シストの好きなところ
「で?ミーナ嬢はシストのどこに惚れたの?こいつの顔?権力?執着心、いったぁっ!!」
シストの暴走を無視したシモーネが、ひとつずつ指を折りながら選択肢を提示した。
3つ目を言ったところで、机の下で足を思い切り蹴られていた。
ミーナは、シストの好きなところを思い浮かべて1人で顔を赤くしている。
隠すように両手を頬に添えると、フランカに目で訴えた。
『もうこれ、私の気持ち言って良いよね!?』
『もう好きになさいっ!!』
フランカの言葉(目)に、ミーナのタガが外れた。もじもじとシストの目を見て、口を開いた。
「その…シスト様のお顔が大変素晴らしくって、ずっと眺めていたいほど大好きでして、その美しい髪も、キラキラと輝く瞳も、色気のある薄い唇も、その全てに心を奪われておりますの。そのお声も、気品のある所作も、時折見せる強気な態度も、もう何もかもが完璧で、私の理想が具現化したようなもので、華奢に見えるのに実際は筋肉質なところとか、たまに見せる怪しい微笑みとか…」
「…そこまで!」
次々と日の目を見るシストへの熱い想いに、胸焼けがひどくなってきたフランカは、慌てて止めに入った。
一番聞きたがっていたクセに、想像以上に出てくるシストへの愛に、シモーネは顔を引き攣らせていた。
さすがの彼もミーナが本気であることが分かり、茶化すことが出来なかった。
「ミーナがそんなに僕のことを…ああどうしよう、どうにかなってしまいそうだ。こんなことがあって良いものなのか…何年もの間希ってきたことなのに、いざ目の前にすると、どうして良いか分からなくなる…」
「どうにかなってしまえ。」
目に涙を溜めて歓喜に沸くシストに、シモーネは冷ややかな声をかけた。
イチャイチャしているようにしか見えない二人に苛立ちを隠せない。
反対に、ミーナの気持ちを聞く機会を与えてくれたことに、シモーネへ感謝の念を抱いていた。
「フランツ嬢、これでいいのか…?」
「もう本人達の好きにさせるしかないじゃない。私には止められないわ。貴方は出来るの?」
「…無理だな。というか極力近づきたくない。変な流れ弾をくらいたくないし。」
「同感だわ。」
四方八方に幸せな花を撒き散らしながら熱く見つめ合う2人に、フランカとシモーネはもう何も言えなかった。
「口直しがしたい…」
「…そうね。ソルベとかでサッパリさせたいわ。この近くにお店あるかしら?」
「ああ。若干距離があるが、停めてある馬車を使えばいい。…あいつらのことは知らん。」
「あの熱量があればきっとどこまででも二人で歩いて行けるわよ。ミーナは脚力あるし、大丈夫だわ。」
ミーナとシストのすぐ隣で身も蓋もない会話をする二人だったが、ミーナ達が気づく様子はまるでない。
ようやく確かめ合った互いの気持ちに、今はそれどころではなかった。
親友の極上の笑顔に、フランカは呆れる気持ちを通り越して、嬉しい気持ちになっていた。
『後は任せたわよ。』
『ああ、もちろんだ。必ず幸せにする。』
席を立つ間際、視線でシストに圧をかけたフランカ。返ってきた彼の真摯な眼差しにホッとした顔を見せた。
軽い足取りで、シモーネとともに店を後にした。
これにて本編完結となります!予想以上に早くミーナが陥落してしまったので、ここまでとなりました笑
短いお話ですが、ここまで読んでくださった方ありがとうございました!!




