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アイディールに捧ぐ物語  作者: 朝霧唯凪
第三章:ヴェルディア学園
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episode42:騒がしい一日

次の日になった。イザベラがカーテンを開ける。


「うう……眠い」


朝日が差し込んできて、私は布団をかぶる。

なぜか夜中に訪問する人がいて、私たちは寝不足だった。


「時間に制限とかないんですの?」


睡眠を妨害されて、あからさまに苛立っているイザベラ。


「ごめんなさい、私のせいです……」

「ルウラは悪くないよぉ……」


眠そうな声が上から降ってきた。


「今日も続いたら、先生に報告しますから」


イザベラは、そう言って部屋を出ていった。


「大変申し訳ない……」

「だからルウラのせいじゃないよ」


アナベルの優しさに、ジーンとする。


「ルウラ、ご飯食べよ?そろそろ来るんじゃないかな。」


そう言った瞬間、部屋のチャイムが鳴った。


「これは……どっちだ?」

「ご飯じゃない……?」


私が出るより先に、イザベラが対応してくれた。


「ご飯食べないなら、いいですけど」


トレイを持って、イザベラがベッドルームを覗き込む。


「食べますぅ」


私は体に鞭打って、ベットルームから出た。


「んん、んまんま」


眠気まなこで朝食をとる。


「今日から普通に授業始まるね」

「そうねぇ」

「頑張ろうね」


のほほんとしながらご飯を食べ終わり、支度をする。

鏡を見ると、眠そうな自分が映っている。顔を洗いながら、しっかりしなきゃ!と自分に喝を入れるのだった。


「イザベラ、先行くね!」


イザベラはまた部屋にこもっており、先にアナベルと部屋を出る。


「なんかなぁ」


教棟へと歩きながら、アナベルが呟く。


「どうしたの?」

「一回、ちゃんとイザベラと話した方がいいと思うんだよなぁ」

「……それは私も思ってるけど。どうしたらいいのかな」


とりあえず今晩、イザベラと話してみることにした。


「じゃあ、また!」

「うん!」


アナベルと別れて、二階の教室へと向かう。階段を登っていると─


「おっはー!!」


突然背中に強い衝撃が走った。コケそうになり、慌てて手すりにしがみつく。


「あっ、ごめん!今の危なかったね……!」


振り向くと、ポニーテールの女の子が立っていた。挨拶の声が大きい子だ。確か名前は……


「名前言ってなかったね!アウラ・マーフィー!よろしくルウラ!!」

「よ、よろしく。悪いけど、声のボリュームを落として欲しいかな……」

「あ、またやっちゃった。ごめんね、ルウラ」

「その通りですわ。アウラ・マーフィー」


また後ろから声が聞こえてきた。


「あ、昨日の……」


ロゼッタが取り巻きを連れて、私たちを追い越していく。


「おっはー!ロゼッタ!」

「話しかけないでいただいても?」


ロゼッタは、冷たい笑みを浮かべると階段を登っていく。

うーん、イザベラよりもはるか上をいってるなぁと、つい私は思ってしまうのだった。

A組の教室に着いた。目立たないように、こっそり入ろうとすると─


「おっはー!!」


アウラが大きな声で挨拶をした。途端に視線が集まる。


お願い、巻き込まないで……!


私はそそくさと、席に向かう。

席につくと、フィンが話しかけてきた。なぜか眉が下がっている。


「今日は……お願いがあります」


かしこまった態度に、私は警戒心を抱く。


「……何?」

「一緒のチームになってくれよぉっ!!」


フィンがしがみつこうとしてくるから、思わず避けてしまった。


……引くわ。


「おっ、おはよう。ルウラ」


エマが、控えめに挨拶してくる。私はエマが挨拶してくれたのが嬉しくて、にっこりと笑う。


「おはよう、エマ!」

「ルウラ、俺の話聞いて?」

「エマ、チーム決まった?」

「ルウラさーん……」

「ごめん!エマは私がとっちゃった!」


突然横にいたアウラが、エマの腕に抱きつく。急なスキンシップに、エマは目を白黒させている。


「そっかー……」

「ごめんね、ルウラ」

「全然気にしないで。私が出遅れただけなので……」

「ルウラぁ」

「いい加減うる……」

「うるっさいなぁ」


私が言い切る前に、横の男子が顔を上げた。


「起こさずにカルロスが起きたー!!」


フィンが目を丸くしている。それを無視してカルロスは、私を見る。


「あぁ、ルウラ・クラークか……」

「え、今気付いたの?」


昨日話したんだけどなぁ……


「カルロス!よく起きれたな!」

「朝から、わあわあ騒ぐんじゃない」


カルロスは眉をひそめて、ガシガシと頭をかく。


「カルロス、ルウラに頼もうぜ!チームに入れてくれって!」


それを聞いて、私は驚いた。


「フィンはともかく……カルロス、あなたもまだフリーなの?」

「え、ともかく?」


フィンは放っておいてカルロスに尋ねると、コクリと頷いた。フィンの眉が下がる。


「俺ダチいなくてさ。ごめんなぁ、カルロス」

「フィン、お前だけ入れてもらえ。僕はいい」

「えっ、何で!?」


何で同じチームになることになってるのよ……


「とりあえず、フィンは仮で。C組のアナベルに聞いてみるわ」

「アナベル……」

「私の友達ね」

「わああ、ありがとうルウラ〜」


この話を聞いていた全員が、フィンを見て引いている。


まだ決まったわけじゃないのに何喜んでるのか……


すると、ドアがバタン!と開いて男の先生が入ってきた。ドアを開ける音の大きさに驚き、皆が話をやめて先生を見る。


なんか、すごそうな先生入ってきた……


「おはよう、皆!!楽しい魔法薬学の始まりだよ!」


……先生にこういうキャラいるんだ


予鈴が鳴って席につく。先生は深呼吸をすると、ニコッと笑った。

 

「初めまして!僕はドルリヤ・キーオ!楽しい魔法薬学の世界にウェルカム!!」


朝から、テンションが高いんですよ……。


皆ついていけてないのに、気にせずドルリヤ先生は続ける。


「じゃあ、まず授業に入る前に質問だ!魔法薬学はどんなことをするのかな?……さあ、寝ているカルロス君!」


どんまい、カルロス……。


私は寝ていたカルロスを、横目で見る。

カルロスは起き上がると、ドルリヤ先生を見て、目をパチパチさせた。


「え……何ですか」


何ですか、じゃないのよ……。


「じゃあ、隣の……」


わっ!


私は慌てて身をすくめる。


「ルウラ君!じゃなくて油断をしていたフィン君!!」

「ふぇっ!?」


フィンが変な声を上げて、笑いを誘った。フィンは、立ち上がる。


「……主にすることは、薬草の扱い方、薬の調合、物の加工です。下級生は通常調合基礎、魔調合基礎、魔法加工基礎……」


スラスラと説明するフィンを見て、私は目を丸くする。


そうか、この人A組だった……


「……魔鉱石学、地層学、薬草学です。中級生は……」

「もういいよ、フィン君!!」


ドルリヤ先生は苦笑いしている。


「すんません!」


そう言って椅子に座ろうとして─、フィンは引っくり返った。


ええ……なぜそうなる?


「それはキャグかな!?」

「いてぇ⋯ え、違いますぅ」


フィンはお尻をさすって座り直す。


ドジだけど、意外とすごい人なのでは……?と、私はフィンをしばらく見つめていた。

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