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君が好きなのは姉御肌のセクハラ女教師?おっとり美人のだだ甘女教師?それともクールなストーカー女教師?  作者: beru


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第九十話 ユリア先生と二人きりになれると思ったらそうはいかなかった

「どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 ユリアは拓雄を居間に上げた後、彼にお茶を差し出す。

 今日は本当にプライベートで二人きりになってしまい、拓雄も胸がドキドキして、ぎこちない様子で座っていった。


「そんなに緊張しなくても良いんじゃない。ここに来たのも初めてじゃないんだし」

「そ、そうですね……え、えっと……先生、今日は何かご予定は……」

「特にないから、家に入れたんだけど」

「ですよね。はは……」

(うう……何、話そう……)

 ユリアに会いたい一心で衝動的に、彼女の家に来てしまったが、何を話せば良いのかもわからず、口ごもってしまう。


 いきなり押しかけておいて、彼女を楽しませるような事を何一つ思い浮かばなかった自分に情けなさを感じてしまい、泣きそうになってしまった。

(やっぱり、僕なんかじゃ先生とは……)

 とても釣り合いが取れない――そんな気持ちに苛まされてしまい、勢いでユリアの家に来た事が恥ずかしくなってしまった。

「ふう……しょうがない子ね。そんな顔をしないの。私が悪い事をしているみたいじゃないの」

「す、すみません」

「謝る事はないでしょう。来てくれたのは嬉しいから。今日は、これから何か予定があるの?」

「いえ、特には」

「そう。でも、ここに来ても何もないから、つまらないでしょう。拓雄君も自分の家に居た方が、まだ暇つぶしにはなるでしょう」

「あの、ユリア先生に……ん? す、すみません……」

 ユリアの顔がとにかく見たかったのだと言おうとした所で、拓雄のスマートフォンの着信が鳴り、スマホを取ってみると、彩子からの電話が着ていた。


「出ないの?」

「あ、すぐ出ます……はい」

『ヤッホー、拓雄君。彩子先生よ。元気してたー?』

「は、はい。あの、何か?」

『何かって、拓雄君の声が聞きたくなっちゃってえ。今、暇? 暇なら、先生とちょっと会わない? 先生、また拓雄君と一緒にデートしたいなーなんて。きゃん♪』

 電話に出ると、彩子がいきなりデートに誘ってきたので、相変わらずの大胆さに拓雄も思わず苦笑してしまった。


 しかし、今はユリアとの時間を楽しみたかったので、

「すみません。今日はちょっと先約が……」

『んーー? まさか、誰かとデート? はっ! まさか、ユリアちゃんじゃないでしょうね!?』

「え! そ、それは……」

 まさかの図星を突かれてしまい、拓雄が動揺して口籠ってしまう。

 しかし、それが裏目に出てしまい、彩子もすぐに察してしまった。


『ええ? まさか、本当にユリアちゃんと会ってるの? あーん、先を越されちゃったあ。折角、拓雄君の家の近くに来たのにい。今。何処に居るの?」

「えっと……」

 どうやら、カマをかけられてしまい、拓雄もどう言い訳しようか悩んでいると、ユリアが溜息を付きながら、

「ちょっと貸しなさい。彩子先生。ユリアです」

『え! ほ、本当に一緒だったんだ……キイイっ! 教え子と不純異性交遊しないでください! 学園にバレたら、クビになるわよ!」

「先生にだけは言われたくありません。悪いですけど今、拓雄君に勉強を教えているので、邪魔をしないでくれますか?」

『へー、二人きりの秘密の補習授業って奴? じゃあ、私も今から美術の補習するわ。そうよ、これは補習よ。だから、疚しい事なんてなんもないし。今、ユリアちゃんの家に行くから。そう伝えておいて。じゃあね』

「ちょっと……はあ……彩子先生、ここに来るって。どうする? 今から、二人で出るか、拓雄君も家に帰るか選びなさい」


「そ、それは……うう……」

 今から家を出れば、ユリアと出れば彼女と二人きりになれるが、そうなると、彩子やすみれに何をされるかわからないので、安易に決断が出来なかった。

 ユリアと二人きりになりたくて、ここに来たのに、それが叶わず、


 十分後――

 ピンポーン。

「きゃー、拓雄君。本当に居たのね。もう、大丈夫よ。先生がいれば、不純異性交遊なんて絶対許さないから」

「くす、むしろする気満々なくせに拓雄。元気していた?」

「す、すみれ先生! どうして……」

 思った以上に彩子が早くユリアの家に来てしまい、ビックリしたが、何とすみれまで同伴しており、二人ともドアを閉めると、拓雄の手を引いてズカズカと仲に上がり込んでいった。


「二人とも一緒だったんですね」

「まあね。まさか、二人が密会しているとは思わなかったけど、そんな事しちゃ駄目よー。担任である私が教員との不純異性交遊なんて許しやしないんだから。あん♪」

「こ、こら! いきなり胸を揉まさないでください!」

 すみれが拓雄の手を掴むと、自身の胸に彼の手を押し付けて、強引に揉ませていく。

 彩子が背後から彼にしがみついて、

「んもう、駄目よ、拓雄君。君は先生の彼氏でしょう? 目の届かない所で、他の女と浮気したら、駄目なんだからね」

「か、彼氏って、別に付き合っては……んっ!」

 突然、彩子がそんな事を言ってきたので、拓雄も慌てて否定しようとすると、それを阻止するように彩子も教え子と唇を重ねる。


「んっ、ちゅっ、んん……あんっ、ついキスしちゃった♡ちゅっ、ちゅっ」

「こら、担任の目の前で何いやらしい事をしているのよ。くす、あんたは私の物でしょうが。ちゅっ♡」

 彩子が夢中になって右の頬にキスしていくと、すみれも対抗するように、彼の左頬にキスを繰り返していく。

 彼女達の執拗なまでのスキンシップは居間に始まった事ではないが、これをユリアの目の前でやられると、ユリアの心象を確実に悪くしてしまうので、拓雄も気が気ではなかった。


「二人とも、私の家でイチャつくのは止めて頂けますか?」

「あら。じゃあ、私の家に行きましょう。そうよ、先生の家に行けば好き放題出来るわ。ねえ、行こうよ、拓雄君。どうせ、予定はないんでしょう?」

「そ、それは……今日はユリア先生と……」

「んーーー? ユリア先生と何よ?」

 嘆息しながら、ユリアが二人を止めに入るが、彩子もすみれも両脇から、拓雄にしがみつきながら、挑発するような視線を送る。


「先生と一緒の方が良いわよねー? ちゅっ、ちゅっ……あん、またちゅーしちゃった」

 彩子がまた口づけを繰り返し、拓雄も彼女の柔らかい唇が触れるたびに、理性が削がれていき、彼女たちの言いなりになりそうになってしまう。

 しかし、今日はユリアと一緒に居たいという気持ちがまだ強く、どうにかして二人には帰ってもらおうと、ユリアに視線を送ると、

「拓雄君。君はどうしたいの? ユリア先生やすみれ先生にそうされるが嫌なら、先生も二人を追い出すわ。でも、とてもそうは見えないわね。二人にイチャつかれて、あなたは嫌なの?」

「い、嫌って事は……」

 ない――彩子とすみれが自分に好意をぶつけてくれるのは素直に嬉しかったので、どうしても断り切れなかった。


 それでも、自分はユリアと……と思ったが、

「ふん、嫌じゃないなら、止める理由はないわね。ほら、行くわよ。今日はみっちり、すみれ先生が秘密の補習してやるわ」

「ちょっと、拓雄君に補習するのは私ですから。じゃあ、そういう事で。ユリアちゃん、まったねー♪」

「あ、あの……」

「「ちゅっ」」

 すみれと彩子が同時に拓雄の頬にキスをした後、二人が拓雄を外に連れ出してしまい、彩子の車に乗せられる。

 結局、ユリアと距離を縮める事は叶わず、二人の押しの強さに負けてしまう自分が情けなく感じるだけであった。

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