいくか。
まず始めに武器スキル【刀】。このスキルを装備しておくことにより、刀を武器として使うことができる。また刀を使うに当たって、動きの補正がつく。
次に【魔力】。このスキルを持っていないと魔力を持っていないという事になり、魔法を使う事は出来ない。魔法職選択者にとって最も重要なスキルだ。
【魔力操作】は装備する事により、補助魔法である[拘束]等を使う事が出来たり、魔法を使うにあたっての消費魔力や再詠唱までの時間を抑える事ができる。これも魔法職にとっては重要なスキルだな。
【素手】と【足技】についてはもう想像出来てると思うが、【素手】は相手を素手で殴打する時に、【足技】は相手を蹴る時に、それぞれ補正がつく。……まぁ多分上手い事組み合わせれば格ゲーみたいな動きも出来るんじゃないのか?」
やっぱり出来るのか!!と、僕は思わず目を輝かせた。
僕も男の子の端くれとしてさ、憧れるじゃん!格ゲー!!いーなー、いつか出来る様になろう。
ナイトは思いっきり目を輝かせる僕を見てクスリ、と笑うと続けた。
「んで最後にUSだけど……」
「っ!ナイトさん!!なんかやたらホンラビ多くありませんか?!」
少し焦った様なマルの声が聞こえて振り返る。
うん。どうやら聞き間違いだったようだ。だって顔全体で喜びを表現しちゃってるもん。すっごい楽しそうだもん。
呆れる僕とは対象的に、ナイトの顔には真剣そうな色が浮かんでいる。
「ホーンラビットの群れが一、二、三…………?
幾ら何でもいっぺんにポップする数じゃないぞ?」
…………。何故だろう。心当たりがある気がするんだ。
いや、ないよ?そんな非常事態引き起こす様な心当たりはないよ?ってこれやっぱり非常事態だったんだ。
僕がボケーっとそんな事を考えていると、突然ナイトが言った。
「タカだ!!」
は?いきなりどうした。
怪訝な顔で睨むが、気にした風もなくナイトが捲し立てた。
「お前のUSだよ!
【魅了】ーーーPC,NPC,モンスター問わず、そばにいる者をその魅力で誘惑し、従える。
これの効果でここら辺一帯のホンラビのポップが此処に集まってるんだ!!」
そんな馬鹿な。このスキルにそんな効果があるんですか。何それ怖い。
もしそうなら僕の所為になるのかな、こんなにホーンラビットがいるのって。いやいや違うよね?
混乱した頭で考える。
でも、まぁ、マルが楽しそうだし、いいか。
初戦闘終わらなかったですね……。
修正しました。
無系統魔法→補助魔法
個人的には[拘束]は補助魔法に入っていると思うのですが、「それは可笑しい」という方が多数いらっしゃるようでしたら変更します。
内容に変化はないですが、多少文体を直しました。




