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底辺ダンジョン配信者、干からびたスライムを育成していたらバズって最強コンビへ成長する  作者: 椎名 富比路
第四章 配信上位勢の仲間入り!?

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第27話 ヒヨリ、定住決定

「改めて、ヒヨリです。普段はハーバリストとして、薬草からポーションを作っています」


 正式に、ボクのパーティに加わったことを、センディさんたちに告げる。


「今後の方針なんですが、こちらの畑を最大活用していただこうかな、って」


 ヒヨリさんは、戦闘職じゃない。ならば、ここでずっとポーション作成に勤しんでもらうのがいいかなと考えた。


「つまり、ツヨシがヒヨリを雇うって感じだな?」


「はい」


 ボクがヒヨリさんの代わりに、ポーションの素材になりそうな薬草を持って帰る。


 報酬として、ボクは薬効入りの野菜をもらう。


「いいですね。わたし、畑のお世話もします」


「ヒヨリさんが畑を見てくれるなら、心強いです」


 ワラビも、ヒヨリさんの提案に賛同した。


「そっか。あんたもテイマーだよな? このままだと、身柄がギルド預かりになるってわけだ」


「そうだったわ。大変ね」


 センディさんとコルタナさんが、ヒヨリさんを心配する。


「ええ。けど大丈夫です。酷いことはされないと思いますから」


 そうはいうが、ヒヨリさんの目は不安で曇っていた。


「いっそのこと、ふたりともこっちに住んだら?」


「え!?」


 コルタナさんが、とんでもない発言をする。


「いいな、それ。たいてい生産職と戦闘職ってのは、一緒に暮らすもんだし」


「そうなんですか?」


「ああ。オレと嫁はそうだしな」


「え、センディさんって、既婚者だったんですか?」


「おう。ガキがもう中二だ。万能病にかかってるよ。『自分は魔法使い』だって、イキってる」


 センディさんは、防具職人のアルケミストと結婚して、お子さんまでいるそうだ。


「私も、孫がいるわね」


 マジですか、コルタナさん。


「あたしも一応、婚約者がいるわ。だから、殿方と一緒に暮らすのは、気が引けていたのよね」


「ではメイヴィス姫様、うちにいらしてください。子どもが独立して、手持ち無沙汰でしたので」


「そうね。お世話になるわ、コルタナ。このお家には、転送魔法ですぐに来られるし」


 というわけで、今後メイヴィス姫は、コルタナさんが面倒を見ることに。


 いやいや、感心している場合じゃない。


「大丈夫なの、ヒヨリさん!?」


「わたしは、その方が楽ですね」


 割と、ヒヨリさんは肯定的だ。


「ツヨシさんがよろしければ……」


「もちろん。OKです。でも本当にいいの?」


「ギルドに監視されるよりは、気心のしれた方とご一緒したいです」


「ありがとう」


「というか、わたしが、というより……」


 ヒヨリさんは、ピオンに目を向ける。


「ピオンがこちらの畑を、いたく気に入ったみたいですので」


 もうピオンは、この畑に根を張ってしまったみたい。すごい食いつきようだ。


「ワラビが整地してくれたこの畑、気に入ってもらえてよかったね」


「ありがたいことです」


 ひとまず、一旦ヒヨリさんにはダンジョンについてきてもらう。


「どの薬草がいいのか、説明してもらえる?」


「いいのですか? レベル上げの最中ですよね?」


「ヒヨリさんのレベルアップのほうが先だ」


「わかりました」


 ピオンを連れて、薬草を探知する。


「ヒヨリさんは、後ろにいるだけでいいからね」


「はい。あ、ピオンが向かった先に、希少の薬草反応があります」


「OK。あっちだね?」


「ええ。ただ魔物もいるので、お気をつけて」


「心得た。ワラビ、気を引き締めよう」


 イノシシ型の魔物が、ワラビに向かってきた。ヒヨリさんたちからしたら、怖いだろう。でも、ボクなら大丈夫。


「ワラビ、二人を守ってね」


 ボクは単騎で、イノシシモンスターに挑む。


「お一人で平気なんですか?」


「いいから! いざとなったら、回復魔法を撒いて!」


「はい!」


 ヒヨリさんが、緊急時に備えて杖を構えた。


 ボクだって、強くなる必要がある。いくらこの階層のボスさえ的ではないとはいえ、それはワラビがいてこその話だ。

 ボクはまだ、ワラビに頼らないと弱い。自分で戦う手段を見つけないと、せっかくセンディさんが打ってくれている剣もムダになる。


「マスターツヨシ!」

「うわ!」


 考え事をしていたら、イノシシに突撃された。紙一重でかわしたが、足を取られてしまう。


 フーフーッ、と、興奮したイノシシがボクに狙いを定めた。


「来るなら、来い!」


 ボクも立ち上がって、威嚇する。剣を地面に水平にかざす。


 イノシシが突撃した瞬間、ボクは上に飛び退いた。闘牛の容量で、相手を刺して上に逃げる。跳び箱のイメージだ。イノシシなら、飛んで逃げたほうが正確だろう。


「はあ! はあ……」


 ボクは、イノシシが絶命したのを確認した。


「平気ですか、マスターツヨシ!」


「大丈夫だ……痛っ!」


 ボクはヒザを崩す。言ったそばから、このザマだ。


 念のためと、ヒヨリさんが回復魔法をくれる。


「ありがとうヒヨリさん」


 思っていたより、足の傷がひどかった。ヒヨリさんやワラビがいなかったら、化膿していたかも。


 ピオンが、薬草を持って戻ってくる。


「おかえり、無事だったか?」


「自分のケガをきになさってください、ツヨシさんっ」


「いやいや。ほら」


 自分も役に立ちたいのか、ピオンもできるだけ魔物を退治していた。


「彼も、なにをすべきかわかっているんだ。がんばっているんだね」


「はい。ありがとう、ピオン」


 ヒヨリさんが、ピオンの労をねぎらう。


 ギルドに戻って、石田さんに報告をする。


「承知いたしました。ではヒヨリさんの住居は、ツヨシさんの農村へ移ると」


「はい。お願いします」


「わかりました。ですが、お気をつけください」


「なにか、あったんですか?」


「ギルドのテイマーに対する監視が、より強くなる可能性があります」

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