表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/36

学園生活の始まり②


傲慢な考えとは思ったけど、僕に群がるであろう女子生徒を彼女に見せたくなかった。だから、僕は女子寮まで迎えに行くことにしたんだ。


うまく避けたつもりだったのに、なぜか僕の周りには女子生徒の人だかりが出来てしまい、彼女達から逃げるように女子寮の敷地内へと足を踏み入れた。


本当は男子禁制で罰せられる事項であったが、そんなこと、僕にはどうでも良かった。



早くミーナに会いたい…



その一心だった。

幸いなことに、敷地内に入ってすぐ、僕は向こうから歩いてくる彼女を見つけることが出来た。


冗談でも比喩でもなく、彼女の周りにだけ光が差したような神々しさがあった。

そして、彼女を視界に入れた途端、やかましかった女子生徒達の黄色い声が消え去った。


目の前を歩く彼女。


それしか目に入らない。

彼女以外の全てが色を失った。

周りの音も耳に入らない。

そんな中、自分の鼓動の音だけがやけに大きく聞こえた。



早く、声を掛けなければ…



そのために来たのに、中々声が出なかった。


『緊張するな、不安がるな。震えないように、澱まないように、いつもの人好きのする話し方で話せ。』


自分の中で叱咤した。

情けないことに、そうでもしないと声が出せなかったから。


僕は、全身の力を使って、声を振り絞った。



ー どうか、いつものように話せていますように。



『おはよう、僕のミーナ。』







は… ぼ、ぼく、僕のミーナ…??


ちょっ、ちょっと待って!!!!!!!!!無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!こ、心の準備が………!!!!!顔が良くて声も素敵だなんてどういうことよ!!!い、意識が…意識が飛ぶ……


そんな素晴らしく整ったお顔で私を見ないで!!まぶし過ぎて目が痛いっ!!!でも、見たい!!え、、、どうしようどうしようどうしよう…………


とりあえず、私も好きですって言えば良い?

それとも、結婚してください??

なんなら、キス&ハグ???


ああもうどうしようっ!!私はどうしたらいい??

フランカ〜ッ!!!!



パニックに陥りながらも、なんとか意識を保ったミーナは、縋る目でフランカのことを見た。



「ミーナ、特訓を思い出すのよ!このまま飽きられてもいいの?」


フランカは、ミーナにしか聞こえないように小さな声で囁いた。




え…やだ、嫌だ。飽きられたくない。

それだけは絶対にいや。


そうだ、ちゃんと追いかけたくなる女を演じないと…




フランカの言葉で我に返り、心を決めたミーナは、バレないように小さく深呼吸をした。



『大丈夫、大丈夫。あんなにたくさん練習したんだから。さぁ、思い出すのよ。』


 


「おはようございます、シスト様。」


ミーナは、先ほどまでの脳内大混乱が嘘だったかのように、顔を赤らめることもなく、優雅な微笑みとともに、余裕たっぷりに挨拶を返した。


自分の言葉に、ミーナは絶対に動揺を示すと確信を持っていたシストは、彼女のあまりの反応の無さに内心驚いていた。

が、そんなことは微塵も態度には出さない。



「ミーナ、僕のことはシストと呼んで。言葉遣いも気軽なものでいいよ。僕たち、婚約者同士なんだから。ね?」


『婚約者』の言葉を強調すると、首を傾け、ミーナの顔を下から覗き込むように微笑み掛けた。



「まぁ、私達はまだ婚約中の身ですのよ。周りの方の目もありますし…あまりに馴れ馴れしいのは気が引けますわ。どうか、シスト様と呼ばせて下さいまし。」


ミーナは、有無を言わせぬ笑顔でにっこりと微笑みを返した。だが…



そんな、呼び捨てだなんて、、、


絶対に無理だからーーーーーーーー!!!

言葉にするたびに照れちゃうニヤけちゃう想像しちゃう…深い仲になった恋人同士みたいで…きゃああああ!!!やっぱり無理!!そんなの耐えられない!!私には100億年早いわっ!!!!!



内心は荒れに荒れていた。

そんなミーナに対し、フランカは、よく耐えた!と言わんばかりに、ぐっと拳を握っていたのだった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ