そして伝説へ
あほみたいな小説もかきたくなるのです。
「そうですね。現在60件の応募がございます。」
60件の応募かあ・・・。俺は肩を落とした。
求人枠一人に対して、60人の応募。勝率はないに等しい気がした。
資格も学歴もない俺に、仕事はこんにちはとあいさつをしてくれない。
がん無視である。
俺の方からは、「こんにちは。」どころか戦国時代の足軽ばりに、ひざまずき出陣させてくれと哀願しているのに・・・。
このまま年齢重ねたらどうなるの?
やばくない?
まずい非常にまずい。
なんとかせねば。
不景気とは関係なく、こんな俺でも雇ってくれて
かわいい女の子がいて週休2日以上。
そんな仕事はないものか・・・。ないよ
わかっているよ。
鈴木さん?聞いてますか?
「ああはいはいすいません。」
どうします。応募しますか?
「いや結構です。すいません。」
いやね鈴木さん、正直あなたの望む求人はないと思うんですよ。
「ああ、やっぱそうすかね。」
いや鈴木さんがダメな人材ってわけじゃないんですけどね
やっぱり資格とか。
「まあそうっすよね。」
そういうの取ろうとは思いませんか
「いやあそうっすね。」
たとえばねほら、剣の扱い方がうまいとか
「はいはい。」
回復魔法が唱えられるとか
「はいはい回復魔法ね。」
攻撃魔法が唱えられるとか
「回復?えっ回復っ?剣?」
召喚魔法がとかね
「召喚?えっ何を?」
そういうの学んだほうがいいと思うんですよ。
「いやっ途中からなんだか、ゲーム的な話してません?えっ悪ふざけ?ニートはゲームでもやっていろってこと?
落ち着いてください、ニーじゃなくて鈴木さん。
「いや、だって、今銅の剣的な、お前みたいなもんはひのきの棒的な話してましたよね?」
黙ってください。ぬののふく。
「いや布の服は装備しているけれども。ばかにしてんすか?」
いやいや布の服さん。実はですね。今職業訓練校に空きがあるんですよ。
「布の服で固定すんな。」
そこで学んでみませんか?いやいいと思うんですよ。料金はかかりませんし助成金はでますしね。
「いやいや悪ふざけも大概にして下さい。」
例えば今ニー・・・布の服さんが、外歩いていたらゴブリンかスライムに遭遇するとします。
「ニートのほうがましなんですけど呼ばれ方。」
今の鈴木・・・。布の服さんだと勝てません。
「なんで・・・いやいいや面倒くさいつっこまないよもう布の服には。」
そうなるとニュースや新聞に載った場合は大変恥ずかしいものになります。
今日未明N県N市にて鈴木さんがゴブリンに襲われ死亡しました。直接の死因は1ターン目のゴブリンパンチだと思われ・・・
「確かに恥ずかしいけども。」
ねえしってる?鈴木さんのところのお子さん、ゴブリンに殺されたんですって。
ええ?ほんとに?
ドラゴンの間違いじゃないの?
かわいそうにねえ。
でもゴブリンに殺されるんだったらしょうがないわね。
あらたっくんどうしたの?
ママー外に出たらゴブリンいたから倒したら2ゴールドもらったよー
まあ偉いわねー。
あら、たっくんヒザすりむいてるじゃない。
あー1ターン目のゴブリンパンチだぁ
まあ消毒していらっしゃい。
はーい・・・・・・・・・・・。
というようなことに・・・。なりかねませんよ。
「こわっ確かにそれはこわっ。」
ですからねーやっぱり訓練するべきなんですよー。
「そう・・・ですかねー。」
これ資料なので渡しておきますねー。
「ありがとうございます。家で検討してみます。」
はーい。じゃあ今日はここまでになります。
「ありがとうございました。」
家に帰り部屋に入った。
帰り道電柱の裏手に、ゴブリンらしきものを見たが幻覚に違いないというのと、右手をグルングルンまわしてパンチらしきものを放ってきそうな雰囲気があったので急いで帰宅した。
汚れている机の上を適当に片づけて、少しのスペースを作りさっきもらった職業訓練校ガイドブック「目指せ魔王すらも震撼させる人材。」を開いた。