私は必要に応じて、いつでも貴方の彼女になりますよ!
”私は必要に応じて、いつでも貴方の彼女になりますよ!”
俺は通りすがりの女にこう言われる!
俺はそう言われて、”何が何だか?” 頭の中が少し混乱していた。
そもそも俺は、”この女の事を全く知らないのだ!”
たまたま俺とすれ違った女に急に俺は呼び止められこう言われても、
なんで俺なのか? 誰かと勘違いしてるのではないのか?
頭の中で、ものすごい勢いで処理していくのだが、この女は俺を真っ直ぐ
見つめているし、自信満々の顔をしていた!
『”私ならいつでも貴方を助けてあげられますよ。”』
『それより、アンタ誰なんだよ! なんで俺にそんな事言ってんの!』
『貴方、田中洋平さんでしょ!』
『・・・あぁ、そうだけど、なんで俺の名前を?』
『だからはじめから、そう言ってるじゃないですか! 私は必要に応じて、
いつでも貴方の彼女になりますよ!』
『”それって、俺の顔に女に困ってますって書いてる訳?”』
『じゃあ、実際はどうなんですか? 両親に恋人の一人や二人、親に一度は
紹介しようと思わないのかと言われてませんか?』
『・・・い、言われてるけど、なんでそんなことまで知ってんの!』
『”私は貴方の事ならなんでもお見通しですよ!”』
『お見通しって? はぁ!?』
『取り敢えず、私が今すぐ貴方の彼女になります!』
『彼女って? 俺はアンタの事、何にも知らないのに、、、。』
『そうですね、じゃあー今から私の事を知っていけばいい!』
『”自信過剰で、強気な女だな~!”』
『そうでしょ! 私はそういう女です!』
『”褒めてないんだよ! 俺はアンタの事を一度も褒めてないから!”』
『”私の事を好きになれば、なんの問題もないでしょ!”』
『なんだよ、それ?』
『”さあー私と一緒に行きましょう。”』
『えぇ!? 何処に?』
『私の家です!』
『いきなりそれかよ!』
『強引な女が好みなんでしょ!』
『・・・・・・』
『すべて私に任せてください!』
『・・・・・・』
・・・俺は取り合えず、この女の言う通りにする事に決めた!
強引で自信過剰で、好き勝手なことをしまくる女だけど?
満更、俺のタイプからハズレてる訳でもない!
俺は案外、気弱で自分から積極的に行くタイプでもないから、
好きな子が出来てもなかなか自分から告白出来ないでいる。
こういう女の方が俺に合ってるのかもしれないと少し思ってしまった。
『さあーどうど!』
『・・・あぁ、ううん、』
『”女の子の部屋に入るのは、初めて?”』
『えぇ!?』
『”これからは毎日、ここに居てもいいし! 好きなようにしていいわ。
合鍵も渡しておくし、好きにして!』
『・・・で、でもさ? こんなの、本当にいいのかよ。』
『”私が選んだ男なんだから、いいに決まってるじゃない!』
『・・・・・・』
『お腹空いた? それともお風呂にする?』
『えぇ!?』
『ゆっくりテレビでも見てて!』
『あぁ、ううん、』
最初は、”凄く落ち着かなかったけど、、、?”
なんだか不思議と時間と共に、落ち着いてきた。
”まるで自分の家で寛いでるみたいにリラックスしている!”
俺は警戒心も強いし、正直! 人の家で落ち着いた事が一度もない。
それなのに、この女の部屋はやたらと落ち着く。
俺は本当にこの女と付き合うべきなのか?
・・・でもこれを境に、俺とこの女は付き合う事になった。
そして、”実家に彼女を俺は連れていく日が決まる!”
【ピーポーン】
『はーい!』
『帰ったよ。』
『いらっしゃい! どうぞどうぞ、中に入って!』
『ありがとうございます。』
俺は産まれて初めて、彼女を両親に会わせた!
両親は凄く俺の彼女の事を褒めてくれて、もういつ結婚するのかと
話し始める。
俺はまだ付き合ったばかりだし、そこまで考えてないと答えても、
両親は完全に彼女の事を気に入ったのだろう。
またいつでも来てねとなかなか彼女を帰そうとしなかった。
・・・そしてその日の帰り、彼女が俺にこう言ったんだ!
『”お疲れ様! じゃあ、私はこれで彼女を辞めます!”』
『えぇ!?』
『だから最初に言ったじゃない! 私は必要に応じて、いつでも貴方の
彼女になりますよって。』
『・・・えぇ!? 俺ここでフラれるの?』
『”そういう事です!”』
『いやいや、待て待て!』
『私も直ぐに新しい彼氏を作ります!』
『そうじゃないじゃん! なんで? 急に俺と付き合ってやっと1ヶ月、
しかも? そっちが俺と付き合いたいって言ってきたんだろう!』
『言ったよ、私は必要に応じて、いつでも貴方の彼女になりますよって。』
『その必要に応じてが、終わったから俺と別れる訳?』
『そう、何か?』
『嘘だろう! マジで何、言ってんだよ!』
『マジ小島! 嘘つく訳ないでじゃん!』
『”俺がお前の事、本気で好きになったって言っても?”』
『別れるわ!』
『もうダメなのか、分かった! 別れるよ、別れればいいんだろう。』
『”じゃあー合鍵返して!”』
『分かったよ、ほら!』
『ありがとう、凄く楽しかったわ。』
『俺はもう二度と会いたくない!』
『大丈夫! もう二度と会わないから、じゃあね!』
『・・・・・・』
・・・勝手に付き合いたいと言われ、付き合ったら?
直ぐにフラれて、俺は一体? 彼女にとって何だったんだろう。
でも、唯一! 良かった事がある!
”両親に会わせたことで、彼女が今居るとか? 彼女ぐらい直ぐに
作りなさいとか親にアレコレ言われなくなった事だ!”
まあ、それがいいのか? 悪いのかもう俺には分からないけど。
ただ、まだ俺はあの女の事が好きらしい!
最後まで読んでいただいてありがとうございます。