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アイディールに捧ぐ物語  作者: 朝霧唯凪
第三章:ヴェルディア学園
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episode49:すれ違う心

その日の午後は、課外授業の内容の発表があった。

リーダーが招集され、説明と共にプリントを配布された。

部屋に戻り、プリントを皆に見せる。


「皆ー!発表されたよ!」

「おっ、きたか」


私は机の上にプリントをのせる。皆が顔を覗き込んだ。


「ん?クリスタルを集める?」

「そう!」


今回の内容はチームでクリスタルを集め、ゴールするというもの。より多くのクリスタルを集めたチームに多くポイントが与えられ、優秀チームが決まる。


「え、これどこでやるの?」

「校長先生が転移魔法使うんだって」

「えっ、魔力消費えげつ……」


本当にそう思う。すごい魔法使いなんだろうなぁ。


「でもヴェルディアのことだから、一筋縄じゃいかなそうだね」


カルロスがポツリと言った。


「え、例えば?」

「なんかトラップあったりとか……」

「あぁ、確かに……」


横でアナベルもうんうんと頷く。


「それで、内容について質問ある?分かる範囲でなら、答えるけど」


私は皆の顔を見回す。四人は、フルフルと首を横に振った。


「じゃあ、作戦会議をしようか」

「うお、なんかカッコイイな!」


ワクワクしているフィン。この人幼稚なんだよな……。


「まず、皆の属性を教えて」


私は紙を出してペンを持つ。

私は氷属性、アナベルは風属性、フィンは大地属性……

残るは二人という所で、沈黙がおりた。


「あれ、次カルロスよ」


皆がカルロスを見る。カルロスはぽつりと呟いた。


「……言いたくない」

「えっ?」

「だから言いたくない」

「いやいや課外授業は明後日よ?バッジもかかってるのに、言いたくないって何?」


協力するという気持ちが感じられないカルロスに、若干苛立ってしまう。


「……別にいいんじゃね?」


黙っていたフィンが言った。


「チームでの協力が必要なのよ。そんなこと言ってたら上手く動けないじゃない。」


重い空気になってしまった。

トロイも俯いている。彼も言いたくないのかもしれない。


「ルウラの気持ちも分かるけど、言いたくないんだったらいいんじゃないかな。きっと上手く立ち回れるよ」


アナベルもフィンの意見に賛成する。私は諦めてため息をついた。


「なら、いいわよ。戦闘向きか、索敵向きかだけでも教えて」

「必要な時は動く。それでいいでしょ」

「……」

 

落ち着け、私。ここで怒っちゃダメ。


「クリスタル集めるだけだろ?何とかなるって」


呑気にフィンが言った。この空気にトロイがオロオロしている。


最初の課外授業なのよ?何でそんなに余裕なの?


「何隠してるのか知らないけどさ。そこまで言うなら好きにしなさいよ。私、どうなっても知らないから」


声が少し震える。自分が悪者になったような気がした。


「あっ、ルウラ!」 


アナベルの声を無視して皆を置き去りにしたまま、私は自室に戻った。


「うう……」


皆本気で優秀チームに選ばれたいと思ってる、と信じてたけど、どうやら私だけだったよう。


なんだか虚しくなってベッドに突っ伏した。

課外授業は明後日。

失敗しちゃったなぁ、と思いつつも自分から皆の元に戻る勇気は出なかった。


険悪な雰囲気を抱えたまま、次の日になった。未だに空気は最悪で、すごく気まずい。


「はぁ……」


ベッドの上で蹲り、ため息を着いた時だった。


『ご主人!ご主人!』


脳内に、可愛らしい声が流れてきた。


「えっ!?」


慌てて周りをキョロキョロするも、誰もいない。


『下デス!』


そう言われて、私は視線を下に向ける。


「リット!!」


私の傍に、精霊のリットが立っていた。


「あなた喋れたのね!」

『もちろんデス!』


私は、リットをすくい上げる。


「最近姿を見せなかったから、心配してたのよ。どこ行ってたの?」


そう言うと、リットは申し訳なさそうな顔になった。


『それについては申し訳ないデス。急用ができまして……』


急用……。精霊にもいろいろ事情があるのね。


「それで、どうして急に現れたの?」

『どうしてって、ご主人が悩んでいるようでしたから……』

「うわあん、私のリット!」


グリグリと顔を押し付けると、『グエッ』と苦しげな声が聞こえた。


『とりあえず、金髪は悪いヤツじゃないですからご安心ください』


金髪……カルロスのことね。


「いや、悪いヤツじゃないのは知ってるわよ。」

『それから金髪は、ご主人のこれからに役立ちますヨ!』

「……これから?」

『ということで早く仲直りするべしデス!』


それだけ言うと、リットは姿を消してしまった。なんて自由な精霊なんだ!

けど、おかげで張り詰めていた心が、ようやくほどけた気がした。


皆とちゃんと話さなきゃ……


私はそう決意して、部屋のドアを開けた。

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