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前編

私の名前はアイリス・ルージュ 。アレク・ルージュと結婚し現在10年目 ルージュ家は代々騎士団長を拝命してきた一家で私の旦那様アレクも現在第1騎士団騎士団長とう言う職についています。

アレクは綺麗な黒髪黒目で容姿端麗社交界でも人気の殿方でした。

私達は幼馴染みで幼い頃から結婚を誓いあって愛を育んで来ました。そして私が20歳アレクが25の時に結婚しました。

結婚当初は優しく仕事が終わるとすぐに屋敷に帰ってきて私を抱きしめてくれた旦那様は結婚10年目ある時期から帰りが遅くなり、帰ってきた時も女性ものの香水の香りを漂わせてすぐに書斎にこもってしまう。

旦那様が夫婦の寝室を使わなくなってどれくらい経っただろう。


「おかえりなさいませ。旦那様」

「ああ。」


今日も旦那様は、私と目も合わせず書斎へ行ってしまわれます。


「奥様…大丈夫ですか?」


執事長であるマルクが心配そうに私を見ている。


「ええ。大丈夫よ 旦那様にお夜食を持っていて頂戴」

「かしこまりました。」


寝室に戻り私はある方に手紙をしたためました。 これで解決するかは分かりませんが…独りで解決するよりはマシでしょう。次の日の朝珍しく旦那様が朝食の席にいらっしゃったので私は思いきって聞いてみることにしました。

女は度胸と言いますしね。


「あの旦那様」

「なんだ?」

「旦那様はお付き合いされてる方がいるんですか?」

「ゴホッ...何を言っているんだ!」

「いつも帰ってきた時に女性物の香水の香りがしていましたので、てっきり愛人が居らっしゃるのかと」

「そんなわけないだろ。そんなことよりもうすぐ大きな事件が片ずく。2人でどこか旅行にでも行こう。」

「…はい。楽しみにしております。」


旦那様は結局何も聞けないままお仕事に行かれてしまいました。

今の状況で2人で旅行なんて…


「奥様…」


マルクをはじめとした使用人達が心配そうに見ている。

結婚当初の私達の仲の良さを知っている使用人達は私同様急に素っ気なくなった旦那様に困惑している。


「はぁぁ」


そんな生活を過ごしているある日


「あなたがアレク騎士団長の奥様ですか?」

「ええ。そうですがあなたは?」

「私。アレク様と同じ第1騎士団に所属しております!マリアと申します!」

「いつも旦那様がお世話になっております。そのマリア様が何用で?」

「奥様にアレク様と別れて頂きたいのです!」

「は?」

「私アレク様と愛しあってるんです!でも奥様がいる限り私達が結ばれないんです!」


何ということだろうか…まさか愛人自ら乗り込んでくるとは…

歳は20代前半ってところかしらね…可愛いらしい容姿をしてる。


「取り敢えず話は分かりました。今日のところはお引き取り願いますか?」

「アレク様と別れてくれるんですか?!」

「その話はまた後日旦那様もまじえておこないましょう。今日は所用があるためお引き取り下さい。」

「わ、分かりました。失礼します。」


特に所用はありませんが、お引き取り頂く口実です…


「奥様…今の方は…」

「旦那様の愛人なのでしょうね。」

「まさか!旦那様は奥様一筋でございます!愛人だなんてまさか…」

「でも愛人様が直接いらしゃったじゃない。若くて綺麗なしかもいつも旦那様がまとってくる香水の香りがあの方からもしましたし。」

「そんな…」

「マルク、私疲れたから少し休むわ。旦那様が帰ってきたら知らせて頂戴。」

「畏まりました。」

「アン、申しわけないのだけれどホットミルクを持ってきてくれるかしら?」

「かしこまりました奥様。すぐお持ちします。」


マルクと侍女長のアンに後のことを頼み私は寝室に戻った。

ショックだった…使用人達には平静を装ったが、今すぐにでも泣き出しそうだった。何様なのだと、私の旦那様から手を引けと叫びたかった。

けど私にもプライドがあったから…

絶対に許さない。アレク覚悟しなさい…


「奥様、ホットミルクお持ちしました。」

「どうぞ」

「奥様…大丈夫ですか?」

「平気よアン。ありがとう。」

「奥様!旦那様が浮気だなんて考えられませんが…もし本当のことならば許してはなりませんよ!妻と言う一生を誓い合った女性がありながら他の女性を愛するなんて人として有り得ません!」

「アン…」

「しかも!奥様は器量よし、性格よし料理だってお上手ですし、裁縫だって完璧です!そんな奥様を裏切るなんて!使用人一同奥様の味方ですからね!例え罰せられようと旦那様に物申して差し上げます!」

「ありがとう…凄く…嬉しい」

「当たり前です! それにあのお方からお返事が届いております。」

「まあ!本当?」


アンから手紙を貰うとそこには嬉しい報告が書いてありました。


「アン!3日後にお客様がいらっしゃるわ!用意してくれる?」

「まあ!大変急いで支度しますね!」

「ええお願い!」


落ち込んでいた気持ちが、大分楽になった。3日後その日までには決着をつけておきたい。 とりあえず眠ろう。

私は意識を手放した。


「奥様。旦那様がお戻りになりました。」


マルクの声で目が覚め用意をしてから食堂に降ります。


「おかえりなさい。」

「ああ。今日は一緒に夕食を食べよう」

「ええ…ちょうど私も話したいことがありますの。」

「なんだ?」

「取り敢えずお食事にしましょう。」


よし!今日こそちゃんと話し合おう!

夕食を一通り食べ終え食後のお茶を飲み始めた時私は意を決して旦那様に話しかけました。


「旦那様。今日マリア様という方が訪ねてこられました。」

「なんだって?!」

「旦那様と別れて欲しいと言われました。」

「は?そ、それで君は何と?」

「後日旦那様をまじえてお話しましょうと伝えました。」

「アイリス…私はお前を裏切ることなんて有り得ない。彼女の話は信じるな」

「でも。彼女と同じ香水の香りをいつもあなたからするんです。」

「それにはわけがあるんだ。」

「そのわけとは?」

「今は言えない。もう少し待ってくれそうしたら全て話す。マリアには言い聞かせておく。彼女はただの部下だ。」

「…」

「すまない。今日はもう休むよ。君もゆっくり休んでくれ...おやすみ」


毎日愛してると言ってくれたのに…

でも…嘘をついているようには見えなかった。事情て何かしら?本当にマリア様とは何もなかったのかしら?

分からない…でも信じたい…まだ愛しているの…

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