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底辺ダンジョン配信者、干からびたスライムを育成していたらバズって最強コンビへ成長する  作者: 椎名 富比路
第五章 底辺配信者 対 魔族三人衆!

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第35話 クビポロリのモンスターハウス

 日を改めて、四層ダンジョンである廃墟パークにやってきた。


「このカギに合いそうなダンジョンは、あそこですね」


 お化け屋敷みたいな館を、ボクは見つける。


 扉の前に、ウサギの頭を象った紋章が飾られていた。ボクらが手に入れたウォード錠と、まったく同じ紋章である。


 ウォード錠を、扉の鍵穴に差し込む。


 ギギギィ、と不気味な音を立てて、扉が開いた。


 館の中は、だだっ広い空間になっている。


「ダンスホールか」


 センディさんが、天井にぶら下がっている、大きなシャンデリアを見上げた。


「いかにも、って部屋ね」


 メイヴィス姫が、コンラッドを召喚する。


「よくここまで来たね」


 演奏用の舞台に、クビポロリが腰に手を当てて立っていた。ヴォーパルバニーである。


「僕のモンスターハウスへ、ようこそ。ここのルールは簡単だ。敵を全滅させればいい。魔物を全員倒せたらの話だけど」


 クビポロリが、指を鳴らす。


 ゾロゾロ、と、黒服たちがボクたちを取り囲んだ。みんな頭に、動物のマスクを被っている。


「コボルド、ケット・シー、オーク。揃いも揃って動物型の怪物ね」


 敵の姿を、コルタナさんが分析した。


「まさか、ジャジャの部下が全員捕まっちゃうなんて、思っていなかったよ。四層を突破したものはいるけど、このパークでここまでがんばったのは、キミたちが初めてだ。他の冒険者は、戦闘用ケット・シーを相手にした段階で、尻尾を巻いて逃げたよ」


「世辞はいい。さっさと始めろ!」


 センディさんが、刀を抜く。


「キミたちの実力、見せてもらうよ」


 クビポロリが、舞台から姿を消した。


「危ないから、下がっていなさい」


 コルタナさんが、ヒヨリさんとピオンを下がらせる。特にピオンは、非戦闘要因だからね。


「来るぞ!」


 飛びかかってきたウェアウルフを、センディさんが切り捨てた。


 メイヴィス姫とコンラッドが、手分けして黒服の魔物を倒していく。さすがに、変身はしない。


 コルタナさんが、コボルドたちを蹴りでなぎ倒した。魔物が群がっているのに、一匹もヒヨリさんに寄せ付けない。


「キリがないわ!」


 とはいえ、さすがのコルタナさんでも辛いようだ。


「ワラビ、一気に叩くよ!」


「承知しました。マスターツヨシ」


 ボクはワラビを踏み台にして、天井へ。


 こういうときに有効なのが、シャンデリアだよね。


 天井とつなぐチェーンを切り、シャンデリアを落とす。


 黒服魔物が、一斉に落下地点から飛び退く。


 だが、真下にはワラビがいた。ワラビが、シャンデリアを食べる。


「みんな、障壁を作って!」


 ボクも、シールドを構えてヒヨリさんをかばう。


 身体を大きくしたワラビが、ガラス片を一気に放出した。


 黒服たちに、ガラス片が命中する。


 空や二階の踊り場にいた敵も、ワラビはハチの巣にした。


「たいていシャンデリアを落とすだけが、攻撃手段だったりするが、とんでもねえ作戦を思いつくよなぁ!」


「これだけの数なので」


 これで、黒服共は全滅したようだ。


「上に行く階段を、見つけました」


 ピオンが、通路を見つけてくれたらしい。


 モンスターハウスは、まだ終わらないみたいである。


「多目的ホールだったようですね」


「そのようだな。ツヨシ、おかわりが来たぜ」


 二階に上がると、オーバーオールを着たクマが二匹出現した。


「あれ、クマだよな?」


「あんなに、大きかったでしたっけ?」


 顔はクマなのだが、やけに顔が大きい。腕も、上腕だけがやけに盛り上がっている。


「やってやらああ!」


 センディさんが、相手の脇に飛び込んで袈裟斬りで切り捨てた。


 だが、致命傷には至っていない。しかも、傷口がだんだん塞がっていく。


「くそ! こいつ、【ミュータント】だぜ!」


「なんですか、それは?」


「改造実験で誕生した、魔物の亜種だ」


 こういった怪物は、地球の技術で生まれた。


 しかしダンジョンがなければ、魔物は地球では生きられない。その習性を取り除くために開発されたという。だが結局、実現には至らなかったそうだ。


「ミュータントと言っても、動物の習性を捨て去ることはできません」


 ヒヨリさんが、市販のハチミツ瓶を取り出す。


「それは?」


「ピオンのおやつです。試しにハチミツを……これで、油断してくれたら」


「したがとろけるー」


 ピオンが、ヒヨリさんの指示でハチミツ瓶を投げつける。


 だが、クマたちは瓶を爪でぶっ壊した。ハチミツより、人間の血を好んでいる。それくらい、殺意が高い。


「あーん。とっておきのおやつが」


「仇を取りましょう、ピオン!」


 まともにやりあっても勝てないと思ったのか、ヒヨリさんがピオンに指示を送る。


「眠りの作用を持つ、毒性ガスです。象だって二日は起きてきません」


【ハーバリスト】の知識を使って、クマを弱らせた。


「今です!」


「わかった。喰らえ!」


 ボクはミスリルソードが、クマを倒す。


 二体目は、コンラッドがやっつけてくれた。


「この構造は、どうなっているんでしょう? あんなデカいクマが上に居座っていても、天井が崩れてこないなんて」


「地球の物理法則は、この異世界では通用しないわ」


 ヒヨリさんのもっともらしい疑問を、メイヴィス姫が一言で返す。

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