魔法を使う者
その声に反応したかのようにユリアスは剣を振りおろしてくる。
それをロシュの背後で見ていたマリアはロシュの前に駆けて出た。
「だ、だめ!!!!!」
そして、剣はマリアの胸に突き刺さった。ユリアスには返り血がかかり、自分の目の前で口から血を吐き倒れていくマリアを見たユリウスは我に返り叫んだ。
「あ・・・・・ま・・・りあ・・・あああああああああああ!!!!!!!」
その叫び声は森中に響き渡った。
倒れていくマリアを支えたロシュは必死になってマリアの名を呼ぶ。
「マリア!マリア!!な、なぜ私を守った!バカ者が!お願いだマリア!死なないでくれ!」
マリアの名を呼び続けた。自分の腕の中にいるマリアが今にも死んでしまいそうだったからだ。
名を呼び続ければマリアは声に反応し死ぬことはないと思い呼び続けていた。
「ろ・・・しゅ・・様・・・」
「しゃべるな!マリア・・・マリア!!!」
マリアは震える血まみれになった自分の手をロシュに差し出した。
ロシュはただマリアを見つめ名を呼び続けながらマリアの手を握った。
「ろ・・しゅ様・・・マリアは・・・しあ・・・わせです。こどものころ迷子・・・になった私を・・・助けていただいたお返しが・・・できましたね・・・」
そう言いながらマリアは微笑んだ。
「マリア・・・覚えて・・・覚えていたのか・・・私は・・・私はあの時からお前を愛していた。泣いていたお前を守ってやりたいとずっと思っていた。だから・・・だからお願いだ・・・・死なないでくれ・・・マリア・・・・」
「わた・・しも・・・あの時か・・・・」
言い終わる時マリアは咳き込み口からいっぱい血を吐いた。そして息苦しそうにゼェゼェと息を絶え絶えにしている。
(あぁ・・・死ぬって・・・こんな感じなのね・・・)
そしてマリアは少し微笑んだ後ユリアスを呼んだ。
「あに・・・うえ・・・」
ロシュの目の前で頭を抱えうずくまっていたユリアスはマリアの方に駆け寄った。
「ま・・・まり・・・わ・・わたし・・・は」
ガクガクと手を震わせながらマリアの頬にユリアスの手が触れた。マリアの頬は氷のように冷たかった。
「あに・・・うえ・・・なか・・ないで・・。わたし・・の・・だいす・・・な・・・・」
言い終わる前にマリアは瞳を閉じた。
もうしゃべる力もなくなったのかただただゼェゼェと息を絶え絶えにしていた。
ロシュの掴んでいたマリアの手には力が消えていく。
「ま!マリア!マリア!」
ロシュはマリアの名を必死に呼び続けた。
それを見ていたウィリアムは驚いたように目を見開き。舌打ちをし後ずさった。
その時また石を蹴る音がしてユリアスが立ちあがった。
そしてマリアの血のついた剣を持ち、構えウィリアムの前に立った。
「ま、まて!私は悪くはないではないか!剣を振るったのはお前だぞ!自分の責任を私に押しつけるのか!」
ワタワタとした行動をとりながらもウィリアムはユリアスにそう言い続けた。
するとウィリアムの背後から声がした。
『やはり・・・このようなことになってしまったか・・・・』
少し呆れたような声はさっきまでロシュが聞いていた魔王の声だった。
その声を聞いたウィリアムの表情は血の気がひいたような状態になっていた。
「ユリアス殿。今ここでこやつにそれを刺すのも良いが、マリア姫がそれを望むとでもお思いか?」
ウィリアムの背後に現れた魔王はユリアスにそう言った。その言葉を聞き一瞬ユリアスの体は揺れた。
「この者は魔界の住人だ。よって魔王である私の責任としてこやつは魔界に連れ帰り魔界の方法で処罰すると約束しよう。」
魔王はそういうと連れて来た兵にウィリアムを捕えさせた。
ユリアスは何も言わず、ただ黙ったまま剣を床に落とした。すると剣は灰となって消えた。
兵がウィリアムを連れていくところを見ていた魔王はそのままロシュに声をかけた。
「ロシュよ。まだ姫は死んではいない。お前の腕の中で生きておるぞ。忘れたのか?こういうときのために私がお前にあるものを渡したのを」
それを聞いて我に返ったロシュは何もない空間から小瓶を出した。その中には血のように赤い液が入っていた。
そしてこれを渡された時の言葉を思い出す「何か困ったことがあれば使いなさい。必ず助けてくれるはずだ」と、確かに魔王はあの時そう言った。
ロシュは小瓶の蓋を開け自らの口に含み息をするのがやっとのマリアに口づけをし小瓶の中に入っていた液をマリアに飲ませた。
マリアが液を飲み込んだことを確認するとロシュは唇を放しマリアの手を握り続けていた。すると!マリアの体からまばゆいほどの光が溢れ出てそれを見ていたロシュもユリアスも目を閉じた。
光が消えるとさっきまで力を失っていたはずのマリアの手には力が戻ったのかロシュの手を握り返していた。そして
「ん・・・・・」
呻くと同時にマリアは閉じていたはずの瞳を開けた。
「「マリア!?」」
それを、見たユリアスとロシュは同時にマリアの名を呼んだ。
ロシュはすぐマリアの血の出ていたはずの傷を見たが、そこにはもう傷はなかった。ただ赤くそまりきられた後のある服があるだけで傷はどこにも見えなかった。
マリアはそのまま何も言わず握られていない方の手をロシュの頬にあてロシュを見つめた。
「生き・・・て・・る?」
マリアがそういうとロシュは
「ああ。ああ!マリア!お前は生きている!」
そう言いロシュはあまり力は入れずマリアを抱きしめた。
マリアの肩になにか冷たいものがこぼれたようにかかった。それに気付いたマリアは何も言わずただロシュの背に手を回し抱き返した。
それを見ていたユリアスと魔王は安心したような表情をした。そして魔王はそのまま何も言わず魔界に帰った。遠い昔を思い出しているような表情をしながら
その後、マリア・ロシュ・ユリアスは共にミルオン王国に帰りすでに到着していたムールにウィリアムのことを告げ。その場で崩れたムールにカルオ王はサギネル国とミルオンのこれからのことについてムールに話をした。話し合いの結果、元々サギネル国第一王子ムールは戦争など馬鹿げていると考えていたので考えが一致したということで友好関係がきずかれた。
両国はこれからさらに発展することだろう。
その話し合いから1週間後2度目のマリアとロシュの結婚式が行われることになった。
「さすが姫様!やはり漆黒より純白のドレスが一番お似合いですね!」
まるで我が子を褒めるようにロールはマリアのウェディングドレス姿を褒めた。
『せっかく2度目の結婚式なんだ。今度は漆黒ではなく人間界のやり方の結婚式をあげよう』
ロシュはそう言ってくれたのだ。
マリアは恥ずかしそうに頬を染めた。すると、ノック音がした。
それを聞いたロールはニヤニヤしながら扉の傍まで行き、少し開けてノックした人物を見た。
「うふふ・・・ロシュ様がいらっしゃいました。」
ロールはニヤニヤ顔を隠すことなく扉を開けロシュを部屋の中へと入れた。そして何も言ってないのにニヤニヤ顔のまま部屋を出て行った。
(もう!ロールったら!)
「マリア・・・ロールはどうしたんだ・・・?」
ロールのニヤニヤ顔を見ていたロシュは意味がわからず首をかしげていた。
「さ、さぁ~~~~」
マリアはわざとらしくわからないフリをした。
そして、マリアはロシュの姿をマジマジと見つめた。
(・・・さ・さすがロシュ様・・・黒も似合うけど・・・純白も似合うのね・・・)
マリアの視線に気付いたのかロシュは頬を真っ赤に染めた
「な、なんだ?」
「いえ、さすがロシュ様ですね。お似合いです。」
とマリアが正直な気持ちを言うとロシュはゴホンと小さく咳をし小声で
「お・・・お前も・・・にあって・・・いる・・・」
それを聞いたマリアも頬を真っ赤に染めてしまった。
マリアが礼を言おうとするとロシュは片膝を床につけた。そして
「マリア。改めて言おう。10年前魔界で泣いているお前を見つけた時から私はずっとお前のことだけを考えていた。私と、結婚してくれない・・・か?」
ロシュは片膝をついた状態で上を眺め、マリアの顔を見ると。マリアは
「はい!私も10年前に助けてくれたあなた様が大好きでした!ひと時も忘れたことはありません!」
ロシュはそのまま立ちあがりマリアの腰に手を回し口づけをした。
その後二人は魔界に帰り魔界の王、妃となった。
「魔法を使う者」読んでくださった皆様ありがとうございます!^^w
この後二人は魔界で幸せに暮らして行く~・・・という設定でっすb
もし皆様からの投票が良いようならこの二人の子どもの物語も書いてみたいと考えてます!><
私の初ネット書き小説で初少しちょいエロ小説でしたが・・・まじめに書くの大変でした・・・特にエロシーンが・・・汗
エロシーン書くだけに何時間かかったことか・・・早く慣れたいものですね・・・。
さてさて、今既に何話か出てますが「御子と魔王」というお話が出ております。少しこそ~っとこのお話を読んでくれた方にだけ教えちゃおうかな・・・☆
実は・・・「御子と魔王」は「魔法を使う者」と無関係ではありません!♪
詳しくは読んでみてくださいね^^w読んだらきっと関係性がわかります!b
それでは皆様、今回はこのくらいにしておきましょうか♫
作品を読んでいただいてありがとうございました^^w
[。゜+バイバィ+゜。]>o(*´ω`)ノ))