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底辺ダンジョン配信者、干からびたスライムを育成していたらバズって最強コンビへ成長する  作者: 椎名 富比路
第五章 底辺配信者 対 魔族三人衆!

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第42話 魔族三体と決戦

 いよいよ、四層ダンジョンの最深部へ。


「マスターツヨシ、野外ステージの方角に、猛烈な魔力を感じます」


 野外ステージまでの道のりでは、魔物たちがダンスをしていた。こちらに攻撃を仕掛ける様子はない。楽器で演奏をする魔物まで。


「あーここ、パレードのゴールなんだよな」


 昼と夜にパレードがあり、その締めくくりが野外ステージでのショーだったそう。


 昨日まで集めたドロップアイテムで、装備は充実している。しかし、魔族に通じるかどうか。


 野外ステージの中央に、魔族三人が待っていた。配下は、誰もいない。三人だけで決着をつけに来たようだ。


「さすが、今をときめくテイマー冒険者だね。上位ランカーでも、こちらの攻略は避けたよ」


 ヴォーパルバニーのクビポロリが、フンと鼻を鳴らす。


「ムフフ。俺様に怖気づいたんだよ」


 ワータイガーのジャジャが、腰に手を当てて高笑いをする。


「なにを言っているのよ。あたしのダンジョンの仕掛けが解けなかったのが、大半じゃない」


 ジャジャを、ハーピーのピー子がハリセンでドツく。


 たしかに。あんなイジワルな解読法は、ないよ。ボクとワラビじゃなければ、攻略は難しかっただろう。ミミックに溶かされる心配もあったし。


「だが、これからは正々堂々の勝負だ。その方が、お前たちにとっては辛いだろう。ニャフフ」


 ジャジャが、もう勝った気でいる。


「こちらまで上がってこい!」


 ボクたちは、舞台に上がった。


「まずは、俺様からだ!」


 一番手のジャジャが、ボクたちに飛びかかる。


「さあ、一番槍は任せて! コンラッド!」


 ジャジャの爪攻撃を、コンラッドと融合したメイヴィス姫が受け止めた。


「おお。【勇者】の末裔を戦える光栄、しかと噛み締めようじゃないか! ニャフフ」


 メイヴィス姫とワータイガーが、正面から攻撃を叩き込み合う。


「よそ見している場合はないよ!」


 ヴォーパルバニーの蹴りが、ボクの首めがけて襲いかかってきた。


「ジャストガード!」


 ボクは、ジャストガードで弾き返す。


「鳥は任せろ。お前はウサギをやれ!」


 センディさんとコルタナさんが、ピー子の打倒へ。


「はい! ワラビ、こっちへ!」


「やるねえ。でもこれはどうかな?」


 バク転をして、クビポロリがカポエラみたいなキックを浴びせてきた。


「ワラビ、やつの足に絡みついて!」


「承知」と、ワラビがわざとクビポロリに蹴られる。その勢いで、ワラビが液状化した。水アメみたいに、クビポロリの足を拘束する。さしずめ、スライムのトリモチが出来上がり。


「くそ! ならば!」


 手を足代わりにして、クビポロリが跳躍した。ドロップキックで、ボクの首を刈り取ろうと迫ってくる。


「ジャストガード!」


 ギリギリまで引き付けて、ボクはクビポロリをとっ捕まえた。


「くらえ。ジャイアントスイングだ!」


 ボクはクビポロリの身体を、グルグルと回し続ける。


 ウサギは耳がよすぎだ。速いスピードで回されたら、ひとたまりもないだろう。


「それ!」


 舞台の向こうへ、クビポロリを投げ飛ばす。


「ぶはあ!」


 クビポロリが、観客席に突っ込んだ。


 他のみんなはどうなった?


 ワラビを迎え入れて、姫かセンディさんのもとに。


 姫は、善戦している。


 だが、ピー子と戦っているグループは、苦戦しているようだ。


「ピーピーピーッ!」


 ピー子が空を飛び、センディさんたちに氷魔法を放つ。ペンギンの羽根が、やたら大きくなっているではないか。まるでエイだ。


「お手伝いします。ピオン!」


 センディさんとコルタナさんを、ピオンが包み込む。


「あらあ。見た目に反して動きが素早いのね。でも、こちらはどう?」


 無数の氷の矢が、ピオンの身体を貫かんと襲いかかる。


「あなたの動きは、読めています」


 わずかなタイミングのズレを、ヒヨリさんは見定めていた。ピンポイントで一つずつバリアを張り、ピオンを守る。


「バカな。そんなことができるの!?」


 できるんだ。


 ヒヨリさんはピオンの性能を見定め、『バリア系ヒーラー』のビルドに移行している。昨日のうちに、ビルド構成を変えたのだ。代償として、戦闘スキルは外してある。


 格闘で攻撃を弾けるピュアヒーラーのコルタナさんと違って、ヒヨリさんには戦闘のセンスがない。動きも鈍かった。しかし思考力の高さから、相手の動きを読むことには長けている。


「ピオン、ハーブ爆弾!」

「ほーい」


 ヒヨリさんの指示で、ピオンがボム系ポーションを吐き出す。ピオンがいるから、ヒヨリさんは戦闘スキルにポイントを振らなくていい。


 そのピオンも、持っているのは投擲スキル程度である。他は、幸運に極振りだ。つまり……。


「なんでこうも的確に、目を!」


 ピオンの投擲は、ほぼ百発百中なのである。


 目に薬品が入って、ピー子が墜落してきた。


 そこへ、コルタナさんとセンディさんが切り込む。


「ウインドカッターッ!」


「一文字斬り!」


 刃状の風魔法と刀での一撃をもらって、ピー子は羽根をもがれた。


「いたた! ジャジャ! 遊んでないで、合体なさい!」


「そうだよ。ぼくたちは元々一つの魔族だろ!」


 観客席でノビていたクビポロリも、起き上がる。


「ニャフフ。では、我々の本気をお見せしよう。合体!」

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