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オストリーバ興亡史~ある転生辺境伯の生涯  作者: 八島唯
クリューガー公国との戦い
33/50

『ワルグシュタットの戦い』-3

 ローベルトの視界に入ってくる、公太子連合軍の本隊。どうやら新式の銃歩兵部隊らしい。こちらに銃口を向け、横陣を組んでいる。それほど陣容は厚くない。

 ローベルトは決心する。

 新式の兵器には欠陥がある。それは連続発射が効かないということ。

 何かしらの技術革新イノベーションにより、騎兵の装甲を打ち破るほどの破壊力を手に入れたようだが、その欠陥だけはなんともしようがないはずだった。

 実際、第二弾が遅すぎた。

 それに望みをかけ、胸から血が滴る状態で残余の騎兵を引き連れ突進するローベルト。

 銃口から黒い煙がたなびくのさえ見える、その距離に一気に詰める。

 二度目の勝利を確信した瞬間――

 おびただしい破壊の洪水が、彼らを襲う。

 至近からの第二波。両側の騎士が落馬し、馬も崩れ落ちる。ローベルトの槍も真っ二つにーー

「こんな......こんな......!」

 腰の剣を抜くローベルト。血まみれになり単騎、敵陣への特攻を企てる。


 馬上に器用に立ち、その状況を見つめるカレル。スカートが風に舞う。細い狙撃眼鏡がローベルトの顔をロックオンする。眼帯がぴくりと揺れる。

 次の瞬間ーーローベルトの眉間に『魔弾』が吸い込まれる。

 完全な静寂。銃歩兵の前には馬と騎士たちの死体が累々と折り重なっていた。銃歩兵隊自身がつばを飲んでそれを傍観する。

「ハルトウィン様、いや連合軍総帥公太子閣下に伝令を――」

 それを遠眼鏡で確認したカレルが、副官にそう冷たく告げる。

「中央銃歩兵の任務は終了しました。あとは、両翼の努力を期待します、と」

 少しの間の後、副官が応答し騎馬にて戦場を離脱する。

「次のフォーメーションを。銃歩兵隊は三発の『魔弾』の準備。更に、魔力を消耗しきった者は余裕のあるものから供与を受けるように」

 テキパキとカレルは指示を下す。

 その手には、残余一発の『魔弾』が怪しげな魔力を放ちながら握られていた。

 カレルによる『戦法』の改良。

 まずは、銃口から火薬を詰める時間の短縮のために、火薬を炸薬量に小分けして乾燥した羊の腸の袋に包みカートリッジ形式にして装薬時間を半分にした。

 あわせて『魔弾』のストック化。戦闘が始まる前に、魔法力の強い兵士や騎士を後方に待機させ『魔弾』を生成させる。それを魔法術の封印のかかった、革袋に封じ込め前線の兵士にリレー輸送する。

 直前に直接魔法力を込めた『魔弾』と威力は比較すべくもないが、通常弾丸よりは遥かに強力で、この世代の騎兵装甲であれば十分貫通可能な威力を持っていた。

 そして、『狙撃兵』の配置。訓練で魔法力と射撃術に秀でたものをピックアップし、やや後方に配置した。もたせた銃はカレルと同様の狙撃眼鏡をつけた急造の狙撃銃である。

 これで、名の有りそうな華美な鎧をつけた騎士をピンポイントで狙撃することにより、敵の指揮系統を破壊する。

 基本カレルの発案であったが、細かい運用などについてはイェルドの手が入っていた。


 これで敵、クリューガー公の主力騎兵部隊千騎は壊滅する。しかし、まだ左翼右翼に四千近くの通常戦力を保有している。それに対して連合軍は三千。いまだ、戦力的優位はクリューガー公の手にあった――

 次の戦略――総参謀イェルドは馬上より次の一手をよどみなく指揮する――

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