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食卓に散る怒り

木で作られた質素な家の台所、丸いテーブルを囲むようにセットされた椅子にかけるのは、先程酷い目にあったカルアとその父親、そして雪菜にとらきち。


せめてものお礼と言うことで白米と鹿肉、野菜炒めが振る舞われていたわけだが、カルアの表情は暗いまま。


しかしそんな事は全く気にしていない雪菜は食事にありつけてご満悦で、この家族の生活が今日を凌ぐのにも大変だという事実さえ関係がない。


というか、貰い物を貰うときに遠慮をしてはより失礼にあたるとばかりに心からの笑顔で振る舞われた料理を一心不乱に食べていた。


会話を交わすのは、主にとらきちと父親、そして料理を振る舞ったその妻である。



「申し遅れましたが、私はルーマンと申します。こちらが妻のミカン、そして息子のカルアです。」


「ご紹介に預かりました妻のミカンです。我が子を助けてくださり、どれだけ感謝を尽くしても足りません。本当にありがとうございます」


「いや、はい。いいです。ぜんぜん、それは。」


「こんな事でしかお返しできず申し訳ないです。本来なら武人様には多額の」


「あー、いやそんな別に依頼されたわけでもないですし、はら減ってたんでめっちゃありがたいっす」


「ですがお二人がいらっしゃらなかったと思うと・・・失礼ですが、お二方は有名な霊素武人様なのですよね。淡白DEVILをおやめになったとかの」


「あ、はい。まぁ」


「もし、もしお二方のような霊素武人様に守っていただけたなら、私達ももう少し安心して暮らせるのですが・・・」



とらきち的にはあーなんかその話は正直めんどくさいなーと思わなくもないが、淡白DEVIL構成員は原則先程のような態度を取る者が多い。


その要因として当主Happyの「弱肉強食、やりたい放題」という厨二病にぶっぱされた基本方針があり、霊素武人の中でもそういう思想に一種の憧れと高揚感を覚える者が集まっている。


もちろん全員がそうというわけではなく、幹部の中には人格者もいるが、少数派。


ともすれば、淡白DEVILが幅を利かせるこの辺一体での暮らしにおいて、先程の理不尽なカツアゲのような強制行為は頻繁にあり問題と化している都合、この家族、この村の事情も察して然るべきだろう。



「まー、さっきのはやり過ぎっすね。あれはダメだわ」



とはいえ、淡白DEVILの縄張り内であるメリットもないわけではないどころか、むしろ多いと言える。


みかじめ料を支払う代価として魔物からの脅威や他の武力集団による侵攻からは守られている上、暮らし自体も良いとは言えないが悪くもなく、最低限の配給などもされている。


そのあたりの取引自体は正当な取り決め、常識の範囲内で行われていた。


問題はその武力を背景に自分勝手な問題行動を起こしがちな構成員の質だろう。


彼らが縄張りを守るのも利益や調和を考えてではなく、魔物狩りや他勢力との勝ち戦が楽しいからだ。


ゆえに領地内の住民への態度も極めて悪く、労働力や人的資源の重要性を知る幹部の中には注意喚起する者もいるが、あまり功は奏していない。



「どうにもならないのでしょうか」


「うーん、キツイっすね」



どうにかするには淡白DEVILを落とす・・・というより正確には当主Happyを退けるか、当人が考えを改めて声明を出すしかない。


しかし武力的に淡白を制圧出来る可能性を秘めた勢力は同じ三大派閥の「雨組」「狂」を除いて無く、淡白内部においても支持の厚いHappyを改心させるのは無理だ。



「おまえら霊素武人みたいなのが、いなきゃよかったんだ」


突如、カルアが口を開いた。


「おまえらみないなボケナスやろーどもがいるから世界はおかしくなっちまったんだろーが。何が霊素?ふざけんなやほんと。武人なんて、どいつとこいつも消えちまえ。いらないんだよ、クソが!」


恐らく淡白の構成員から受けた嫌がらせは今日だけのものではないのだろう。口に出したが最後、感情の歯止めが効かなくなった少年はそれに耐えきれず涙を流し、捲し立てる。


「カルア!!」


「なんだよ!!父ちゃんだって散々やられただろうこいつらに!!!」


「この人たちにじゃない!!この人たちは助けてくれた恩人だ!!」


「・・・っっ!!」


父親の言葉に少なからず理性が戻ってくる傍で、雪菜が口を開く。


「すみません」


食事に夢中だった彼女の言葉に注目が集まるが


「おかわりって貰えます?」


「え・・・」



あまりに場の空気を読まない発言に家族3人の時が止まる。

とらきちだけは平然としているが。


「あ、ダメならいいんですけど、美味しかったから。ごはん」


「あ、あぁ、はい!入れますね」


母親が雪菜の茶碗にご飯をもる。

彼女は満面の笑みで礼を言い、かつかつかつと再び食べだした。

なんとも言えない空気であるが


「あ、そういえば」


何かを思い出したかのように雪菜は言った。


「その取れちゃった腕、くっつくよ。なんとかしてあげよっか?」


「え。。?」


怪訝そうな顔を浮かべるカルアは問うた。


「な、なんで。。。?」


「ん?いやご飯のお礼。これ美味しすぎ!あとはまぁ。。」


カルアの疑問に答える雪菜は食べながら続ける。


「暇だから、ね」

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