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オストリーバ興亡史~ある転生辺境伯の生涯  作者: 八島唯
クリューガー公国との戦い
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『ワルグシュタットの戦い』-2

 どうどう、と無人の大地を行く一千ものクリューガー公騎兵隊。神聖オストリーバ帝国でも精強をもってなる、強力な部隊である。

 それを指揮するのは若き将軍ローベルト=スヴェラーク少将。

 自ら先頭に立ち、突進を指示する。

 考えなしの突撃ではない。ちゃんと、公太子連合軍を包囲殲滅するプランを抱いての計画的な突撃である。これが成功すれば地上から公太子の軍は消滅するはずであった。

(しかし......)

 彼の中によぎる疑問。印象は薄いが、それほど権力欲が強い公太子ではなかったはずだ。背後に誰か黒幕がいることを考えたが、その存在にもたどり着かない。あえて言うならゼーバルト辺境伯――ハルトウィンであるが、田舎領主がこれほどの組織力を有しているとはこの段階では、思いもつかないローベルトであった。

 先頭集団が、敵中央部の重装歩兵集団に到達する。投槍が地面にいくつも突き刺さる。

 首を横に振るローベルト。今はまず戦いに勝利することだ。仔細はおっていくらでも調査することができる――と自分を納得させて。

 重装歩兵を一撃で蹴散らす。あまりにもたわいのない反撃。ほとんど無傷のまま、中央部へとどんどん切り込んでいく。

 しかし目の前にあらわれる障害物。木を交互に組み、先をとがらせてある柵が横に長く続く。

 いわゆる馬防柵らしい。それを難なく飛び越える騎馬隊。これがあるということは、この先に待ち構えているのは多分弓の部隊であろう。もしくは最近実用化された銃の部隊かもしれない。どちらにせよ、この厚い人馬ともの鎧を打ち抜くことは不可能なはずである。

「先行部隊、火魔法術を槍に込めよ!さらには魔法結界の発動!念のためではあるが敵の魔法術攻撃を無力化する!」

 ローベルトの命令。もし敵に結構な数の魔法司がいたとするならば、厄介である。もっとも帝国ですら魔法司を一個中隊そろえるだけで、一年分以上の軍事予算を消耗してしまうほどだ。公太子連合軍にそこまでの余裕があるわけが――

 激しい金属音。

 そして、ローベルトの隣についていた副官の騎士がもんどりうって、馬から激しく落馬する。馬も鎧が破壊され赤い血が舞い上がる。

 一頭だけではない。

 雪崩のように騎兵部隊の騎兵たちが次から次へと『打ち砕かれる』。何かの魔法ではなく――強力な物理力――そうモーニングスターの一撃でも食らったように。

「何!?」

 そう口に出した瞬間に、ローベルトの胸甲にも激しい一撃。それを反射的にそらしてダメージを回避する。

 気が付けば騎兵部隊の前衛部隊が何かしらの被害を受けていた。

 彼らはまだ知らない――新たな兵器『魔弾』の存在を――

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