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底辺ダンジョン配信者、干からびたスライムを育成していたらバズって最強コンビへ成長する  作者: 椎名 富比路
第四章 配信上位勢の仲間入り!?

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第30話 二次職にジョブチェンジ

 自分の毒ブレスを反撃され、大蛇が呆気にとられた。


「今だ!」


 ボクは風のエンチャントを施したまま、大蛇の首をはねる。

 大蛇の肉体が崩壊し、アイテムだけを落とした。


「ふう! ひい! 危なかったぁ」


 着地した途端、ボクの足から力が抜ける。


「なにをしているんですか、ツヨシさん! あんな危ないマネを!」


 ヒヨリさんが、ボクを叱った。


「でもこうでもしなければ、みんな毒にやられていたし」


 そう。物理攻撃に対してしか、【ジャストガード】はまともに発動しない。普通は。


 しかし、ここで逃げたら、みんなにブレスがかかってしまうんだ。


「わたしたちは、ヒーラーです。多少の毒は、自力で治療できます。ツヨシさんだって、直せますよ。それなのに、わたしたちをかばってムチャを!」


 ムチャだなんて、思っていなかった。


「ボクは、ワラビを信用したまでさ」


 エンチャントが必ず敵の特殊攻撃を弾くって信じていただけ。


「どこまで、絆で結ばれているんですか。まったく」


 ヒヨリさんが、ため息をつく。


「ですが、マスターツヨシ。今回の攻撃はワタシの関与は低いと思われます」


「そうなの?」


「はい。ミスリルのブロードソードだったから、あの攻撃を跳ね返せたと、ワタシは分析します」


 並の武器でマネをしたら、毒ブレスがエンチャントをすり抜けていたのか。そう考えると、ゾッとするね。


「ほらあ! やっぱりムチャじゃないですか!」


「あはは」


 これは、反省すべき点だな。 

 


 

「ムチャはいけません。ツヨシさん」


「はい。心得ます」


 受付の石田さんにも、ボクは大目玉を食らう。


「このダンジョン攻略は、配信されています。変な行動をすると、マネしちゃうんですよ」


「そうですね。ごめんなさい」


 たしかにヒヨリさんも、「ボクをマネしてテイマーになった」って言っていたっけ。


 底辺配信者だった頃なら、ボクが何をしたって誰にも影響がないと思っていた。今は違う。軽率な行動を取れば、周りに迷惑がかかるんだ。 


「ですが、ツヨシさん。あなたのムチャがデフォルトで発動できる、いい作戦があります」


「と、申しますと?」


「転職です。四層からは、上位二次職が解禁されるので」


 よく考えたら、ボクは初期に選んだ【ソードマン】のままだったっけ。そこで、サブ職に【テイマー】を選んだだけだった。


 コルタナさんは【バトルメイジ】を得た。魔法だけではなく、格闘もこなす。


 センディさんは、【ソードマスター】という【サムライ】の上位職に。


 ふたりとも、もう四層へ行く準備ができていた。


 メイヴィス姫は、既に四層に到達している。【プリンセス】というジョブは、四層に到達した証なのだ。


「それでも、かなりの鍛錬が必要だったのよ」


 当時の苦労話を、メイヴィス姫が語る。


「ツヨシさんの実力ですと、【バトルメイジ】か、【ルーンナイト】ですね」


 バトルメイジは、格闘もこなす魔法使いだ。【魔法拳】という徒手空拳が使え、前衛もこなせる。が、防御は心もとない。また、重い装備に制約がかかるという。


 対してルーンナイトは、戦士の筋力を損なわず、魔法を使える。【魔法剣】というエンチャント攻撃が、デフォルトで扱える職業だ。 


 ミスリルの剣を扱いたいから、ルーンナイトかな。バトルメイジは、装備面が薄い。上級者向けかなと。


 ボクはただの【ソードマン】から、【ルーンナイト】の転職を試みる。


「では、この赤い宝石をスタンプしますね」


 赤い宝石でできたスタンプを、石田さんがボクの手の甲に押す。これでボクの体内にいるナノマシンがより活性化し、ルーンナイトの肉体に最適化されるという。


「ワラビはどうすれば?」


「ご心配なく。ナノマシンの影響、特にシンクロ率などは、ワラビちゃんに通信で伝わっていますよ」


 ボクの強化に共鳴して、ワラビも強くなるそうだ。これは、驚きのテクノロジーである。


「ヒヨリさんですと、【ハーバリスト】と【テイマー】ですから、【シャーマン】などがオススメです」


「シャーマンですか」


 自然を味方につける、上位職だという。こちらも、テイムの能力も損なわない。それどころか、モンスターに魔力付与を施して強化するスタイルだという。


「これは、ピオンも強くなる職業ですね。これにします」


 ヒヨリさんもスタンプを押してもらい、シャーマンに転職した。つまり、ピオンも強化されるわけである。


「ピオン、どうかな?」


 ヒヨリさんが、ピオンに話しかけた。


『うひょー。わがはい、いいかんじー』


 なんと、ピオンが言葉を話す。まだカタコトだが、変な個性がついた話し方である。


「ピオン、かわいくなったねぇ」


「はい。愛着が湧きました。


 ピオンが話せるようになって、ヒヨリさんもうれしそう。


『かわいさ、みずましー』


 ちょっとこの子は、言葉を間違えているけど。


「では、四層のあるダンジョンへの出入りを許可します」


「そのダンジョンは、どこにあるんです?」


 これまでボクたちが挑んだ三つのダンジョンは、三層が上限だ。最難関の遺跡でも、三層までしかない。


「廃棄された、アミューズメントパークです」


 そこは、いきなり四層からスタートだという。

 

(第三章 完)

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