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GUILLTY  作者: SHin
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第11話〜誘惑の悪魔〜

冥界のクラブ〝HELLS CLUB〟からディルフ邸へ戻ったギルとサクラ。

ビートの淫魔としての危険さ、そして妖しくも魅力的な彼にサクラの気持ちが揺れ出す…?



──ディルフ邸──


 


冥界のクラブ《HELLS CLUB》から帰宅したギルとサクラ。

強烈すぎる体験に圧倒されたサクラは、ふらふらとリビングのソファへ腰を下ろした。


ギルは慣れた手つきでキッチンの棚を開け、スナック菓子を取り出すと、そのまま隣にストンと座る。


 

「きょーは楽しかったねぇ♡……また遊びに行こうね〜♡」


 


「……ちょっと怖いよ……。

ビートさんの近くに居ると、自分が自分じゃなくなっちゃうみたいで……」


サクラが不安そうに呟いたそのとき、ギルはカサリと袋を開け、ひとくち。



「……ギル、それ魔薬入りだよ……」


 

「ゴクン……え?そうだけど?

サクラも食べたいの???」


 

まったく悪びれる様子もなく、ギルはにこにこ笑っている。

サクラの言葉をどこまで理解しているのか怪しい。


 


「……まぁ〜、ハッキリ言って、ビートはやば〜い悪魔♡

相手に“契約させる”のが上手なんだぁ〜」


 


「……契約って、何……?」


 


「ふふっ……なんでも言うこと聞かせられるように、魔力で縛るの♡

エッチなことも、危ないことも、どんなことでも命令されたら拒めない……

ぜっっったい服従ってコトっ♡」


 


「え……」


 


「ん〜…あのクラブのスタッフは、み〜んなビートと契約してるよ〜?」


 


無邪気にスナックを頬張りながら話すギル。

その笑顔が逆に不気味で、サクラは思わず目を丸くする。



「……そんなの、酷いんじゃないの……?」




「ん〜……でもさぁ、サクラもわかると思うけど、

あそこでビートに迫られて、堕ちないヤツのほうが少ないよ〜♡」



「……」


 

「いちばんコワイのがさ、契約したほとんどが、自分から“縛られたい”って……

“ビートさん、契約してください〜♡”ってなっちゃうコト〜!」


 


「……!!」


 


「ま、ビート“は”相手を選ぶタイプだから。

保護対象のサクラと契約することは、ないでしょ〜……たぶん♡」


 


ギルの口から覗く鋭い牙を、サクラはじっと見つめた。

その瞬間、悪魔たちの本性を思い出す。


 


──ガチャ。


 


玄関の扉が開き、人間の姿のディルフが帰ってきた。

部屋に立ちこめる魔薬の香りに、眉をひそめる。


 


「……サクラさん。今日は何事もありませんでしたか?」


 


「は、はいっ!なにごともありませんっ!」


 


勢いよく返事をしたサクラを見て、ギルは腹を抱えて笑う。

ディルフは微笑を浮かべながらも、ギルの腕を引いて別室へ向かった。


 


──別室──


 


「……お前、サクラをどこへ連れて行った。

この魔薬の香り、サクラに付いてる魔力……まさか……」


 

ディルフが問い詰めようとした、その時。



「大正解〜♡ ビートのとこ連れてったよ〜!」


 


「……!」


 


ディルフの顔が怒りに歪むのを見て、ギルは慌てて手を振る。



「っ、まってまって!何もなかったし!

ビートだって、サクラの保護者だし!ただの挨拶がてらだってばぁ〜〜〜」


 


「……あの悪魔は危ない。

審議会での発言も、なにか意図があるはずだ……」


 


「まぁ、そりゃそうだよね〜♡

サクラのこと、狙う気満々だったからねぇ〜……


──あ。」


 


次の瞬間、ディルフの魔力が炎のように広がり、部屋全体を包み込んだ。人間の姿から悪魔の姿に変わり、

ギルに凄まじい圧を掛ける。


妖しい微笑を浮かべたまま、ディルフは一言も発さない。ただ、睨みつける。



「……ごめん……」



ギルがぼそっと謝ると、魔力の圧は引いた。

だが、ディルフの視線の重みは、なおもギルを責め立てていた。


 


──リビング──


 


サクラは心配そうにちょこんと座っていた。

戻ってきたディルフが悪魔の姿に戻っているのを見て、思わずドキッとする。


 


関係を持った時、ディルフは人間の姿だった。

でも、もしこの姿のディルフとそうなったら──。


(……あぁ、考えただけで顔が熱い……)


 


「サクラ〜、今ディルフ見てエッチなコト考えてたでしょ〜♡」



にやにやと近づくギルを止めながら、ディルフは口を開いた。



「サクラさん。ビートという悪魔とはもう会いましたね。

……彼は優しく見えるかも知れませんが、そうやって相手を魅了し、惑わし、壊します。


なので、あなたの保護者であったとしても……彼には、近付かないでください」


 


その最後の一言には、どこか嫉妬が混ざっていた。

思わず吹き出すギル。すぐにディルフに睨まれて、口を閉じる。



「……心配かけちゃって、ごめんなさい」



「今日は疲れたでしょう。もう、休んでください」


 

少し悲しそうな笑顔で、ディルフはサクラを寝室へと送り出す。


 


残った2人は、ソファに腰掛けたまま沈黙する。

ディルフは大きなため息を吐き、心の中で、ドーマに言われた言葉を思い出す。


 


「……城で、なんかあったの〜?」


 


「……いや。なんでもない」




その頃、ビートは自身の屋敷に戻り、書斎にて怪しい笑みを浮かべ、目の前に置かれた魔力玉を観ていた…



静かな夜が、冥界の闇をさらに深く染め上げていく──。


ここまで読んで頂きありがとうございます!


今回はHELLS CLUBから帰宅後のギルとサクラ。

そこに地上から帰宅したディルフの3人で、ビートという悪魔について語ってました〜!


ビートの誘惑にサクラは耐えられるのか?

ディルフの嫉妬と、ビートの今後の動きに期待です…


X(旧Twitter)に登場キャラのイラスト載せてるので良かったら覗いてみてください〜


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