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SevenSevenceOnline  作者: あんじゅ
第一章:黒髪の女(?)剣士(ヒーラー)とはじまりの街
10/38

CHAPTER,10

クエスト名:『SevenSevenceOnline』をクリアせよ!

依頼者:GM(ゲームマスター)二之舞五郎(にのまいごろう)

クリア条件:シナリオ攻略

報酬:このゲームの中から出られる

内容:このゲームをプレイしてくれているプレイヤーの諸君。

  非常に申し訳ないのだが、このゲームはライバル会社によって作られたウイルスによって、ログアウト不能になってしまった。

  これが嘘や狂言ではないことは、メニュー画面を開いてくれればわかると思う。

  しかし、デスゲームになったわけではないので安心してほしい。

  今、ウイルスの対抗ワクチンの開発に精一杯の努力はしているが、まだまだ完成までは遠い。

  なので、ワクチンとは別に少しでも君たちの生存確率を上げるために、このゲームにハッキングして、少し設定をいじらせてもらった。

  まず、時間は、この世界の一日が現実世界の二秒になるように設定しなおし、誰かがクリア条件を満たすと同時に全員が外の世界に出られるように設定した。

  それから、まだ当分は凍結しておくつもりだった種族転生クエストやその他の一般クエストも解禁した。

  なお、本来行われるはずだったイベントもそのまま実施する。イベントの優秀者にはシナリオ攻略に役立つアイテムがもらえるので、是非参加してほしい。

  諸君の健闘を祈る。




「えっと?」


ふざけんな!家に帰せ!そんな叫び声が聞こえる。

ここはやはり……焦ったりする場面なのだろうか。

ログアウト不能、成程確かにメニュー画面を出しても本来ついている場所にログアウトボタンはない。

どうやら本当らしい。


「とりあえず攻略すれば出られるんだよな!攻略しよう」


早くもそんな焦りから抜け出した人たちが周りの人たちを先導し始める。

まぁログアウト不能ってだけで別にデスゲームじゃないみたいだしな。

死なないんならさっさと強くなって攻略を進めた方が得策だ。


「うん、デスゲームじゃないならまったりしててもいいよな?って言うかGMに激しく問いただしたい。何で僕の化身(アバター)は女の子なんだよってば」


正直それ以外はどうでもいい。攻略は誰か強い人がやってくれるのを待つつもりだし、食事に関してもこの町にはNPCが食事を出してくれるお店もあるし。うん、便利だ。


「えっ?お姉ちゃんの化身(アバター)女の子なの?!じゃあ本当にお姉ちゃんだったんだ!!道理でフレンド登録もしてないのに抱きつけたと思った!

あっ、そうだ!フレンド登録して―!」


「マル、もう一度言っておこう。僕はお兄ちゃんだ」


フレンド登録を承認しながら僕は言った。

それにしてもよくあんなに早口で言えるな……噛みそう。


「もー分かってるよー。お・ね・え・ちゃ・ん♪」


「だからお前が分かってないことしか分からないぞ、それ」


本当にこいつは…………。


「あっマルはPNは”マヒル”でやってるんだな」


僕はフレンドリストに目を通しながら言う。

フレンドリストとは、フレンド登録した相手のPNやログイン状況などが確認できる優れものだ。まぁ今の状況じゃログイン状況は関係ないけど。


「うん、だってマルの一人称は”マル”だから、下手に変えない方がいいかなって。

そういうお姉ちゃんはタカなんだね」


「あぁ、ナイトはもう誰かさんに取られてたからな」


ちらりとナイトを見て言う。


「あははっ。それよりお前元々女の子じゃなかったっけ?」


ナイトが蒸し返す。って笑うな、ソコ!


「死ねお前マジで」


「デスゲームじゃないから死にませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」


あぁもう本当に、この幼馴染は。


「うっぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!」





ここは、とある建物の最上階。


「くそっまたブロックされた……!」


キーボードを叩きつける。


「くそっくそっくそっ!」


何故出来ない?出来る限りの知識と人員を総動員して事に当たっているというのに。アレはそんなにも自分たちの想像を超えてしまったのだろうか。


「社長、入りますよ」


無機質な声が今の私には優しい。


「なぁ、私はどこで間違ったんだろうな。鎖神君」


背後に立つ彼女はそんな私の問いかけには答えてくれない。

どこで間違ったか。人工知能を持ったAIにあのゲームの管理を任せた時だろうか?

それともそもそも人工知能なんて作ったこと自体が間違いだったのか。

今となっては虚しい以外の何物でもない。

AI(あいつ)がダイレクトメールで今回のことを報告してくるまで、ログアウト不能の細工にも気づきはしなかった。

私だけではない。この会社の社員、研究者全員を欺いたのだ。あいつは。

プレイヤーたちの現実世界での体は今社員たちが回収に向かっている。いくらデスゲームではないとはいえ、外から無理矢理《MUSEI》を外されればどうなることかわからない。

しかも、デスゲームではないということさえ、私達にはわからないのだ。


「すべてはあいつの思うが儘……か」


「何か仰いましたか?社長」


思わず口から零れた言葉に、鎖神君が返してくれる。相変わらず耳がいい女性(ヒト)だ。


「いや、なんでもないよ。それより、プレイヤー達と、AI(あいつ)の様子は?」


「そうですか。プレイヤーの皆様は早くも混乱から回帰された方もおり、攻略へと乗り出している模様です。

彼は…………未だに目立った動きはありません」


「そうか、ありがとう。では君はまた例の仕事に戻ってくれ、頼んだぞ」


「了解しました。社長は、あまり根を詰めすぎないようになさってください。皆、心配しています」


見事な一例をした後、鎖神君が部屋を出ていく。

ドカッと椅子に深く座りなおし、息を整える。


「さて、もう一度」


次こそはやってみせる。

叶うのなら、と誰かが彼を止めてくれることを、心の奥で小さく願った。

意味不明ですみません…。

精進します。

内容に変化はないですが、多少文体を直しました。

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