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GUILLTY  作者: SHin
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第7話〜上級悪魔たち〜

今回のお話は、冥界で開催される重要な審議会《でっかい会》にて、人間である「サクラ」をどう扱うかが議題になります。

悪魔たちが集う“でっかい会”…彼らのやり取りと、ギル&ディルフ&ビートの三角関係(?)も少しずつ動き出します。


それではどうぞ──


――冥界・城門前――


「も〜っ…なんで冥界城の敷地内って転移できない様になってるの…疲れたぁ〜」


奇抜で露出の高い服を着たギルが嘆いている。

これから冥界で最も重きを置く集会に参加するとは思えない格好だった。


門前には、ディルフとサクラが待っていた。

ディルフは冥界の正装──“黒礼こくれい”を纏っている。


“黒礼”──それは冥界における最上級の礼装。

魔力を込めた特殊な繊維で織られたオーダーメイドの服であり、悪魔の階級や力によって配色が異なる。

上級悪魔の中でも特に力を持つディルフの黒礼は、黒を基調に金の縁取りが施されていた。


「おい…お前、それで出席するのか……?」


呆れたようにディルフが言う。

サクラも、ギルの奇抜すぎる服装に思わず目を丸くしている。


「え、ダメなの!? 可愛いんだし、いいじゃ〜ん♡ 誰にも怒られないって〜!」


──冥界特別審議会・会場──


天井には魔法で創られた幻想的な月が浮かび、大きな円卓と、その周囲に高級な椅子(御座)が並んでいる。


円卓を見下ろす高台には冥界王カルマの玉座、

そしてその下に三席──冥界三つゼル・ドーマ・バトウの御座が横並びに置かれていた。


既に冥界王カルマは玉座に座り、ニコニコと皆が集まるのを待っている。

左の御座にはドーマがどっしりと構え、鋭い眼光を光らせていた。

右にはバトウが人間界の書物を読みふけっている。

真ん中の席──ゼルの席はまだ空席のままだった。


「サクラさん、そろそろ行きますよ。

……大丈夫です。私に任せてください」


ディルフが微笑むと、サクラも小さく頷いて答える。


「ど〜なるか楽しみだねぇ♡」


後ろでニヤニヤしているギル。

そのとき──2つの影がギルに近づいた。


「うわっ!?!?」


突然、ギルは別の部屋へ連れていかれた。

見上げると、そこにいたのは──


「え、まってパパ!? それに、ゼロン!? 二人で何してるの〜?」


そこにいたのはギルの父・冥界三つ子の長男“ゼル”、

そして、冥界ファッション界を牛耳る、冥界のカリスマデザイナー、“ゼロン”。


「ギル。……その服装は、今回の審議会に相応しくない。……あとは頼んだ」


ゼルは静かに言い残し、審議会の場へ去っていく。


「も〜っ、ギルちゃん!今日はそんな格好しちゃダメ! ……でも似合いまくってるわ♡

今日はこっち!こ・れ・よ〜♡」


ゼロンはギラついた目でギルに迫り、半ば強制的に着替えを始める。


「ゼロンー、可愛い服は好きだけど…黒礼はあんま好きじゃない…」


「はぁぁぁ!? アンタその口切り裂いて魔魚の餌にするわよ!?

アタシの力作なんだから、しっかり体で宣伝しなさいよ!」


ゼロンの迫力に、ギルは黙って着替えさせられ、共に審議会の扉を開けた。


──でっかい会、開幕──


カルマ、三つ子、そして他の上級悪魔たちは既に席に着いていた。

ゼロンは自席に滑り込み、ギルも気怠げに腰を下ろす。


『さぁ〜みんなおはよう! でっかい会、始めようか!』


満面の笑みで、カルマが会を開始した。


『今回の議題は──そこの人間の少女を冥界で保護するかどうか〜!

ちなみに……これは“ゼファー”の関与もあると思うから、私は反対〜!ハハハハ!』


冗談めかして反対意見を述べるカルマ。

だが冥界王が“反対”を宣言すれば、それだけで議決は決まりかねない。


それでもディルフは立ち上がった。


「失礼ながら、発言させていただきます。


我々は地上で異常な魔力反応を感知し、調査の中でこの少女──サクラと出会いました。

彼女の容姿は三大神“メラニア”様と酷似しており、魔力もまた特異。

さらにメラニア様を知る人物とも接触しており……この件には天界が介入してくる可能性があります。


よって、この少女を冥界にて一時保護し、調査を進めるのが妥当と考えます」


静寂。


カルマは笑顔を保ったまま、言葉を返さない。


──そのとき、静かに手が上がる。


「発言の許可をいただけますか?」


それは、上級悪魔“ビート”であった。

カルマが頷くと、ビートは落ち着いた口調で言う。


「保護することを否定する気はありません。

……ですが、保護対象をどう守るおつもりでしょう?


天界が絡み、さらに“ゼファー”がその背後にいるならば、この少女は常に狙われ続けます。

守る者を、数名はつけておくべきです」


ディルフが睨む。ビートは微笑んで受け流す。


『さすが〜鋭いねビート!僕もそう思ってた〜!

じゃあ、ビートと……』


カルマは瞬間移動し、ギルの目の前に現れる。


『ギルー!お前もその子、守ってね〜。これ、冥界王命令っ♪』


「はぁぁ〜!?!? ……っ、も〜、わかったよ」


不満げに答えるギルに、カルマが付け加える。


『でもね〜、その子、多分すぐ死んじゃうよ? 冥界の瘴気、濃いからね〜?』


「……わかったって、めんどくさいなぁ」


ギルは立ち上がり、円卓の上を歩いてサクラの前に立つ。

ヒールの音が響き渡る中、ニヤリと笑い──


「サクラちゃん、オレにこんな事させるんだから……後でご褒美ちょ〜だいよ♡」


そう言って、ギルはサクラの胸元に手を当て、魔力を注ぎ込んだ。


次の瞬間──サクラの体が苦しみに歪み、その場に崩れかける。

だがギルが腰を支えて立たせる。


その瞬間、サクラの瞳が茶から紫へと変化し、体中から濃密な魔力が溢れ出す。


「……なんですか、この魔力……」

ビートが小さく呟く。


「これは……危険ね。

普通の悪魔じゃ、抑えきれないほど“欲”を刺激されるわ……」

ゼロンが真剣な表情で言う。


会場の悪魔たち全員が、本能を抑えるのに必死だった。


カルマが立ち上がり、特殊な結界でサクラを包み、魔力の放出を軽減する。


『ほんと……危ない子だねぇ。

でも、これで少しは安全。保護者たちのそばにいてね』


やさしく微笑みかける冥界王。


──こうして、サクラは冥界に対応できる体を得た。


“でっかい会”は、幕を閉じた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


ギル、ディルフ、ビート、そして新たに登場した冥界デザイナー・ゼロンと、いよいよ冥界の上級悪魔たちが出てきましたね〜♪

今回は冥界ファッションや審議会の様子、ギルの(しぶしぶ)かっこいい活躍も描けて嬉しい回でした。


次回は、冥界でのサクラの生活と、ビートの企みが始まる予感……?どうぞお楽しみに!


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