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月のままで

作者: 檸檬
掲載日:2025/07/13

零れおちる月の声が聴こえた気がした


夜空を見上げれば


雨の中 月のレンズがこちらを見ている


(ぎこちない笑顔になっちまう、本当は花のように笑いたかった)


月のレンズはフラッシュを焚いて、雲を透かしてゆく 


どうしようもない雨が屋根を伝うのを


光らせてヒタヒタとせせらぎを写した


山じゃない


海じゃない


鳥じゃない


蝶々じゃない


カラスじゃない


星じゃない


太陽じゃない


神様なんかじゃない


生徒でもない


白でも、黒でもない


何ものでもない


月のレンズがシャッターを切る音がして


卒業アルバムの写真を撮ってゆくのだ


制服姿のわたしの笑顔もきっとぎこちない


(本当は花のように笑いたかった)


その写真を見ながらこれからは


なにものでもなくていいとそう誓った


月のレンズは月の皿に変わった


雨の中、月の皿が光ってみえる


新しき命 なにもないまま なにものでもないまま


ひとりゆくあのひとをみつめながら


街から見える形が変わってゆくだけで


実はなにも変わっていないのだと気づく


月のままで、、さらのままで、、あるがままで、、


雨に洗われ、空っぽになり、ことばを待っている


光が差して花のように笑う月をみたいなと


今日も夜空を見上げる

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― 新着の感想 ―
雨の中、レンズの月と聴こえてくる声、そしてフラッシュを焚くような光が瞼に浮かびました。山や海、星や太陽でもなく、白や黒でもなく。そのレンズから、さらのままの月へと変わっていくところが心に残りました。 …
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