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GUILLTY  作者: SHin
15/19

第15話〜堕ちる悪魔〜

ビート編だいぶ進んでおります!


ココからは雰囲気を少し変わります。

ビートとサクラの甘く危険で、少し切ない時間が始まります。

ーディルフ邸ー


 ディルフの部屋の前で、サクラは立ち止まっていた。


何をどう伝えればいいのか分からない。

頭の中はぐちゃぐちゃで、息をするのも重い。


自分の気持ちが誰に向いているのか、はっきりしない自分が嫌で仕方なかった。



 ――コツン、コツン。



軽いヒールの音が後ろから近づいてくる。


振り返ると、そこにはにこやかな笑みを浮かべたギルが立っていた。



「サクラ〜、なんか久しぶりだねぇ♡

……部屋、入らないの〜?」



間の抜けたような口調に、なぜか胸の緊張が少し緩む。

気づけば、感情の行き場が見つからず、涙がぽろぽろとこぼれ落ちていた。



「……あー……なるほど?

……なんかあったんだね〜」



ギルは少し驚いた顔をしたが、察しがついたらしく、サクラの頭を軽くポンポンと撫でた。



「ここで突っ立ってても、どーしようもないから〜。中、入ろ?」



涙を拭い、小さく頷く。

ギルは扉を開け、サクラと一緒に部屋へ入った。




「ディルフ〜〜、ただいまぁ〜!」


その声が止まる。


部屋には魔薬酒の空き瓶が散らかり、重い香りが充満していた。



「……え、何この匂い、魔薬じゃんっ」



ギルの言葉が耳に入るより先に、サクラは視界に飛び込んできた光景に息をのむ。


そこには、観ていられないほど荒んだディルフの姿があった。


「……ディ……ルフ、さん……」



 震える声で呼びかけると、ディルフは虚ろな目でサクラを見た。


「……サクラ……

 今朝は申し訳なかった……。サクラに何かあれば、私は……」


 悲しげな表情で呟き、サクラに近づく。

頬に触れようと伸ばされた手を、サクラは無意識に避けてしまった。



「……やはり、あの淫魔と何かありましたね……」


 弱々しい笑み。


「ち、違います! 本当に何も無かったんです!」



「……そうですか……

…サクラの中にあいつ(ビート)の魔力を感じますが……」


 その視線に、サクラは必死で首を振った。



「はぁ〜……超めんどくさい奴になってるじゃ〜ん?♡」


 ギルが呆れたように笑い、サクラを見やる。



「……ディルフさん……ごめんなさい、私……

 自分の気持ちが分からなくて……でも、ビートさんは優しくて、私を護ってくれる……“大切な存在”なんです……」



サクラの言葉に、ディルフの魔力が揺らぐのが分かった。



「……なるほど。サクラさんは彼を“大切な存在”と……。」


少し間を開けて呟く


「…では、…私のところに無理にいる必要なんてありませんよ」



視線も合わせず、そう告げるディルフ。



「……っはははは! 待って、ディルフが嫉妬して拗ねてるのやばいんですけど〜♡」



ギルは笑い、わざとらしく肩をすくめる。



「確かに、こんな状態の保護者様なんて居ても意味ないかも〜?

 ……サクラぁ〜、行こ♡」



ギルはそう言ってサクラの腕を取る。

ディルフは追ってくることもなく、ただソファーに腰掛け、サクラたちに背を向けた。



ーディルフ邸前ー



「サクラ、どーするー?

 ……あっ! オレんち来る〜?♡」


怪しすぎる笑みに、一瞬身がすくむ。

小さく首を横に振る。



「ギル……私、これからどうしたらいいかな」



「ん〜、サクラは本当に悪魔を狂わせる天才だからねぇ〜♡

 何もしないのが一番だけど、周りが“なにか”してくるだろうし……。

 とりあえず今は、一緒にいたい相手と一緒にいなよ♡」


そう言ってギルはにこっと笑い、メイフォンを取り出し、何かを打ち込み始めた。


「まぁ〜まかせてー♡」


数秒後、サクラの目の前に紫煙が渦を巻きだす。

見覚えのある紫煙に心がギュッとする。


…そして、紫煙の中からビートが姿を現す。



「……ギルさん、人使いが荒すぎますよ……

 ですが、またサクラさんに会えて嬉しい限りです」



優しく微笑み、サクラの頬に手を添える。

サクラはその手を、そっと重ねて握った。


胸の奥でぐちゃぐちゃになった感情がまたあふれ、涙が止まらなくなる。


「サクラってほんと泣き虫だねぇ〜♡

 ……もーオレ行くね〜、ディルフのケアしてあげなきゃだからっ♡」



 ――絶対、煽りに行くやつだ。

そう確信しながら、ビートと顔を見合わせて笑った。




結局、サクラはまたビートの屋敷へ向かうことになった。



ービート屋敷ー


色々あったはずなのに、不思議と落ち着く。

何より、すぐそばにビートがいるだけで安心できる。


サクラの心は、確かにビートに向いていた。




そして――ビートとの濃密な日々が、今始まろうとしていた。

ここまで読んで頂きありがとうございます!


久しぶりのギルの登場でしたね。

相変わらず煽る…それが良い。


サクラの気持ちがついに決まった。のでしょうか…

次回はビートとサクラの濃密な生活に入ります。


近く、そして深く2人の距離が縮まります。

お楽しみに〜


X(旧Twitter)にてディルフの魔力解放Ver.載せてます。よかったら見てってください。

プロフにリンク貼ってます〜

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