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底辺ダンジョン配信者、干からびたスライムを育成していたらバズって最強コンビへ成長する  作者: 椎名 富比路
第三章 姫とコラボで、またバズる

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第17話 滝裏のダンジョン

 ボクたちが今日向かうダンジョンは、滝の裏にある洞窟である。


「日本にも、滝裏にダンジョンとかあったんですね」


 ファンタジー世界だけの話だと思っていた。


「滝の裏って、こんな感じになっていたのか」


 滝の内部は、立派な鍾乳洞である。落ち着いた場所は、モンスターの棲家になっていた。ピチャンピチャンと水が滴り落ちて、穏やかな雰囲気なのに。


 ダンジョンは狭く、召喚獣のコンラッドなどは窮屈そうだ。


 ワラビはサイズを小さくして、ダンジョンの狭さに対処する。壁を足場にして音もなく忍び寄り、壁に張り付いているクモ型やトカゲ型モンスターを飲み込んでいく。すごい戦い方をするなあ。敵として現れたら、ホラー映画だよ。


「監視役は、排除しました。しかし、そのせいで侵入はボスに筒抜けでしょう」


「ありがとう。ワラビが敵じゃなくて、よかったよ」


「出会ったときから、マスターツヨシからは敵意を感じませんでした」


「そうかい? ありがとう」


 干からびかけていた体を見て、ボクはワラビに同情してしまったんだ。自分と重ね合わせて。今のワラビは、こんなにも頼もしい。


「ボスが知っているなら、暴れるまでよ! コンラッド、本気で行きましょう」


『仰せのままに』


 正体を隠すこともなく、メイヴィス姫とコンラッドが力の限り暴れまわる。


 虚無僧の姿をしたガイコツが、姫の背後に迫ってきた。


 肩を掴まれたメイヴィス姫が、杖に電気を走らせ振り回す。


「このこの! 【ライトニング・スマッシュ】!」


 メイヴィス姫は僧侶型ゾンビを焼き尽くした。


「あたしは、肉弾戦だってできるんだから!」


「まだ甘いです、姫」


 同じような【ライトニング・スマッシュ】で、コルタナさんが三体同時に魔物を撃退する。


「ボス部屋が近いみたいね」


 鍾乳洞を抜けると、仏像だらけの場所に出る。東西あらゆる神様の像が、乱雑に置かれていた。どこからか盗んできたわけじゃなくて、レプリカだろう。しかも、人間が作れる造形ではない。明らかに、魔物の手がかかっている。モンスターがムリヤリ作ったかのような、雑さと繊細さがあった。


「私が知っている情報と、違うわ。ここのボスは、大蛇だったはずよ」


 しかし、蛇の姿はない。


「像があるなんて情報も、ねえよな」


「滝のそばにある仏像なんかは、遠足とかで見たことがありますけど。見てください」


 東南アジアで見るような、アルカイックスマイルの像が。この像は、他と比べて一際大きい。


「あの像なんて、大きな蛇を身体に……ってあれホンモノです!」


 ボクが巨大な像を指差すと、センディさんが刀に手をかける。


 紫色の蛇が、像にギリギリと巻き付いた。あれがボスか。


「来るぞ……?」


 蛇は、仏像の心臓あたりに噛みつく。血のような液体が、像に流れ込んでいった。


「あれは、魔力だわ。蛇が、自分の魔力を仏像に流し込んでいる」


 金箔で覆われた像が、立ち上がった。同時に、蛇が墜落して絶命する。蛇が仏像に、自分の命を分け与えたのか。


「どうやら仏像が、今回のボスみたいだぜ」


 仏像がこちらを認識して、攻撃を仕掛けてきた。先端が丸い棍棒から、雷を発生させる。


「なんの! ライトニング・スマッシュ!」


 メイヴィス姫が、雷を打ち返した。雷撃による打撃って、攻撃するだけじゃないのか。


 雷が足の関節にヒットし、バチッと音を立てる。


 あれは、機械かな? 


 しかし、仏像にはたいして効いてないみたいだ。蹴りで、ボクたちを分断する。


『作り物同士、堂々と参ろうぞ!』


 召喚獣のコンラッドだけが、孤軍奮闘した。三倍はある体格差を、ものともしない。


 とはいえ、押されているのは確かだ。メイヴィス姫やコルタナさんが魔法でバックアップするも、ボスに決定打を与えられない。


「あいつだけ、肉体の構成が違いすぎる。関節から、機械が覗いていているだろ?」


「ホントですね」


 相手は、機械仕掛けのモンスターのようだ。


「あそこに、オレが雷を流す。ツヨシは像の動きが止まったら、切りかかってくれ!」


「わかりました!」


 センディさんが、コンラッドの脇をすり抜ける。刀に、雷魔法を付与した。仏像の剥き出しになった足関節に、刀を突き刺す。


 内部から感電して、仏像が足を止めた。


「ツヨシ!」


「はい。いくよワラビ!」


 ボクは、ワラビをローブにして、跳んだ。


 ワラビはエクストリームスポーツのウイングスーツみたいに変化する。高速で飛行し、仏像の正面で飛び上がる。


 像もボクを捉えようとした。けど鈍重な巨体では、ワラビの速度に追いつけない。


「マスターツヨシ、やつの弱点は、眉間の目です」


「よし!」


 やるなら、ヒザをついている今しかない。


「ワラビ、いくよ!」


 ボクは、ワラビをヘルメットに変形させた。飛んでいた勢いで、仏像のアゴに頭突きを食らわせる。ダメージなんて、なくていい。ただ、上を向いてもらうだけで。


 仏像が顔を上げた状態で、上空にいるボクを見上げていた。


「もう一度、ローブに!」


 ワラビに変形してもらい、ボクは弱点を確認する。眉間に向けて、剣を突き立てた。


「剣の根本に取り付いて、速度を上げてくれ!」


「はい、マスターツヨシ」


 ワラビが、ボクの剣の重しになる。


 ゴン、と、音を立てて、ボクは仏像の眉間を貫いた。


 巨人の腕が、だらんと垂れ下がる。どうやら、勝ったみたい。


「はあ、はあ……ん?」


 洞窟の奥に、逃げていく人間の足が見えた。追いかけようとしたけど、すぐに気配が消える。


「また、ゴーレムがボスでしたね」


 だんだん強くなっているのが、不気味だ。


「さっき、逃げていく人影を見ました」


 センディさんに、ワラビが報告をする。 


「そうか。これはアルケミスト……錬金術師が絡んでいるかもしれねえ」


 刀をしまって、センディさんがつぶやく。

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